ねぇ、そこのきみ

――何?

ぼくといっしょにあそばない?

――どうして?

あそびたいから

――ひとりでさびしいから?

……たぶん

――それなら、あそんであげる

ありがとう

――それであなたのおなまえは?

ぼく? くろさきいちご

――いいなまえだね

ねぇ、きみのなまえは?

――わたしのなまえはね……





* * * * * *





夢の始まり

夢の終わり

振り返ってみても

分からない

だってそれが

夢なんだから





* * * * * *






「ん……夢か」

あまり夢は見ない方だ

そして見てもロクな夢じゃない

けど、今回は

「……懐かしい、夢だった」

誰かと逢っていた

そして遊んでいた

大概夢は、自分の記憶からのものだから

ガキの頃にあったものだろう

「おい、一護。ボケッとしとると学校に遅れるぞっ!」

「お前がそれを言うか、ルキア」

いつも通り制服に着替えてから襖を開け、出てくるルキア

……つーより、あの狭い空間で普通は着替えられないだろ

しかもその制服、どこに仕舞ってるんだ?

「私は先に行っているからなっ! ――コン、死にたいか?」

「滅相も御座いませんぜ、姐さんっ」

「とか言いつつ、抱きついてくるなーっ!」

「――お兄ちゃーん? 起きてるー?」

「「「わーっ、わーっ!!」」」

これが日課になってきた

けど、今日は何かあるような気がする

例えば、そう

――――誰かと逢ったりするとか





* * * * * *





「あのーっ」

『え?』

この昼休みの教室に響いたのは

一人の女子高生と教室にいた皆の声だった

風変わりな制服を着ているその少女に

皆は止まったままだったが

「何のようですかー?」

この天然ぽけぽけ娘――井上織姫は

その少女に話しかけた

「えっと、ですねー」

「はいー」

「黒崎一護って人、います?」

「黒崎く 『はぁ〜!?』 な、何、みんな?」

やはり天然ボケらしく

この少女の発言に驚かないらしい

「お、織姫っ!? これがどういうことだか分かってる?」

「そうだよ、井上さんっ!」

織姫の天然さを取り乱し、忘れているこの二人

有沢竜貴と浅野――忠信……失礼

浅野……啓吾だ

「あのぜってぇーモテなそうなやつに、こんなカワイイ娘ちゃんがっ!」

「それにあいつを用なんて、大抵体育館裏とかそういうのだよっ!?」

「え、そうかな? 黒崎くんは優しいよ。ねっ? ……えっと」

「っと、私は()と言います」

という少女はにこにこして皆の返答を待っていた

「水色、どう思うよっ?」

「えー、僕はやっと一護が春が来たと思って嬉しいんだけど」

「くっそっ、年上のお姉さんばかり侍らしてるやつがーっ!!」

「うわっ、人聞き悪いよ、それ」

「事実だろっ」

啓吾と水色と呼ばれた少年は会話をヒートアップさせる

「ねぇ、織姫? なんでそんなに仲良さげに話せるのかね?」

「えー、ちゃん、いい人だよー」

「(この娘は……)」

そして竜貴はいつも通りの織姫に頭を抱えていた

「え……っと、黒崎君は?」

『あ』





その頃の一護は


「てめぇ、屋上でやきそばパンは常識だろうがっ!」

「僕が何を食べようと、僕の勝手だろ」

「……………………」

チャドが見守る中で石田雨竜と

『定番の物』について話し合っていた

勝敗は勿論、雨竜の勝ちで終わっていた