「ご主人様、今日も日記をつけてるですの?」

「ん?あぁ、母上が心配するからな」

「じゃあミュウもお手伝いするですの!」

「字、書けるのか?」

「もちろんですの!」

 

とりあえず、面白そうなので日記を書かせてみる。

…何書いてるのか気になるので、上から監視!

 

「今日は、ご主人様に26回、頭を撫でられたですの!」

 

そんな事数えなくても…

つか、撫でる癖暴発しすぎ俺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルーク、起きて」

「いや、起きてるから」

「…」

「…」

「そろそろ出発するわ」

「うい」

 

日記を書き終え、ミュウを頭に載せる。

ティアの嫉妬深い視線を感じるが気にしたら負けだ。

 

「もう、大丈夫?」

「あぁ、ティアのお陰で全快だ」

 

そう、強制的に眠らせてくれたからな。よく眠れました(ぁ

 

「今日はイオン様を中心として三角に陣形を取ります。戦闘になった場合、ルークはイオン様の護衛をお願いします。

ガイは前衛をお願いします。ティアと私は譜術で攻撃を仕掛けます」

「…ジェイド、そこまで俺は足手まといか?」

「いえ、昨日の今日ですし、無茶をして足の傷が開くのは面倒でしょう?」

 

あぁ、そういう事か。

 

「了解、ティアを中心に守りを固めるんだな」

「そうです」

 

断言したよ…

 

大佐!

「ははは、冗談ですよ。ではそういう事で、さっそく出発しましょう」

 

こうして、セントビナーへ向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、アニスは大丈夫だろうか…」

 

一応心配だが…、まぁあの子も色々裏事情がありそうだからな。

 

「まぁ、アニスの事です。大丈夫でしょう」

「えぇ、アニスですから」

 

ジェイド、イオン、君たちがどんな目で見てるのかよく分かった。

 

「何かすごい言われようだな、そのアニスって子」

『まぁ、アニスだから(な、ですし、ですから)』

「は、ははは…(汗」

 

ガイ、直ぐに意味がわかるさ。

色々激しい子ですから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セントビナー、到着直後にちょっと問題発生。

 

「オラクル兵だな〜」

「そうですね〜」

「ルーク、ジェイド。もう少し緊張感を持ってください」

 

イオン、そういうお前ももう少し身を隠せ。乗り出しすぎ、つか俺に乗っかるな…。はて、さわり心地に違和感があるが放置でいいか(ぁ

 

「タルタロスに一番近い街はセントビナーだからな。休息に立ち寄ると思ったんだろ」

「おや、ガイはキムラスカ人の割りにマルクトに土地勘があるようですね」

「卓上旅行が趣味なんだ」

「これはこれは、そうでしたか」

 

そこ、牽制しあってないで、もちっと警戒しなさい。

 

「大佐、あれを…」

 

ティアが何かに気づく。…あぁ、食材を届けに来た馬車か。

その馬車はすんなりと街の中に入っていった。

更に、その馭者が言うには、もう1台後から来るらしい。

 

「…つかえるな」

「えぇ、直ぐに次の馬車を迎えに行きましょ」

 

てことでちょっと街道を戻ることに〜。

 

 

 

 

 

「そこの馬車、止まってください!」

 

ジェイドがもう1台の馬車を街道で止めた。

話をしに近寄ってみると、そこに乗っていたのはエンゲーブの町長さんだった。

 

「カーティス大佐じゃないですか!それに確か…、ルークだったかい、旅の人…」

「ティアだ」

 

ガズッ!

 

「ひでぶ」

「ティア。あまり叩くと記憶障害を引き起こしかねません」

 

ジェイドの言葉にティアは何も答えることのなく、下がった。

 

「すみませんが、この馬車に匿ってもらえませんか?セントビナーに入りたいのですが、

導師イオンを狙う不逞な輩が待ちの入り口で見張っているのです。ご協力いただけませんか?」

 

ガイが交渉に出る。つか誰も助けてくれないのかよ…

 

「おやおや、こんなことが起きるとは、生誕祭のスコアにも読まれなかったけどねぇ

…まぁいいさ、泥棒騒ぎで迷惑を掛けたからね。お乗りよ」

「助かります」

 

こうして、無事セントビナーへ潜入成功!

 

 

 

 

 

 

 

「で、アニスはここにいるんだな?」

「マルクと軍の基地で落ち合う予定です」

 

ここにはマルクトの基地があるのか。

んじゃ、さっそくいくぞ〜。

 

「ルーク、あまり大きな行動は謹んで。オラクル兵がいるんだから」

「…ティア、そこまで俺は暴れキャラか?」

 

う〜む、なぜだ…

 

「なんだ?尻にしかれてるな、ルーク。ナタリア姫が妬くぞ?」

 

…ガイ、なぜそこでナタリア?

ティアは無言でガイの腕に抱きついた。

 

「…でぇっ!!」

 

いいな〜」

 

『声に出ていますよ、ルーク』

 

…仕様だもん、しょうがないもん。

 

「くだらない事を言うのはやめて」

「わ、わかったから俺に触るなぁっ!」

 

ガイ、そのまま倒れる。

哀れな…

 

「この旅でガイの女性恐怖症も克服できるかもしれませんね」

 

イオン、その言葉もどうかと思うぞ…

 

導師イオンは見つかったか?

セントビナーには訪れたいないようです

 

…ん?どこかで聞いた声に、思わず声がする方、セントビナー入り口へ目を向けると…

そこには六神将の姿が眼に映った。

リグレット、アリエッタ、…ラルゴ、生きてたのか。

それに、知らない奴が1人居るな。まぁ格好からして六神将の1人だろう…

 

「イオン様の周りにいる人たち、ママの仇……この仔達が教えてくれたの。アリエッタはあの人たちのこと絶対許せない…」

 

アリエッタ、…ママの仇?俺たちが…か?

 

「フォンマスターガーディアンがうろついてたってのはどうなったのさ」

「マルクト軍を接触していたようです。もっともマルクトの奴らめ、機密事項と称して情報開示に消極的でして…」

 

誰か分からぬ六神将の一人が兵士にアニスの事を聞いている。

…内容からすればアニスは無事か。残念(ぇ

 

「俺がネクロマンサーに後れを取らなければ、アニスを取り逃がすこともなかった。面目ない」

 

おや、ラルゴさん。意外と男らしいすね。

 

「ハーハハハハハハ!だーかーらー言ったのです!」

 

…ん?妙な笑い声と共にもう一匹妙なのが増えたな。

あれも六神将の1人か?

 

「あの性悪ジェイドを倒すのはこの華麗なる神の使者、オラクル六神将、薔薇のディスト様だけだと!」

「薔薇じゃなくて死神でしょ」

 

…意外と仲悪いのか?

貶し合ってる様にしか見えんぞ…

 

「この美しい私がどうして薔薇でなく死神なんですかっ!」

「過ぎたことを言っても始まらない。どうするシンク?」

 

あ、リグレットが流した(汗

…シンク、烈風のシンクは奴か。

 

「…おい」

 

ディスト、君の気持ちはよく分かるよ。

 

「エンゲーブとセントビナーの兵は撤退させるよ」

「しかし!」

 

シンクの判断にラルゴが声を挙げる。

 

「アンタはまだ怪我が癒えていない。殺されかけたんだ、大人しくしてたら?

それに奴らはカイツールから国境を超えるしかないんだ。このまま駐留してマルクト軍を刺激すると外交問題に発展する」

「おい、無視するな!」

 

…哀れのディスト、これ安定だな。

 

「カイツールでどう待ち受けるか…ね、一度タルタロスに戻って検証しましょう」

 

リグレットの言葉ががその場を収め、六神将は兵を連れて撤退を開始した。

 

「きいいいいっ!私が美と英知に優れているから嫉妬しているんですねーーーっ!!」

 

流石だ、哀れのディスト(哀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マルクト帝国軍第三師団所属、ジェイド・カーティス大佐です。マクガヴァン将軍に取次ぎをお願いします」

「ご苦労様です。マクガヴァン将軍は来客中ですので、中でお待ちください」

 

オラクル兵が撤退した後、直ぐにマルクト軍基地へ向かい、直ぐに中へ通された。

 

「ですから、父上。オラクル騎士団は建前上スコアラーなのです。彼らの行動を制限するには、皇帝陛下の勅命が…」

「黙らんか!奴らの介入によってホド戦争がどれほど悲惨な戦争になったか、お前も知っておろうが!」

 

中では、おっさんと爺さんが言い争っていた。

 

「お取り込み中、失礼します」

「ネクロマンサージェイド…」

「おお!ジェイド坊やか!」

 

…ぷ、坊やって歳か?

 

「ご無沙汰しています、マクガヴァン元帥」

「わしはもう退役したんじゃ、そんな風に読んでくれるな。お前さんこそ、そろそろ昇進を受け入れたらどうかね。

本当ならその若さで、大将までになっているだろうに」

「どうでしょう。大佐で十分身に余ると思っているのですが」

 

…大将って、ジェイドってそんなにすごい奴だったのか?

 

「そうだ、お前さんは陛下の幼馴染だったな。陛下に頼んでオラクル騎士団を何とかしてくれんか」

「彼らの狙いは私たちです。私たちが街を離れれば、彼らも立ち去るでしょう」

「どういうことじゃ?」

「陛下の勅命ですので、詳しいことはお話できないのですよ。すみません」

 

じぃさんは少し残念そうな顔をした。

それを見かねたおっさんがジェイドに質問をする。

 

「カーティス大佐、御用向きは?」

「あぁ、失礼。オラクルのホンマスターガーディアンから、手紙が届いてませんか?」

「あれですか。…失礼ながら念のため開封して、中を確認させていただきました」

「結構ですよ。見られて困ることは、書かれていないはずですから」

 

その手紙を、おっさんがジェイドに渡す。

受け取ったジェイドは、手紙を読み何故か俺に渡してきた。

 

「どうやら半分はあなた宛のようです。どうぞ」

「何で俺宛なんだよ…」

 

親愛なるジェイド大佐へ♪すっごく怖かったけど何とか辿り着きました☆

例の大事なものはちゃんと持ってま〜す。誉めて誉めて♪

もうすぐオラクルがセントビナーを封鎖するそうなので、先に第2地点へ向かいますね♪

アニスの大好きな(恥ずかしい〜☆ 告っちゃったよぅ♪)ルーク様♪ご無事ですか?

すごーく心配しています。早くルーク様に会いたいです☆

ついでにイオン様のこともよろしく。それではまた☆アニスより…

 

「………目が滑る……」

「おいおいルークさんよ、モテモテじゃねぇか。

でも程々にしとけよ、お前にはナタリア姫っていう婚約者がいるんだからな」

 

だったらいいけどな〜。生憎ナタリアの相手は俺じゃない、オリジナルの方が御所望らしいぜ?

…まぁ〜、ただでオリジナルに譲る気は無いけどな?

 

「で、第2地点はどこなんだ?」

「カイツールの事です。ここから南西にある街で、フーブラス川を渡った先にあります」

「カイツールまで行けば、ヴァン謡将と合流できるな」

 

ガイはジェイドの言葉を聞き、そんなことを言い出す。

…ヴァンか。あの胡散臭い表情、…ティアとホントに兄妹なのか?

 

「兄さんが…」

「おっと。何があったか知らないが、ヴァン謡将と兄妹なんだろ?

バチカルの時みたいに、いきなり斬り合うのは勘弁してくれよ」

「…わかってるわ」

 

本当か?本当に分かってるのか?

 

「では、私たちはコレで失礼します」

「オラクルに追われているのなら、わしが力を貸すぞ。

わしはここの代表市民に選抜されたんじゃ。いつでも頼ってくれ」

「ありがとうございます。元帥」

 

こうして、アニスの手紙を受け取り、直ぐに次の目的地へ行くことに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カイツールでアニスと落ち合うために、セントビナーをあとにする俺たち。

しかし、カイツールへと通じる橋は災害で落ちてしまっていた。

俺たちは仕方なフーブラス川を歩いて横断することになった。

 

「此処を越えれば、直ぐにキムラスカ領なのか?」

「あぁ、フーブラス川を渡って少し行くと、カイツールって街が有る。あの辺りは非武装地帯なんだ」

 

さっさと帰りたいねぇ〜。

もういろんなことがめんどくせぇ。

 

「ご主人様、もう少しですの。がんばるですの!」

そだな、…コレからがんばらないとな

 

ナデナデ

ミュウの頭を撫でるのはもはや日課になりつつあるな〜。

撫でられているミュウも気持ちよさそうに、ナデナデに甘んじている。

 

「…可愛い♪」

「お前もな」

!…行きましょう

 

おぉ、ティアの顔が音を立てるが如く勢いよく赤くなった!

萌え…。

って、さっさと歩き出しちゃった。

 

「ルーク、面倒に巻き込んですみません」

「ん?別にいいってことよ」

 

ナデナデ

 

「あ…」

 

うむ、なんとなくイオンも撫でてみた。…何て言うか触り心地は女の子だな〜ってオイ、オレ、今、すごく危険な考えを持たなかったか!?

…オレはノーマルだ!

 

「さぁ、ティアが先に行ってしまいました。追いつきましょう」

「お〜」

 

真っ赤に染まったティアを追うため、俺たちは川の越えを開始した。

 

 

 

 

 

 

 

川を越え、やっと地面のある方へ行くと、突然、ライガに奇襲された。

 

「後ろからも誰か来ます」

 

ジェイドの言葉に振り向くと、そこにはアリエッタが居た。

 

「妖獣のアリエッタだ。見つかったか…」

 

ガイは渋い顔をしたが、直ぐに戦闘態勢に入る。

 

「逃がしません…っ」

 

アリエッタも既に戦闘態勢に入っている。

その表情は…、恨みを表している…?

 

「アリエッタ!見逃してください。あなたなら分かってくれますよね?

戦争を起こしてはいけないって」

「イオン様の言うこと…、アリエッタは聞いてあげたい…です。

でもその人たち、アリエッタの敵!」

 

ちょっと、何でオレを睨むのさ(汗

 

「アリエッタ。彼らは悪い人ではないんです」

「ううん……悪い人です。だってアリエッタのママを…殺したもん!」

 

ママの仇だ〜!?

…身に覚えが無いっすよ。

 

「アリエッタのママは、お家を燃やされてチーグルの森に住み着いたの。

ママは子供たちを…、アリエッタの弟と妹たちを守ろうとしてただけなのに…」

 

まさか…、ライガの女王のことか?

でも、アリエッタは人間だぞ?

 

「彼女はホド戦争で両親を失って、魔物に育てられたんです。魔物と会話できる力を買われて、オラクル騎士団に入隊しました」

 

イオンがその経緯を説明してくれた。

…あぁ、それで恨みが篭ってるのか。

 

「アリエッタのママを殺したあなたたちを許さないんだから!

地の果てまで追いかけて…、殺しますっ!」

 

と、アリエッタが行動を起こそうとした瞬間。

全員が予想していない出来事が起きた。

 

『うあっ!?』

 

突然の地震、各々体制が崩れる。アリエッタも例外ではなく、その場に座り込んでいる。

オレっちは少しだけ浮いているため、全然問題なし(ぁ

ん?周囲から、瘴気が漏れ出し始めた!?

 

「地震かっ!?」

 

自信家?…あ、失敬(ぁ

いや〜、ジェイドさんが言ったから、そう聞こえちまっただけだ(ぁ

 

「おい、この蒸気みたいなのは…」

「瘴気だわ…!」

 

ガイとティアもそれに気づいた。

 

「きゃっ!!」

 

って、アリエッタ瘴気に直撃!?

ライガも瘴気を吸って、その場に倒れてしまった。

 

「長時間、大量に吸い込まなければ大丈夫。とにかくここを逃げ…」

 

ティアは言葉を止めた。

その理由は、既に周囲は瘴気に包まれ逃げ場が無いからだ。

 

「…っ」

「譜歌を詠ってどうするつもりですか」

 

ジェイドがティアの動きに気づき、疑問を口にする。

 

「待ってください、ジェイド。この譜歌は…――ユリアの譜歌です!」

 

キュイイイイイン!

術が発動した途端、瘴気は消え、地震も収まった。

 

「瘴気がもつ固定振動と同じ振動を与えたの、一時的な防御壁よ。長くは持たないわ」

 

そう言えば、噂程度だが聞いたことが有る。

ユリアが残したと伝えられる七つの譜歌…

だが、暗号が複雑で、詠みとれた者が居なかった筈だが…?

 

「詮索は後だ。ここから逃げないと」

「――そうですね」

 

ガイが無理やり話を止め、ジェイドもそれに同意した。

さて、オレっちはやることがあるので、アリエッタに近寄る。

 

「ルーク、何をするつもりだ?」

 

ガイがオレに気づき、止めに来た。

 

「う〜ん、ちょっと嫌がらせだ♪」

 

ガイの制止を避け、アリエッタを抱きかかえる。

そのまま瘴気の出ない場所まで運び、そこへ寝かせる。

…ライガも一緒に運んどくか。

 

「ルーク!」

 

ティアも止めに来た。

 

「まぁまぁ、唯で助けるわけじゃないって」

 

フフフフフ、オレは日記帳を取り出し、書き込みをする。その部分を千切ってアリエッタの胸元へ差し込む(ぁ

 

「まぁ、その内わかるさ」

「…まぁいいでしょう。では行きますよ」

 

ジェイドは納得してない様子だったが、渋々アリエッタを見逃すことを了承してくれた。

フフフフフ、ハハハハハハ!この手紙を見る、あいつがどういう反応をしめすか楽しみだ♪

ん?内容は秘密だ!

てことで、改めてカイツールへしゅっぱ〜つ!