「……B’zって、こんな人たちやったんか…」

「いやハイドくん、『たち』は間違ってるよ。
変わってるのは彼だけだから」
(松本さん、なんてことを…)











「チキショウ!何気ニ耳ヨリ情報満載ダナ!!」
激高した宇宙人は、桃を床に投げつけた。

「あっ、もったいない!桃農家の人が泣くよ!」

頬に桃の毛が刺さったまま、怒りをあらわにする宇宙人に、
別の宇宙人がなだめるように言った。
「落チツケ…!俺タチニハ目的ガアルンダ。
ソレヲ忘レルナ…」

「目的?」
檻の中は静まりかえった。

「ソウサ。俺タチノ目的ハ…
俺タチノ音楽ヲ地球ニモ広メルコトサ」

「ソコデ人気者デアルオマエタチヲ捕ラエ…
洗脳シテ、広告塔ニナッテモラウノサ…!」











話の流れとは関係なく、つぶやくHYDE。
「そういえば…こういう宇宙人なんていったっけな。
すごい有名な名前だと思ったんやけど…」


















「フフフ…」
声は笑っているが、変わらず無表情のまま、宇宙人は続けた。

「ダカラコンナコトデ引キ下ガルワケニハイカナイノサ。
コノ使命ヲ果タサネバ、女房ニアワセル顔ガナイ。
大切ナ人ノ笑顔ノ裏ノ涙ニ、添エル花ガナイ…」

「アア…オマエハ新婚ダカラナァ…」

「使命ヲ果タシタアカツキニハ…!」

「ウンウン」

「何モカモカラ解キ放タレテ、胸ヲ合ワセテ踊リタイネ!星ノ下デ…」

「ワァッ!!」
なんとこの宇宙人は結婚していたらしい。
次々と繰り出す詩的な言葉に、感動する他の宇宙人たち…。
「ぽかーん」とする檻の中の地球人たち…。
















「なんだっけな……あっ、思い出した!」
考え込んでいたHYDEが思わず叫んでしまった。











「グレイ型宇宙人や!」

シングル「またここであいましょう」と「逢いたい気持ち」が好評発売中。


















その直後、1人ビールを飲んでごきげんになっていた城島が
持っていた携帯で呼び出していた「ガチンコファイトクラブ」の連中が、
乗り込んできて酔って大暴れ、室内の機械類はめちゃめちゃに。

かろうじて4人は洗脳を免れ、脱出できたのだった。
(飛んでたんじゃ…?)










操縦不能、通信不能となったUFOの中で途方に暮れるグレイ型宇宙人たち。
「……ドウスル、コレカラ…」
「ハコダーテ星ガ俺タチノコノ状況ニ気付イテクレルマデ、
地球ニトドマルシカナイ……」


こうして、彼らは人間になりすまし、
バンド「GLAY」として地球上の小さな島国、日本で活動を始める。
元々実力のあった彼らの、宇宙的で斬新なサウンドは人々を魅了し、
たちまちB’zやラルクやTOKIOをも凌ぐ人気者に。









そして宇宙人GLAYは今日も行く。
いつか星に帰れることを夢見ながら……。

「アミ〜…」
















おわり。














この物話はフィクションです。ギャグです。シャレです。
アーティストの皆さんがあまりにもアホですいません。
本当のグレイ型宇宙人は、全身灰色で無毛です。