ヴァンと共に、牢を出て、城の門前に来た。

そこには、既にメンバーは集まっていた。

 

「兄さん…」

 

ティアが複雑そうな顔をしているが、コレばかりはしょうがないからな〜。

 

「話は聞いた、いつ出発だ?」

「そのことでジェイドから提案があるらしいですよ」

 

ん?

 

「ヴァン謡将にお話するのは気が引けるのですが…、まあいいでしょう。

中央大海をオラクルの船が監視しているようです。大詠師派の妨害工作でしょう。

まあ大詠師派かどうかは未確認ですが。―― とにかく海は危険です」

「…じゃあどうする?陸から行くのか?」

「えぇ、海へおとりの船を出港させて、我々は陸路でケセドニアへ行きましょう。

ケセドニアから先のローテルロー海はマルクトの制圧下にあります。

船でカイツールへ向かうことは難しくありません」

「なるほど。では、こうしよう。私がおとりの船に乗る」

 

は?ヴァンがそんなことを言い出した。

 

「私がアクゼリュス救援隊に同行するのは発表されているのだろう?

ならば私の乗船で信憑性も増す。オラクルはなおのこと、船を救援隊の本体だと思うだろう」

「よろしいでしょう。どのみちあなたを信じるより他にはありません」

 

いいのかジェイド、こんなの信じて…

 

「でもな〜」

「ルーク、私を信じられないか?」

「うん」

『…』

 

最近、場の沈黙が多いよな〜

 

「ま、まぁいいのでは?…ティアがいるから」

「わ、私?」

「あぁ、ティアだな」

「えぇ、ティアですから」

「…ティアだからな」

「み、皆何を納得してるの?」

 

さぁ?

 

「では、私は港へ行く。ティア、ルークを頼むぞ」

 

そう言い、ヴァンは直ぐに港へ歩いていった。

 

「こちらは少人数の方が目立たなくてすみます。、れ以上同行者を増やさないようにしましょう。

話を通しておきますので、街の出口で待っていてください」

 

ジェイドもそう言って、先に行ってしまった

 

「で、残ったのはティアと女嫌いか…」

「誤解を招くような言い方するな!女性は大好きだ!」

「女好きと声高に言うのはどうかしら…」

「そ、そうじゃないっ!そうじゃなくて…」

「さ、行こうぜ」

「人の話を聞け〜っ!」

 

ハハハ、流石はガイだな。

 

 

 

 

 

 

「ルーク様ぁ!」

 

ジェイドとの合流地点へ向かう途中、ちびっこと遭遇した。

あれ、同志イオンの姿が見当たらない…

 

「会いたかったですぅ♪…でもルーク様はいつもティアと一緒なんですね。…ずるいなぁ」

「あ…ご、ごめんなさい。でも安心して、アニス。好きで一緒にいる訳じゃないから」

 

…きっついわ〜

 

「アニス。イオン様についていなくていいんですか?」

 

と、そこに聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「大佐!それが…朝起きたらベットがもぬけの殻で…。

街を捜したら、どこかのサーカス団みたいな人が、イオン様っぽい人と街の外へ行ったって…」

 

それって…、漆黒の翼か?

 

「…やられましたね」

「オラクルと漆黒はグルか…」

 

しょうがないな〜。

 

「追いかけるか?」

「駄目だよ〜!街を出てすぐのトコに六神将のシンクがいて、邪魔するんだもん」

「…ん?まずくないか?六神将が居たら俺らが陸路を行くことも知られるぞ…」

 

いきなり足止め?

…う〜ん、どっかいい抜け道あったかな〜。

 

「ほえ?ルーク様たち、船でアクゼリュスへ行くんじゃないんですか?」

「いや、そっちはおとりだ。…さて、どうやって外にでるかな〜」

「それなら私も途中まで連れてって!街の外に出られればイオン様を捜せるから!」

「…どうする?ジェイド」

「仕方ないでしょう。しかし今回のイオン様誘拐にはモースの介入はないようですね」

「そうですね。怒ってたもん、モース様」

「ん?てことは六神将とモースは繋がっていない…?」

「だからと言って、モースが戦争を求めていることの否定には繋がりませんがね」

 

そらそうやな〜。

 

「六神将はイオンをどうしたいんだ?…前は確か、セフィロトに連れて行かれてたよな」

「推測するには情報が少ないですね。それよりこの街をどうやって脱出するかです」

 

空を飛んで抜けだすとか…、地面に穴を掘るとか…。この際船で…。

 

「待てよ。…いい方法がある」

 

ガイが何かにひらめいた!

 

「旧市街にある工場跡へ行こう、天空客車でいけるはずだ」

「あぁ〜、その手があったか。迷わなければいいけど…」

『…』

 

ま、まぁ、ともかく工場跡へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチカルの周囲に網を張る六神将を欺くため、俺たちは既に使われなくなった工場から、バチカルを抜け出そうと頑張っています!

 

「暗いな」

「バチカルが、譜石の落下跡だってのはしってるな。

此処から奥へ進んでいくと、落下の衝撃で出来た自然の壁を突き抜けられるはずだ」

「なるほど、工場跡なら…」

「―― 排水を流す施設がある」

 

ガイの言葉を聞き、ジェイド、ティアは直ぐに気づいた。

 

「そういうこと。ここの排水設備は死んでいるが、通ることはできるはずだ」

「まぁ、ガイ。あなた詳しいのね」

 

…………どこかで…聞き覚えのある…声が…後ろから聞こえてきた。

振り向くと…、あ〜…、お姫様がいらっしゃいました。

 

「見つけましたわ」

「…お前、なんでここに」

「決まってますわ。宿敵同士が和平を結ぶという大事な時に、王女の私が出て行かなくてどうしますの」

「…お前、アフォだろ。下手したら魔物とかじゃなくて、人間とも戦うことになる」

「私だって三年前、ケセドニア北部の戦で、慰問に出かけたことがありますもの。覚悟は出来ていますわ!」

 

…か、勘弁してくれ(汗

 

「慰問と実際の戦は違うしぃ。お姫様は足手まといになるから残られたほうがいいと思いま〜す♪」

「失礼ながら、同感です」

 

アニス、ティア両名も、流石に引いてる。

 

「ナタリア様。城へお戻りになったほうが…」

「お黙りなさい!わたくしはランバルディア流アーチェリーのマスタークラスですわ。

それに、ヒーラーとしての学問も修めました!

その頭の悪そうなオラクルや無愛想なオラクルより役に立つはずですわ」

 

…言いたい放題だな(汗々

因みに、前者はアニスで後者はティアの事だ…

 

「…何よ、この高慢女!」

「下品ですわね。浅学が滲んでいてよ」

 

…ちょとちょと、低レベルな争いすんな!

 

「呆れたお姫様だわ…」

 

ティアが頭を抱えているが…、同意するぞ(ぁ

 

「これは面白くなってきましたねぇ」

「…だから女は怖いんだよ」

 

ジェイド、楽しむな。ガイ、楽しめ(ぉ

 

「…ついてくんなよ」

「…あの事をばらしますわよ」

「ん?」

「私、聞いてしまいましたの。あなたがヴァン謡将と城の地下で…」

「は〜い、ちょっとこっちにきましょうねぇ〜♪」

 

とりあえず、ナタリアの手を引き、皆とは少し離れた場所で話しをはじめる。

 

「…どこまできいた?」

「アナタが誘拐したのがあの方で、ダアトに亡命なさる…ということですわ」

「それだけか?」

「えぇ、他には聞いていません。わたくし立ち聞きしにいった訳ではありませんもの。

ただアナタにわたくしを連れて行ってくださるようお願いしようと思って…」

「危ないんだ」

「傷ぐらい治しますわ」

「その前に殺されるかもしれない」

「アナタが守ってくれますわ。あの時のように…」

「…あの時は偶々一緒に居たからであってだな。………はぁ、危なくなったら、直ぐに退け、いいな?」

 

うぅ、視線が痛くて負けました(ぁ

とりあえず、指きりっと♪

 

「…指切り、お嫌いではなかったの?」

「そら〜、指を切られるのは嫌だろ」

「…」

「…」

「何でもありませんわ」

 

とまぁ、話がまとまったので、皆のところに戻る。

 

「…ナタリアに来てもらうことになった」

『…』

 

あぁ、やっぱり呆れられてるし(泣

 

「よろしくお願いしますわ」

 

さも当然のように姫様は言い放った。

空気読めよ…

 

「…ルーク、見損なったわ」

「ま、まぁ、今回は大目に見てやってくれ…」

 

うぅ、視線が痛い…

 

「あ、そうですわ。今後わたくしに敬語はやめて下さい、名前も呼び捨てること。

そうしないと、王女だとばれてしまうかも知れませんから」

既にばてばれ…

「何か言いまして?」

「いえ、なんでもございません」

 

…はぁ、…もうなんでもいいや(投

 

 

 

 

 

「おぉぃ、姫様。もう少しゆっくり歩けよ」

「なんですの?もう疲れましたの?だらしないことですわねぇ」

 

お前が元気過ぎなんだ…

 

…うはー。お姫様の癖に何、この体力バカ

「何か仰いました?」

「べっつにー」

 

アニス、頼むから突付くのは止めてくれ。皺寄せがこっちに来るから(ぁ

 

「導師イオンが拐されたのですよ。それにわたくしたちは苦しんでいる人々のために、

少しでも急がなければなりません。違っていまして?」

「確かにその通りだ。だが、この辺りは暗い、少し慎重に進むべきだ」

「そうですよ、ナタリア様。少しゆっくり歩きませんか?」

 

俺の言葉にガイが同意し、姫に尋ねる。

 

「ガイ!わたくしの事は呼び捨てにしなさいと言った筈です」

「おっと。そうでした。失礼…ではなくて悪かったな」

 

…はぁ、マイペースっぷりは最高クラスだな。

 

「ナタリア。この六人で旅する以上、アナタ一人に皆があわせるのは不自然です。

少なくともこの場では、アナタは王族という身分を捨てている訳ですからね」

「…確かにそうですわね。ごめんなさい」

 

おぉ、流石ジェイド。場が少し落ち着いた。

 

「あれ、案外素直」

「いちいちうるさいですわよ」

 

アニス、だから突っつくなって(汗

 

「やー、皆さん。理解が深まったようですね。よかったよかった」

 

…ジェイド、僕はさむいくて凍えそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

随分奥へと進んできた。

その間、ナタリアを説得してみるも効果はなく、未だに一緒に行動中…

はぁ、もうこれは憑かれたな。ガイ(ぇ

 

「…ん?」

「ルーク、どうかしましたか?」

 

ジェイドが俺の様子が変わったことに気づき、話しかけてきた。

 

「いや…、ちょっと気配が…。匂いも変わった」

「この工場が機能していた頃の名残かな?それにしちゃ…」

 

チシィイィィィ…

む、音が聞こえる…。

どこだ………!

 

「上だ!」

 

上から降ってくる魔物が目に映った。

 

「危ない!」

 

ティアがナタリアを突き飛ばす!

ナタリアは体制を崩すが、直ぐに姿勢を整え戦闘態勢に入る。

他の者も、既に準備は満タンの様だ。

 

「うわっ!きたー!」

 

妙に油っこい魔物だな。

…まぁここの工場の油を摂取していたのか、…進化したのか?

 

「ルーク!」

 

おっと、目標は俺っちか…

 

「…ち、朱緋が使えねぇ〜」

 

なんだか妙に燃えそうだからな…

火事になったらそれはそれで面倒だし…

 

「ルーク!ぼさっとするな!」

「あ〜、わかってるって〜」

 

今にも目の前に迫っているが、気にしたら負けだ!

 

「ピアシスライン!」

 

ズシュッ!っと音をたて、魔物に突き刺さる矢。それはナタリアが俺に襲い掛かろうとした油ぎった爪?を止めた。

 

「ルーク、真面目に戦いなさい!その程度の敵なら一瞬で灰に出来るではありませか!」

「ナタリア、ここで炎を使うと火事になりかねないぞ?」

「あら…、そうでしたわね」

 

言いたいことはそれだけか〜?

 

「ってお待ちなさい!アナタは他にも攻撃方法を持っていましてよ!」

「…あれ?」

「あれ?じゃありませんわ!」

「…ルーク、今は出し惜しみをしている場合ではありません」

 

ジェイド、そこで出てくるかな…

 

「んじゃ、時間稼ぎよろしく」

 

俺は前線を離れ一番距離の離れた場所に移動。今前線で戦っているのはガイとアニスだ。

ジェイドも速攻で撃てる譜術で牽制、ナタリアも弓で牽制している。

 

「何かするの?」

「ティア、フォースフィールドで衝撃を抑えてくれ」

「…分かったわ」

「準備できたら教えてくれ」

 

さて、俺はいつでもOKだ!

 

「クロア リュオ ズェ トゥエ リュオ  レイ ネゥ リュオ ズェ 」

 

うむ、綺麗な歌声だ!

 

「いつでもいいわ」

「うい、では…3、2、1、0」

「フォースフィールド!」

 

ティアが言葉を放つと、前線の2人。いや中距離のナタリア、ジェイドも包み込んだ。

5秒間程度無敵になる譜術。どこぞの吸血鬼が5秒も無敵に素敵な感じでダンディーなステップをしながら近寄って来る感だ(壊

 

「Der Freischutz」

 

俺は手を上に挙げそれだけ言うと…

銃を構えた女性が現れたと思ったその刹那、彼女の銃から魔弾が魔物へ打ち込まれた。

 

ドンッ!

 

「あら、強すぎたか…」

 

魔物がいた場所にはデカイ穴が開いているだけで、魔物の影の形もなかった。

因みに、今のは召喚の一種だ。まぁ、元ネタが知りたければgooの国語辞典でも使って調べてくれ(ナニ

 

「ルルルル、ルーク!今のは何だったんだ!?」

「ガイ、落ち着け」

「落ち着いてられるか!巻き込まれるとこだったんだぞ!?」

「あぁ、大丈夫だ。元々味方に当てる気は無いし、保険としてティアに防御結界を張ってもらった訳だし?」

「ガイ、ルークは今の攻撃でも十分手加減してますのよ」

「はぁ!?」

 

アハハ、間抜け面だな〜。

 

「まぁ、その話は追々として、今は先に進もうぜ?」

 

俺が無理やり歩き出した事によって、皆は納得の出来ない表情のまま渋々進みだした。

少し進んだところに非常口を見つけることができたので、さっさと抜け出すことに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出口を出た先に、思いも寄らぬ再開をすることに…

 

「…お前か!」

 

俺の姿を見て叫んだのは六神将”鮮血のアッシュ”だった。

まぁつまりルーク・オリジナルの事なんだが…

 

「相変わらず、いきなりなご挨拶だな」

 

アッシュは俺を認識した途端、攻撃を仕掛けてきたので、とりあえず避けて距離をとった。

う〜む、水も滴るいい男だな。てことは俺も同じかをだからカッコいいってことだ。よし自己暗示完了(壊

 

「アッシュ!今はイオンが優先だ!」

「分かってる!」

 

後ろに控えていたシンクが、アッシュに言う。

だが、本当にわかってるか?

 

「ナタリアはいい声で鳴くぞ?」

「!?貴様〜〜〜〜!!!」

「アッシュ!」

 

アハハ、おもれー(酷

 

「いいご身分だな!ちゃらちゃら女を引き連れやがって」

「そら〜お前よりカッコいいからな」

「〜〜〜〜〜!!」

 

あらら、何も言わないで船で行っちまった。

 

「う〜ん、俺とちっとも変わらん顔だったな」

「…どういうこと?」

 

ナタリアが複雑そうな表情を浮かべる、よく見ると他の皆もそんな表情だ。

 

「ところで…、イオン様が連れて行かれましたが」

「…あああ!!しまったーっ!」

 

ちょっとワザとらしいって、アニス。

 

「どちらにしても、おとり作戦は失敗だな…。バチカルに戻って船で行くか?」

「無駄ですわ」

「ん?」

「お父様はまだマルクトを信じていませんの。

おとりの船を出港させた跡、海からの侵略に備えて港を封鎖したはずです」

「陸路を行って、イオン様を捜しましょう。仮にイオン様が命を落とせば、今回の和平に影響が出る可能性もゼロではないわ」

「そうですよ!イオン様を捜してください!ついででもいいですから!」

 

アニス、ついでは酷いぞ?

 

「決めてください、ルーク。イオン様を捜しながら陸路を行くか…

或るいわナタリアを陛下に引き渡して、港の封鎖を解いてもらうというのも…」

「そんなの駄目ですわ!ルーク!わかってますわよね!」

 

あ〜、そんなに叫ぶなって。

 

「う〜む、ベストなのはナタリアにはこのまま帰って「いやですわ」…ふぅ、勝手にしろ」

 

と言う事で、話し合った結果?この先のザオ砂漠にある、オアシスを目指す事に…。

はぁ、ナタリアさんの夫は苦労しそうだな…。決して俺ではない…。アッシュ、頑張れ(投