My favorite person

 

出会いの仕方は人それぞれ
私の場合はふとしたことがきっかけだった
ただ私は彼を友達に紹介されただけだった
それからいつ私はあの人に恋焦がれるようになったんだろう…

彼と楽しく本格的に話し始めたのは出会ってから半月たって再会したときだった
それまではただ軽く挨拶してた程度なのに…
彼は私より26cmも背が高くて
年も二つ上だったの
そんな人に私は何故か惹かれた

彼は私のことをおもちゃのようにからかった
私は彼より身長が低くてまるで子供みたいに頭を撫でられた
その撫でられた手が優しくて大きくて私は一目で好きになった

それから私達は色々な話をしたの
友達のこととか 学校のこととか
はたまた自分たちの趣味とか…
私と彼の共通の趣味は何故か武道だった
どんな話であれ彼と話せるだけでよかった
そのときほど幸福なものはない
そしてその話は周りの友達とかを無視して盛り上がった
お互いの世界にのめり込んで時間さえも忘れていくみたいに…

いずれ私達は離れていかなくてはならなかった
『解散』というツライ宣告
彼と私の居場所は違う
『解散』してしまえば私達は違う場所に戻ってあの楽しい語り合いもなくなる
ただ自分達の本来いるはずの場所に帰るだけ
分かっていてもそれがとても悲しかった
『解散』が私の思いまでも引き裂いていくような気がして
その宣告がとても怖く感じた…

でもその『解散』の宣告に思わぬ事態を引き起こした
とある方の提案で駅まで一緒に行くことになった
再び私と彼は大いに話しながら向かったの
私は一歩一歩彼との思い出を噛み締めるかのように…
私はそれに集中しすぎて彼以外の存在を忘れていた
思い出したときには私と彼は信号を隔てて向こう岸へ
そして他の人たちは渡りきらずに残っていた
あちゃーって思ったけどそのとき少し嬉しかったのが本心

そのとき急に彼は私のことを真剣な瞳で見つめてきた
私はそのときの状況が掴めなくてただ小首を傾げただけだった
そしたら彼は何も躊躇うことなく私の腕を引っ張って自分のところに引き寄せたの
そのぬくもりが心地よくて本当は離れたくなかったけど
思いがけないことに私のココロは爆発寸前だった
だから私は「人目に付いて皆に冷やかされたら大変だからって」って嘘をついて慌てて離れたの
でもココロの中はパニックで周りのことなんて入ってこなかった

だけど私たちの話は終わらない…
お互いのメールアドレスと電話番号を教えあって帰りも電車の中で熱く語り合った
そう熱すぎて誰も近づけないほどに…

話は盛り上がっていても私のあなたに対する思いは届かない
ただメールを見ながら独り悲しく泣いているだけ…
だからせめてこの楽しい一時を大事にしたいの

あなたを思い慕ってたとえ自分の感情を壊してでもあなたの傍にいたいと思った
でもあなたは遠い存在
私のことなどきっと妹みたいにしか思っていない
それでもいい
私のことを忘れないでくれれば妹のように思われてもいい
だから私のことを忘れないで…

 

作者コメント→好きな人のことをちょっといると想定して考えてみました。内容に武道とありますが、それはあくまで個人的趣味ですので、そこのところよろしくお願いします。

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