Song of the Spirit  - 魂の歌 -

 

死を素直に迎え入れた者は肉体を離れ小さな魂魄となる
魂魄は自分が死んだことを嘆き悲しみながらも素直に受け止める
だがそれでも残してきた人たちの事が気になる
だからそれが余計悲しさを募らせる
そこに同じ日やその前に亡くなり同じように嘆く者達が集まってくる
そして彼らはお互いの悲しみを紛らわすかのようにそっと歌うのだ

悲しい…死にたくない……
だけどもう我らは死んでいる
存在を求めるかのように生きている者に近づいてもまるで気づいてもらえない
悲しいけど仕方がない
ならば生きている人たちに勇気を与えて何かを残して消えていきたい

だからお願い我らの存在を消さないで…
否定しないで…

ときに死んでいった魂と生き続ける魂とでぶつかり合い
お互いの存在を認め
力を分け与え
そして一方は風のように鳥のように消えていく
ただ生きる者達に悲しみを残して…
しかし悲しみの他にも歌を残していく
羽となって人々に渡していく

その歌は悲しくも優しく
鋭くも繊細で加減を間違えるとシャボン玉のように簡単に割れてしまう歌
口ずさめば誰もが涙を流すほど素晴らしい
でも作った人はもうこの世にはいない
ただ形だけを残して消えていってしまった

己の欲望を果たし満足した魂魄は新たに生まれ変わるために……
だから生きている私達も彼らの存在を胸に生きていこう

 

作者コメント→よく心霊写真とかあるとどうしてこうやって何かを訴えようとしているんだろうと思って書いてみました。

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