Rain dance

 

ふと窓の外を覗くと青い空を真っ白い雲で覆い
大地に恵みを与える雨の妖精たちが踊っていた

雲が覆ったそのときは雨の妖精たちだけの舞台
誰も邪魔することができず思う存分踊ることができる
自分達で工夫した踊りを披露する
ぽろんっとこぼれて葉っぱの雫になったり
ただ大地の糧となる者
寂しさを紛らわすかのようにただ踊る者
どんなに踊っていたって虚しいと思っても彼らは恵みのために踊る

ときに過激な踊りをして大地に生きる者達にどえらい迷惑をかけるけど
「そこはご愛嬌。許してね」
とまた踊るのだ
そのご愛嬌ぶりが仇となるときがある
彼らの踊りで成長できずに虚しくも逝ってしまう生き物たち
ただ悲しく散っていく
それを知るとき妖精たちはただ悲しくて
自分達が虚しいことしかしてないことに気づいてしまって
踊ることをやめてしまう
そしてまた大地に生きる者達に被害を与える

だからお願い
過度な踊りはしないで私達を潤して
そしてその踊りをまた見せてください
悲しいことも虚しいこともあるけれど
それでも私はあなた方の踊りが好きです

 

作者コメント→前作と同じくまさみさんのサイトに投稿したものです。ちょうど思いついたのは雨が降った日だったんですが、その日に限って人身事故に巻き込まれ、かなりの暇を与えられてふと雨を見て擬人化してみました。

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