「少しよろしいですか?」

 

カイツールを目の前ににして、ジェイドが皆を止めた。

…やはり、さっきのティアの使った譜歌が気になるんだな?

オレも気になる!

 

「ティアの譜歌の件ですね」

 

イオンも気にしていたらしい。

 

「えぇ、前々から、おかしいとは思っていたんです」

「あはは、可ッ笑しい!あははは〜!おっかしいい〜!」

「そっちじゃない!」

 

ドゴッ!

ガイにぶっ飛ばされた。30メートルぐらい…

冗談なのに(ぁ

 

「ティアの使う譜歌は私の知る譜歌とは違う。しかもイオン様によれば、これはユリアの譜歌だというではありませんか」

 

まぁ、ユリアの譜歌は特別だからな〜。

そもそも譜歌ってのは、譜術における詠唱部分だけを使って、旋律と組み合わせた術だ。

ふっちゃけ譜術ほどの力は無い。…だが、ユリアの残した譜術は違う。

ユリアが遺した譜歌は、譜術と同等の力があるらしい。

…何故それをティアが使用可能なのか、…予想は出来る、簡単な事だ。ティアがユリアの血縁者だってのが一番簡単な答えだ。

 

「…私の譜歌は、確かにユリアの譜歌です」

 

少し、苦い顔をしつつ、ティアは正直に答えた。

 

「ユリアの譜歌は、譜と旋律だけでは意味を無さないのではありませんか?」

「譜に込められた意味と象徴を正しく理解し、旋律に乗せるときに隠された英知の地図を作る。

…って話らしい。一子相伝の技術みたいなものらしい」

 

「え…えぇ、その通りよ。よく知っているわね」

 

ガイの言葉にティアは戸惑いを見せた。

 

「昔、聞いた事があってね」

 

…なぁ、ガイ。お前ちょ〜っとカードを切りすぎじゃないか?

いくらなんでも怪しいぞ?

 

「あなたは何故、ユリアの譜歌を詠う事が出来るのですか。誰から学んだのですか?」

「…それは私の一族が、ユリアの血を引いているから。…だという話です。

本当かどうかは知りません」

 

あら、ジェイドの言葉にあっさりとティアは答えた。

 

「ユリアの子孫…なるほど…」

 

…まて、と言うことは、ヴァンもユリアの子孫か?

となると、ヴァンもユリアの譜歌を詠える可能性があるな…

やっかいな…

 

「ありがとうございます。いずれ機会があれば、譜歌のことを詳しく伺いたいですね。

特に”大譜歌”について」

 

…大譜歌、ユリアがローレライと契約した証であり、その力をふるう時に使った譜歌のことだったな。

 

「そろそろ行きましょう。もう疑問にはお答えできたと思いますから」

 

もうこの話はされたくないか…

ティアのその言葉に、話を終了させ、カイツールに向けて歩き出すことに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事フーブラス川を抜けた俺たちは、国境の砦カイツール到着!

長かった。もう6話だな〜…いや、失礼。

 

「あれ、アニスじゃねぇか?」

 

中へ入ると、すぐに目に入ったのは、相変わらずぶりっ子なアニスが兵士に絡んでいる様子だった。

 

「証明書も旅券もなくしちゃったんですぅ。通してください、おねがいしますぅ」

「残念ですが、お通しできません」

 

ははは、ざんね〜ん。

 

「…ふみゅ〜ん」

 

…うむ、背筋がぞっとした。その鳴き声は何だよ(汗

で、次の瞬間…

 

「…月夜ばかりと思うなよ」

 

うはっ!口調が変わった!?低音効いてるな〜…裏表激しいなアニス(汗々

 

「アニス、ルークに聞こえちゃいますよ」

 

いや、ばっちり聞いた。

まぁ彼女の一面だと思い込むのが一番安全な考え方だろう(逃

 

「ん?…きゃわーん☆アニスの王子様♪」

 

一番最初の言葉は”ん?”はすっごくダークだったが、そこからオレを見た瞬間、高音の領域へ一気に変わった。

そのまま抱きつかれそうになったので、頭を抑えて止める。

 

「…女ってこえぇー」

 

ガイ、アニスは特別だから、そんなに怯えなくてもいいぞ?

 

「ルーク様♪ご無事で何よりでした〜!もう心配しました〜!」

「こっちも心配したぞ。魔物と戦ってタルタロスから墜落したって?」

「そうなんです…。アニス、ちょっと怖かった…。てへへ」

 

あぁ、ちょっと相手するの辛いかも…

 

「そうですよね。『ヤローてめーぶっ殺す!』って悲鳴あげてましたもんね」

 

イオン。それ、悲鳴違う(汗

 

「イオン様は黙っててください!

ちゃんと親書だけは守りました。ルーク様♪誉めて♪」

「あぁ、偉いな〜」

 

ナデナデ

 

「きゃわん♪」

 

嬉しそうに撫でられるアニス。

…いつか素の彼女と話をゆっくりしてみたいものだな〜。

 

「無事で何よりです」

「あはー☆大佐も私のこと心配してくれたんですか?」

「えぇ、親書が無くては話になりませんから」

 

ひでぇ(汗

 

「ところで、どうやって検問所を越えますか?私もルークも旅券がありません」

 

ナイスだティア、話の腰を見事に折ってくれたな!

 

「ここで死ぬ奴に、そんなものはいらねぇよ!」

 

ん?見知らぬ声が響く。

上か…。

1つの影が頭上よりオレを狙って降って来る。

アニスは直ぐにイオンの側へ移動、ほかの者も警戒態勢をとる。

オレは…、どこぞのアフォの攻撃を受け止めた。

 

「…お前かよ」

 

オレは、目の前のアフォの腹に魔力を練りこんだ拳をお見舞いした!

ドゴッ!と辺りに音が響き、吹っ飛んだ。

 

「ぐっ!」

 

ほう、流石ルーク・オリジナルだ。少し呻き声をあげたが、直ぐに体制を立て直して剣を構える。

因みに、位置関係が幸いして、アッシュの顔は俺以外には見えない位置いた。

まあ、そうなる様にあの位置に吹っ飛ばしたんだが(ぁ

…この様子だと、”アリエッタの胸元に差し込んだ手紙”はまだ読んでないんだな。

ちょっと残念。

 

「退け、アッシュ!」

 

俺とアッシュの間にヴァンが割り込んできた。

いいとこ取りかコノヤロウ!

 

「…ヴァン、どけ!」

「どういうともりだ、私はお前にこんな命令をだした覚えは無い。退け!」

 

アッシュは何も言わず、その場から飛び去っていった。

…まぁ、その瞬間の隙をつき、背中に張り紙を引っ付けたのは秘密だ♪

 

「…ヴァンか」

「ルーク。今の避け方はなかなかだった」

 

避けてねぇぞ…

とそのヴァンと会話中、視界に入ったのはまた殺し合いを始めようとするティアが目に入ったので止める。

 

「ティア、殺気立つな」

「…!」

「ティア、武器を収めなさい。おまえは誤解をしているんだ」

「誤解…?」

「頭を冷やせ。私の話を落ち着いて聞く気になったら、宿まで来るがいい」

 

ヴァンはそのまま宿へ向かった。

 

「ティア、ここはヴァンの話を聞きましょう。

分かり合える機会を無視して戦うのは愚かな事だと、僕は思いますよ」

 

イオンが落ち着かせるように言いながら、ティアに近寄る。

 

「そうだぞ。…それに、今のお前じゃヴァンは殺せねぇ」

「私が弱いと言いたいの!?」

「…アフォ、そういう意味じゃねぇ」

 

覚悟の問題だ。…今のティアは迷いが表情に出すぎてる、そんなんで殺すことなんて出来やしねぇ。

 

「…イオン様のお心のままに」

 

え、オレはスルー!?

 

「じゃあヴァン謡将を追っかけるか」

 

ガイの言葉で、俺たちは宿に向かった。

 

 

 

 

 

 

宿に入り、ヴァンとの会話を開始する

 

「頭が冷えたか?」

 

ブリザガ!…あぁ、失礼。ゲームが違った(ぁ

 

「…なぜ兄さんは戦争を回避しようとなさるイオン様を邪魔するの?」

「やれやれ、まだそんなことを言っているのか」

 

それはアナタが胡散臭いからでは?

 

「でも六神将がイオン様を誘拐しようと…」

「落ち着け、ティア。そもそも、私は何故イオン様がここに居るのかすら知らないのだぞ。

教団からは、イオン様がダアトの教会から姿を消したことしか聞いていない」

 

…それは嘘だろ。

 

「すみません、ヴァン。僕の独断です」

「こうなった経緯を、ご説明いただきたい」

「イオン様を連れ出したのは私です、私がご説明しましょう」

 

ジェイドがイオンの代わりに説明する。

 

「なるほど、事情はわかった。確かに六神将は私の部下だが、彼らは大詠師派でもある。

おそらく大詠師モースの命令があったのだろう」

 

なるほどね〜、ってそんなことは分かってる。

でもって、アンタも関与してそうで怪しいですが?

 

「ヴァン謡将が呼び戻されたのも、マルクト軍からイオン様を奪い返せってことだったのかもな」

「あるいはそうかもしれぬ。先程お前たちを襲ったアッシュも六神将だが、奴が動いていることは私も知らなかった」

 

ガイの言葉に、ヴァンも考えを吐く。

 

「じゃあ兄さんは無関係だっていうの?」

 

…私的に首謀者の気がしてならないです。

 

「いや、部下の動きを把握してなかった点で言うと無関係ではないな。

だが、私は大詠師派ではない」

 

そうなのか?

 

「六神将の長であるために大詠師派ととられがちだがな。

それよりティア、お前こそ大詠師旗下の情報部に所属しているはず。何故ここにいる?」

「モース様の命令で、あるものを捜索しているの。それ以上は言えないわ」

「第七譜石か?」

「――機密事項です」

 

第七譜石は、確か始祖ユリアが2000年前に詠んだスコアだったよな〜。

世界の未来氏が書かれているから、あまりに長大なスコアで、それが記された譜石も山ほどの大きさのものが7つになる。

それが様々の影響で破壊され、一部は空に見える譜石帯となり、一部は地表に落ちた。

…地表に落ちた譜石はマルクトとキムラスカで奪いになって、これが戦争の発端となった。

譜石があれば世界の未来を知ることが出来るからな〜。

第七譜石はユリアがスコアを詠んだ後、自ら隠したと言われている。ゆえに様々な勢力が第七譜石を探している訳だ」

 

「…ルーク、お前意外に勉強してたんだな」

「は?」

 

ガイ、信じられない顔でオレを見るのはヤメレ。

他の者たちも似たような表情だ。

…いいけどね(泣

 

「声にでてたですの」

 

…ミュウ、言わずとも分かってることだ(投

 

「ティアが探してるのか?」

「さぁ、どうかしら…」

 

すっとぼけ〜♪

 

「まあいい、とにかく私はモース殿とは関係ない。

六神将にもよけいなことはせぬよう命令しておこう。

効果のほどはわからぬがな…」

 

…期待しない方がいいな。

 

「ヴァン謡将、旅券の方は…」

「あぁ、ファブレ公爵より臨時の旅券を預かっている。

念のため持ってきた予備もあわせれば、丁度人数分になろう」

 

…人数分ね、こういう時に起きる偶然は用意されてる場合が多い。まぁ、国境越えが出来るならいいか。

その後、旅券をヴァンから受け取り、すこし休んでいくことになった。ヴァンは先に国境を越え、船の手配をするそうだ。

落ち合う場所はカイツール軍港に決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おぉい、あのですね、港から怪しげな爆発音とかしますよ?

 

「魔物の鳴き声…」

 

カイツール軍港が、たった今襲われています!?

1匹、俺たちの頭上を飛び去っていく魔物を発見。

 

「あれって…、根暗ッタのペットだよ!」

 

寝喰らった?…アニス、そんな事してんのか」

 

「ち、違いますよ!ルーク様!」

 

…おや、声に出てたか。

 

「根暗ッタって…?」

 

ガイの頭に?マークが付いてるが萌えない(ぉ

 

「アリエッタ!六神将妖獣のアリエッタ!」

 

あぁ、アリエッタを喰ったのか」

 

「だ、だから!違いますよルーク様!」

 

アニス、必死だな♪

 

「港のほうから飛んできたわね、行きましょう」

 

ティアは何事も無かったように、港へ向かって足り出す。

…まぁ、頬が引きつっていた事をオレは見た!

 

「ほら、ルーク。アニスで遊んでないで行きますよ」

「うい」

 

 

 

 

「…うげ」

 

港内部は既にボロボロになっていた。

そして、ヴァンとアリエッタが睨みあっているのが目に入った。

 

「アリエッタ!誰の許しを得てこんなことをしている!」

「やっぱり根暗ッタ!人に迷惑掛けちゃだめなんだよ!」

 

アニス、幾らなんでも根暗は酷いんじゃないか?

 

「アリエッタ、根暗じゃないモン!アニスのイジワルゥ〜!!」

 

…そうそう、物静かなだけだ!

可愛いんだぞ!?

萌え萌えだ!

……コホン、続きどぞ(ぉ

 

「何があったの」

「アリエッタが魔物に船を襲わせた」

 

ティアの言葉にヴァンが答える。

 

「総長…ごめんなさい…。アッシュに頼まれて…」

 

何や?…あのアフォが。オレのアリエッタになんて事を頼むんだ!?

 

「アッシュだと…」

 

ヴァンの顔色が変わる、少し考える仕草が隙を生み、アリエッタは魔物と上空へ逃げる。

 

「船を修理できる整備士さんはアリエッタが連れて行きます。

返して欲しければ、ルークとイオン様がコーラル城へこい…、です。

二人がこないと…、あの人たち…殺す…です」

 

…俺もかよ。

アリエッタはそれだけ言うと、どこかへ飛び去っていった。

恐らくコーラル城か…。

 

「船は?」

「…すまん、全滅のようだ。

機関部の修理には専門家が必要だが連れ去られた整備士以外となると訓練船の帰還を待つしかない」

「アリエッタが言っていた、コーラル城とは?」

「ジェイド、俺んちの別荘だ。前の戦争で戦線が迫ってきたから放棄したんだとさ…」

 

7年前、オレが…この体が作り出された時、発見されたのがコーラル城だ。

…あそこには色々機材も揃っているからな〜。

ん?イオンは分かるが、俺をご指名って事は…、あの機械でオレのデータを取りたいって事か?

 

「行く必要はなかろう、訓練船の帰港を待ちなさい。アリエッタのことは私が処理する」

「…ですが、それではアリエッタの要求を無視することになります」

 

イオンの言う通り、整備士の命が掛かってる訳だからな。

 

「今は戦争を回避するのが重要なのでは?

ルーク、イオン様をつれて国境へ戻ってくれ。ここには簡単な休息施設しかないのでな。

私はここに残り、アリエッタ討伐に向かう」

 

ヴァンはそう言い切り、直ぐに準備をするためどこかへ行ってしまった。

 

「導師イオン!」

 

俺たちが移動を開始しようとしたら、2人の見習い整備士が声を掛けてきた。

 

「妖獣アリエッタにさらわれたのは、我等の隊長です!

お願いです!どうか導師様のお力で隊長を助けてください!」

 

あ〜、居るよね。人任せで自分は動かない奴…

 

「隊長はスコアを忠実に守っている敬虔なローレライ信者です。

今年の生誕スコアでも、大厄は取り除かれると詠まれたそうで安心しておられました」

 

スコア、外れてないか?

 

「お願いします!どうか…!」

 

んでもって、イオンの性格上…

 

「…分かりました」

 

ほら、やっぱり…

 

「よろしいのですか?」

「アリエッタは私に来るよう言っていたのです」

「私も、イオン様の考えに賛成します」

 

ティアにしては珍しい言葉だな。

態々、危険な目にあいに、自ら飛び込んでいくようなキャラじゃないと思っていたんだが…

 

「厄は取り除かれるとスコアを受けた者を見殺しにしたら、スコアを無視した事になるわ。

それではユリア様の教えに反してしまう。それに…」

「それに?」

「…なんでもない」

 

…さよか。

 

「確かにスコアは守られるべきですがねぇ」

「あのぅ、私もコーラル城へ行ったほうがいいと思うな」

「コーラル城へ行くなら、俺もちょっと調べたい事がある。ついてくわ」

 

ジェイド、アニス、ガイも行く気満々かよ…

 

「アリエッタも女性ですよ?」

「お、思い出させるなっ!」

 

ガイ、モテモテなのに女性恐怖症なすごくかわいそうなやつだ。…しつこいか♪

 

「ご主人様も行くですの?」

「ん?勿論、行くぞ」

 

アリエッタ救出作戦だな(違

…てこどで、今度はコーラル城へしゅっぱ〜〜つ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……胸に何か」

 

アリエッタが、瘴気に当てられて気を失って数時間、彼女が目を覚ました。

自分の胸元に違和感を感じ見ると、何か紙が2枚差し込んであった。

 

「…何?」

 

恐る恐る、その紙を取り出す。

そして、内容を見ると、彼女は激しく動揺する。

アリエッタ嬢へ。

ぃょぉ、ルーク・レプリカだ。

あ〜、まずは誤っとく。すまないな…、知らなかったとはいえ、母親を殺しちまって。

許せとはいわない、恨んで結構だ。ただ、復讐はもう少し待てないか?

まだ、やるべき事が残ってるからな。その後なら幾らでも殺されてやるよ…

っと、話は変わるが、お前の妹、ライガ・クイーンの側にあった卵なんだが、1つだげ無事なのがあってな。

実はその卵が孵化して、今育ててるんだが…。

育て方が分からん!

あ、いや、育てることは出来るんだが、それはお前に託したほうがいいだろ?

まぁ、そこらへんの事は、”コーラル城”で話そうじゃないか。

楽しみにしてるぜ?

by オリジナルよりカッコいいお兄さんより♪

 

「…妹?」

 

アリエッタの手が震えていた。

だが、彼女も六神将の1人、直ぐに気を取り直しもう一つの紙を見る。

此方は封筒に入っていて、何か大切な物だろうか?とアリエッタは首を傾げたが、直ぐに封を切ろうとする。

 

「…ちぎれない」

 

その封筒は何の細工がしてあるのか、彼女では開けられなかった。

 

「…」

 

しかたなく、諦めて、アリエッタは他の六神将と落ち合うべく、動き出した…