ルーク…

我が声に…!

ルーク…

 

「いい加減にしろ、用事があるならオリジナルに言えタコ助やろう」

 

まったく、誰なんだよ。毎度の事だが、せめて頭痛はやめてほしいものだ。

さて、そんな事を考えるのはひとまず止めて、現状を確認しよう。

…後頭部がとっても痛い!

終わり。

ティア、あなた絶対狙って強打したでしょ!?って、そういえば2人の姿は無いな〜。…この部屋には俺だけか?

いや、扉の向こうに見張りの兵士の気配がする。……………現状はよろしくないか。

俺が気絶してる間に色々あったようだ。

 

「ここに居ても始まらないな」

 

さ、抜け出すか♪

…よし、とりあえず見張りの兵士に暗示を掛けよう。

まず扉を開けさせて、その後にそのまま部屋の見張りをするように暗示を掛ければいいか。

そうと決まれば…

 

「…あ〜、そのこ兵士さんや」

「ん?…大人しくしていろ」

「ていっ!」

「…ぐっ」

 

よし、無事暗示が掛かったな。脱出成功!

てことでティアとジェイドを捜すかな〜。

 

 

 

 

 

 

 

最悪だ、本当に最悪だ。

よりにもよって…

 

「………アッシュ?」

 

目の前には”妖獣のアリエッタ”と呼ばれる少女、六神将の一人であるアリエッタと鉢合わせをしてしまった訳で…。

何故分かったか?…それは彼女の周りに居る魔物を見ればよく分かる。

彼女は魔物と会話が出来るらしい、何故は知らんがな〜。

でも見た目は少女だが、実は年齢は16歳と俺と一つしか違わないらしい。

 

「…どうしたの?」

「ん?…あぁ、可愛いな〜と思っただけだ」

「……………アナタは誰?」

 

あ、ばれた。

どうやら俺っちが”アッシュ”ではなく、見た目が似ている誰かと認識されたらしい。

あぁ、ちなみに。”アッシュ”とは”ルーク・オリジナル”の事だ。

アリエッタの言葉から察するに、どうやらアッシュもこの戦艦に来ているらしい。

 

「秘密だ♪」

 

ナデコナデコ

 

「…ん」

 

別に嫌がっている様子も無いので、そのままナデナデしていた。…幸せだ(ぁ

と、そこにいい雰囲気を邪魔する出来事が起きる。

 

《ネクロマンサーの名によって命じる。作戦名”骸狩り”指導せよ!》

 

今のはジェイドの声?

キュイイイイン…

何だ?タルタロスが突然動きを止めたな。

…なるほど、大佐のあの骸狩りがキーとなりタルタロスを急停止させたのか。

 

「さて、俺はもう行くぞ。…今度はゆっくり話をしようぜ?」

「……あ」

 

とりあえず、逃げよう。うん。

 

「あの!…アナタは誰ですか?」

 

おや、最初のイメージではあまり大声は出さないタイプだと思ったが、…鳴かぬなら鳴かせて見せようアリエッタ(ぁ

 

「俺は…、くくく、アッシュにでも聞けばわかるぞ?”同じ顔のカッコいいお兄さんが居たけど誰?”とな〜」

 

急いでその場から離脱!これ以上いると色々面倒事になりかねないから!

 

 

 

 

 

 

「ティア!」

 

おぉ、ティアとジェイド発見!

此処までの道のりで色々戦闘があったが、や〜っと2人を見つけたわけで…

 

「おやおや、無事でしたか」

「残念ながらな」

「ルーク、怪我は無い?兵士に見つからなかったの?本当にルークなの?」

「怪我?後頭部が痛い、兵士?見つかったが倒してここまで来た、本物?それは俺が知りたいぞ」

「どうやら本物のようですね」

 

ジェイドが納得して、その場を収めた。

特に後頭部を見ながら…

 

「ティア」

「な、なに?」

「頭が痛いんだ」

「そ、そう」

 

こっちをみろやコノヤロウ

 

「ん?ミュウは?」

「ここですの!」

 

声のするほうはティア、ではなくジェイドだった。

 

「…ま、そうだよな」

「えぇ、不本意ですが、この際仕方が無いので…」

 

そう言って、ジェイドは後ろに隠れていたミュウを俺に渡してきた。

受け取ったミュウを頭に乗せる。うむ、ミュウファイア装着完了(ぉ

 

…どうして私じゃないのよ

 

…放置だ。

 

「で、これからどうすんだ?」

「貨物室を目指します、そこに”いい物”ありますから」

「うい」

 

少し黒い物を背負うティアの視界から外し、貨物室を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

貨物室到着後、”いい物”、つまり爆薬で壁を壊し、左舷ハッチに居ます。

 

「どうやら間に合いましたね、現れたようです」

 

外を見ると、オラクルの兵士が居た。

 

「タルタロスが非常停止したことは気づいてるよな?」

「えぇ、流石に気づいているでしょう。それよりこのタイミングでは詠唱が間に合いません。譜術は使えないものと考えてください」

「…分かった」

 

どちらにしろ、ジェイドは封印術のお陰で制限が厳しくて当てにはならないか…

 

非常ハッチを開け

了解

 

おや、外で動きがあったな。

ちょっとミュウ君に頑張ってもらいますか♪

俺はミュウを構え、扉が開くのを待つ。そして…

キュイーン

扉が開くと同時に!

 

「おら、火出せぇっ!」

 

オラクル兵の顔面にファイアー!

そのまま兵士はしたへ落ちていった。

その事態に気づいた、銃を持つ美しい女性が直ぐに行動をとるが、ジェイドが巧みな身のこなしで、彼女の首に槍を持っていった。

 

「さすがジェイド・カーティス、譜術を封じても侮れないな」

「お褒め頂いて光栄ですね。さぁ、武器を捨てなさい。ティア!譜歌を!」

 

ジェイドの言葉に反応したのは銃の美女だった。

 

「ティア…?ティア・グランツか…!」

「リグレット教官!」

 

ティアと銃の美女は知り合いか。

 

「ティア!」

「…!?」

 

俺はティアを抱えその場を飛びのく。ティアの居た場所を見ると、そこにはライガの姿があった。

コレにより、形勢は逆転。俺たちは囲まれてしまった訳で…

 

「アリエッタ!タルタロスはどうなった?」

 

リグレットはライガの後ろから現れたアリエッタに話しかける、その間も隙を見せることは無い。

 

「制御不能のまま…。このコが隔壁、引き裂いてくれてここまでこれた…」

 

そこまで言うと、アリエッタは俺に視線を向けてくる。

思わず、笑顔で手を振った。

 

何やってるのよ!

ひでぶ

 

…だから杖で叩くのは止めれ!

 

「よくやったわ。彼らを拘束して…」

 

ん?何か気配が増えたな…。しかもこの気配、よく知っている気配だ。

その気配を持つ者が突然、リグレットを頭上より奇襲、素早くイオン奪還を成功させ安全な領域へ退避してこう言い放つ。

 

「ガイ様、華麗に参上」

 

…出たよ。もてるくせに女性恐怖症な可哀想な奴、それがガイだ(ぁ

 

「きゃ!…」

「さぁ、もう一度武器を捨てて、タルタロスの中へ戻ってもらいましょうか」

 

いつの間にかジェイドがアリエッタを人質にとり、リグレットに告げる。

それを見たリグレットは、無言でタルタロスの中へ入っていった。

 

「…イオン様…。あの…あの…」

「言う事を聞いてください、アリエッタ」

 

あらら、アリエッタふられちゃった(ぇ

彼女は悲しそうな表情を俺の方に向けて、タルタロスの中に入っていった。

 

「しばらくはすべでのハッチが開かない筈です」

 

少しは時間が稼げるか…

その後、少し話し合った後、俺たちはアニスと合流すべくセントビナーへ向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セントビナーへ向かう途中、イオンの足が止まってしまった。

 

「イオン、お前タルタロスで譜術を使ったな?」

「!…すみません、僕の体はダアト式譜術を使うようにはできていなくて…。

随分時間も経っているし、回復したと思ったんですけど」

「少し休憩しましょう、このままではイオン様の寿命を縮めかねません」

 

そだな、ゆっくり休みに限るな〜。決して俺が休みたいわけでは無い!

全員が各々に座り込む、その後ガイに状況を説明を兼ねて、情報整理が行われた。

 

「…戦争を回避するための使者って訳か。でも何だってモースは戦争を起こしたがってるんだ?」

「それはローレライ教団の機密事項に属します、お話できません」

 

お話できないね〜、まぁスコアに戦争を起こせ何て普通は言えないよな…。

 

「理由はどうあれ戦争は回避すべきです、モースの邪魔はさせません」

 

ジェイドの言う通り、戦争なんてするもんじゃねぇ。

 

「ところであなたは…」

「そういや自己紹介がまだだっけな。俺はガイ、ファブレ公爵のところでお世話になってる使用人だ」

 

ガイは握手を1人ずつして行く、イオン、ジェイド。

最後に…くくく、ガイはティアの接近に気づいて慌てて身を引く。

 

「…何?」

「…ひっ」

 

ティアがちょっと悲しい顔をした、くくく、最高だよ。ガイ

 

「ガイは女性恐怖症なんだ」

「わ、悪い…。君がどうって訳じゃなくて…その…」

「私のことは女だと思わなくていいわ」

 

一歩近づくと、一歩逃げる。ひゃひゃひゃ!ガイ最高!

 

「分かったわ…」

「…すまない」

 

はははは、笑わせていただきました♪

 

「まぁそれは置いといて、ファブレ公爵家の使用人ならキムラスカ人ですね。ルークを捜しに来たのですか?」

「あぁ、旦那様から命じられてな。マルクトの領土に消えていったのは分かったから俺は陸伝いにケセドニアから、

グランツ閣下は海を渡ってカイツールから捜索してたんだ」

 

あのヴァンが俺を捜しているのか…?

む、気配が複数近づいてくるな。

 

「…やれやれ、ゆっくり話している暇は無いようだぜ?」

 

直ぐにオラクルの兵士が姿を現した。

 

「…ご主人様」

 

ん?不安げに俺を見上げるミュウが居た。

イオンにミュウを渡して、後ろに下がらせる。

ガイとジェイドはその間にも、既にオラクル兵に攻撃を仕掛けていた。

さて、俺っちも参加するか。朱緋を抜き、オラクル兵に向かい走る。

兵士はそんな俺に気づいて、武器を構える。がなっちゃいね〜な〜、隙だらけだぜ?

俺は少々大振り切りかかり、防ごうとした兵士と武器がぶつかり合う瞬間に刀を止めて、大気を圧縮した蹴りをお見舞いする。

ドゴッ!

嫌な音が鳴り、兵士はぶっ飛ぶ。

よし、1匹目完了。次は…ってティアの死角に兵士!?

 

「ティア!」

 

ガイもその事に気づき、急いでティアの方に向かう。…あのスピードだと間に合わないな。

 

「…!?」

 

ティアの奴、詠唱中で反応が遅れたな!?はぁ、しょうがない。一気に跳ぶ!

俺は足に魔力を集中させ、そのまま爆発させるように一気にティアと兵士の間に滑り込む。

と言うか、後頭部強打の恨み!と思いつつ、ティアをその場から突き飛ばした♪

ザシュッ!

ぐあっ!?いてぇ〜!!!…しまった、恨みのほうが先走って兵士に背中を切られた(ぁ

その兵士も駆けつけたガイによって、切り殺されていた。

 

「…ルーク!?」

「だぁ、痛いからあんまり揺らさんといて〜」

 

結局、俺の本末転倒状態で、戦闘は終わりを告げた…

 

 

 

 

 

 

俺は、ティアに背中の治療をしてもらい、今日は少し移動した場所で休むことになった。

俺以外は、火の回りに座っているが、俺は少し離れた場所に座っている。

この7年間、こうして家以外の場所でボケーっと空を眺めたことは無かったが…、どこにいても空だけは変わらんな〜。

 

「ルーク、隣いいか?」

「ん?」

 

声を掛けてきたのは、もてるのに女性恐怖症な可哀想なガイだった」

 

「…お前、喧嘩売ってるだろ」

 

おや、声がでてたか。

 

「…で、どうしたんだ?」

「あぁ、不思議に思ったことがあったからな」

 

ん?

 

「よく了承したな、親書の事。今までのお前なら絶対断っていただろ?」

「別に…。そうだな〜、しいて言えば…、記憶を失ってから7年間、本気で誰かに頼られたことがなかったから。かな?」

「…な!」

「なぜそんなに驚く?…”記憶を失ったルーク・フォン・ファブレは失敗作だ”…お前はその言葉を聞いたことが有るだろ。ガイ?」

「…」

 

あら、暗い話になっちまったな。

 

「だから、嬉しいわけだ。例え”ファブレ公爵の息子”だとしてもな…、だからお前のそんな敷けた顔はいつもの事だが気にスンナ」

「誰が敷けた顔だ!ニュアンスが違うんだよ!このニュータイプが!」

 

そこに気づけるお前がニュータイプだ!

まぁ、そのお陰でその湿気た顔がなくなってよかったな〜、ガイ。

でもな、お前は将来嫁さんに敷かれるぞ。絶対(ぁ

 

「どうしたの?」

 

と、そこにオールタイプが現れた」

 

「ティアって何でもありなのか!?」

 

ガイ、ここでその台詞はちょっと…

 

「…何が言いたいの?」

「お、俺が悪かった!だ、だから手をワキワキしながら近寄ってこないでくれ!」

 

あ、逃げた。

 

「…もう怪我は大丈夫なの?」

「は?治療したのはお前だろ」

「そ、そうだったわね…」

 

うむ、そうだったのですよ。でも沈黙はちと痛いので話を変えてやるか。

 

「お前は大丈夫か?思いっきり突き飛ばしたんだが…」

 

日ごろの恨み!みたいな感じで(ぁ

 

「…えぇ、大丈夫よ。かすり傷程度だったし」

 

…チ

 

「そうか、まぁティアが傷物になっちまうと後味悪すぎだからな〜」

な!?何を言いだすのよ!

 

…仕様だ

 

「おやおや〜?また痴話喧嘩ですか?」

大佐!

 

ジェイドか、このおっさんも色々ありそうだな〜。

でも、口調は軽いが目が笑ってない…。何故?

 

「ルーク、アナタに質問があります」

「ご自由に、答えられる範囲でいいならな〜」

「ありがとうございます。では、率直に聞かせていただきます」

 

場の空気が一変、ピリピリした雰囲気が流れ、

向こうで雑談していたアニスやイオンも此方に耳を傾けていた。

 

「ティアを助けた時、アナタは何をしましたか?…私が見たときはガイよりもアナタの方がティアとの距離がありました。

ですが一瞬の間にティアとの距離を縮め、彼女をかばった」

 

よく見てんなアンタ。

 

「う〜ん、たいした事じゃないさ。魔力を足で爆発されてその勢いでティアの胸に飛び込むつもりだったがしくじった」

…な!?

 

ははは、ティアさんさっきから赤くなったり元に戻ったり赤くなったり大変ですね♪

 

「…では、足を見てもいいですか?」

「足フェチ?」

『…』

 

沈黙が場を支配する。あるものは信じられないと言いたげな表情、あるものは少し納得と言いたげな表情。

各々複雑な思いを胸に、ジェイドを見ている。

 

「…短い付き合いでしたが、そこそこ楽しかったですよ」

 

そこ、槍を持ち出すのはやめなさい(汗

 

「はぁ、ホントにアンタよく見てんね」

「いえいえ、それほどでもないですよ」

 

俺は、爆発させた方とは逆の左足を見せる。

 

「はい、…舐めたりするなよ?」

「刺されたいですか?」

 

俺は思わずお尻を押さえてしまった。

 

『…』

 

それを見たジェイド以外は…、その場から3歩ぐらいさがり、ジェイドを険しい目で見ていた(ぁ

 

チャキ

あ、やりすぎた(汗

 

「じ、冗談だから、槍を首に当てるのは止めてください…」

「…では、もう片方の足を見せてください。そうすれば私がノーマルだと証明できます」

 

…目的が変わってるような気がするが?

っと、しょうがないから右足の方を見せる。

 

『…な!?』

 

ん?何故そんなに驚く?ただボロボロになった足じゃないか(壊

まぁ、多少血がベットリついてるし、皮も所々はげちゃったりしてはいるが…

 

「…ルーク!何故言わなかった!?」

 

ガイが急接近!?その勢いに思わずカウンターを腹に入れてしまった(ぁ

 

「グフ…」

 

…失敬!

 

「…よくこれ程傷を痛がらず黙っていましたね」

「左程痛くないぞ?」

 

嘘です、痛いです、泣きたいです。皆が寝たらこっそり直そうと思ってました♪

 

「理由になっていません!どうしてそんな無茶を!」

 

今度はイオンが急接近!?…まぁ、女顔だから許そう(ぇ

 

「理由?言わずとも…な?」

 

皆の視線が集まるのはティアだ。

まぁ、あのまま切られてたらそれこそ致命傷になりかねない状況だった訳だし、しょうがないさ。ははは〜♪

 

「…そこまでして助けてなんて頼んでないわ!」

「あたりまえだ、そんなこと頼む奴いるかよ。”自身を犠牲にしてまで私を助けなさい”なんて誰が言うかよ」

「!…屁理屈を言わないで!」

「屁理屈じゃない、揚げ足って言うのだが?」

「〜〜〜っ!」

 

あらら、彼女は居た堪れなくなったのか、少し離れた場所に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

ティアの行動で、結局そのまま各々寝ることになった。

流石に全員と言う訳ではない、見張りも当然必要だ。現在はジェイドが見張りをしている。

 

「寝ないのですか?」

 

改めてジェイドが話しかけてきた。

 

「…痛くて眠れねぇ」

「それは失礼しました。でしたら彼女に頼んではどうですか?」

 

ジェイドの視線はティアに向いている。

それには理由が有る。今現在のメンバーで回復術をもつのはティアのみだからだ。

 

「この状況で頼めるか?」

「痛いのでしょう?」

 

お前がこっちを観察しなければさっさと癒すさ、自力で。

 

「…はぁ、わかったよ。逝ってくる」

「お気をつけて」

「あんま観察すんなよ」

「努力しましょう」

 

いざ、出陣!

てことでティアの近くに移動しました。

 

「…何かよう?」

「うむ、足が痛くて眠れんから癒してくれ」

「…分かったわ、座って足を見せて」

 

指示通り、左足を見せる。

 

「…癒してほしいの?ほしくないの?」

「失敬、右足だったな」

 

ちょっと冗談が通じる雰囲気ではないか。今更だけど(ぁ

 

「ファーストエイド」

 

ティアが使った術は初級の回復術、よって一瞬で癒えるわけではないので、ゆっくりと治療は行われてた。

しばらく沈黙が続いたが、ティアの方から話しかけてきた。

 

「…どうして助けたりしたの?」

「まだ言ってんのかい。そだな〜、しいて言うならティアだからだ」

「私…?」

 

首を傾げる仕草にグッと来るものがあったが、ジェイドの怪しい瞳があるので必死に押さえ込む!

 

「そ、ティアだからだ。それ以上でもそれ以下でもない無い」

「…」

 

再び沈黙が流れる。遠めでちょっと歯がゆそうに見ているネクロマンサーは放置していると、傷の治療は終わった。

 

「サンキュ〜、助かった。さて、寝るかな」

「…ルーク」

「ん?」

「あの、…その、…あ、ありがと

「何だって?」

〜〜〜!た、助けてくれて、あ、ありがと!って言ったのよ!

 

真っ赤な顔をして言うだけ言って、さっさと寝てしまった。

何て言うか…

 

「ルーク」

「イオンか…。お前はさっさと寝ろよ、お前のために休んでるようなもんだぞ?」

「そんな事よりも言いたいことがあります」

「ん?」

「ティアさんは可愛いですね」

 

真剣な顔して何を言い出す(汗

 

「…萌え、と言うものでしょうか。アニスとは違った感情が沸いて来ますね」

 

…やはり同志だな(ぁ

 

「ははは〜、ティアさんは可愛いですねぇ」

 

ジェイド参戦、てか見張りはどうしたよ?

と、その時。どこかで聞いた歌声が当たりを包む。

 

トゥエ レイ ズェ クロア リュオ トゥエ ズェ

 

ティア、そんな強制的に眠らせなくても…

俺、ジェイド、イオン。3人は朝までぐっすり眠っていた。

見張りはティアとガイが交代でしたらしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アッシュ」

「どうした?アリエッタ」

 

人形をもった少女は、思い切って質問した。

 

「…”同じ顔のカッコいいお兄さんが居たけど誰?”」

「何!?そいつと会ったのか!?」

「……誰?」

「…レプリカだ」

 

その話をした後、アッシュは部屋で妙に悔しがっているのを、リグレットに発見されたらしい…

 

「あいつの方がカッコいいっていうのか〜〜〜〜〜!?」

 

リグレットは精神安定剤を取りに医務室へ行ったとか行かなかったとか…