いそいそ

 

俺は、魂の抜けた前の体と入れ替わるためティアの部屋にいます。

 

「…ご、ご、ご、ご主人様が2人居るですの〜〜〜〜!?」

 

しまった、ミュウの事忘れてた(ぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか、ミュウ。この事は絶対に秘密だ」

「わ、分かったですの」

 

よし、いきなり出鼻を挫かれたが、体を”フローリアン”の所に転送して俺はティアのベットに横たわる。

 

「んじゃ、眠いから寝る」

「…」

 

変のものを見るような視線を受けつつ、俺は眠りに入った。

 

 

 

 

 

 

「……いるの?アッシュ!」

 

…はて、何で俺はアッシュの服を着てるんだ?

 

「アッシュ!」

「聞いている。大声を出すな」

「とにかくタルタロスの打ち上げに関しては市長に…、お祖父様にお話して」

 

ティアはそう言って、部屋から出て行った。

なるほど、眠りに入ると同時にアッシュに繋がった訳か。

 

《聞こえるか、ルーク。お前はこっちだ。

俺とお前は完全同位体。つまりおまえはフォニム振動数まで同じ完全なレプリカだ》

《…で?》

《完全なレプリカとオリジナルの間には、フォンスロットを通じて繋がりが出来る。

お前のフォンスロットが俺の方に開くよう、コーラル城で操作した。

あれ以降、お前何度か俺の声を聞いただろう》

 

…こっちからも開けますよ?

 

《声だけじゃないぜ。俺はお前の体を操った。…まぁ、屑のお前には出来ないかもな》

《…リグレットの胸は最高だったな》

《あぁ、…ってオイ!》

 

アッシュがノリツッコミ!?

 

《貴様!あの後俺がどんな目にあったのか知っているのか!?》

《いや、被害にあう前にラインを切ったから知らんぞ》

《きさま――っ!俺は何度も撃ち殺されそうになったんだぞ!?》

 

あはは、生きてるからいいだろ。

 

《…気をつけとけよ》

 

だからこそ、此処で俺はアッシュに忠告する。

 

《なに?》

《いつ、勝手に体がナタリアを襲うか分からんぞ?》

《貴様――――――っ!!》

 

うひゃひゃひゃ

 

《まぁまぁ、そう慌てるなよ。まだ何もしないって》

《まだだと!?》

《冗談だ。それより、爺さんの話を聞きに行くんだろ?》

《…ちっ》

 

あはは、おもれ〜。

 

 

 

 

 

「どうかな、クリフォトの感想は」

「噂通り…、気持ちのいい所だ!って違う!」

 

うひゃひゃひゃ。

クリフォト、外郭大地に下に存在する魔界と呼ばれる場所。

何度かお忍びで来たが、好きにはなれない。

まぁ、アッシュは好きみたいだが(酷

 

《貴様!邪魔をするな!》

《冗談だって♪》

 

「大丈夫か?」

「…あぁ」

 

本気で心配そうな顔をする爺さんに、アッシュは悔しげに返事を返した。

 

「天は瘴気と外郭大地に覆われ、大地はむき出しのマントルの上を液状化した地殻の一部が流れている。

およそ人間の住む場所ではない」

 

じゃあこんな所に住むなよ…

 

「…あんたらも外郭へ移住したらどうだ」

「知っているだろう。我らには監視者の役目がある。この土地を離れるわけにはいかない」

 

何を監視してんだよ…

好きな人の部屋とか?(ぁ

まさかティアの部屋じゃないだろうな!?

じじいめ、殺す(マテ

 

「タルタロスを外殻にあげることは不可能ではないらしいな」

「タルタロスにパッセージリングと同様のフォニム活性化装置を取り付けた。

一度だけならアクゼリュスのセフィロトを刺激して、再びツリーを伸ばすことができるだろう」

「セフィロトツリーに載せられる形で外殻へあがれるんだな」

 

あぶなっかしい方法でいくねぇ〜。

 

「さよう。しかしそこまでして、あの陸艦が必要なのか?」

「必要だから言っている!」

 

老人相手に声を張り上げるなよ。

大人気ないんな〜。

 

「わかった。では今すぐにタルタロスへ移動するか?」

「移動する」

「では行こうか」

 

あらら〜、俺っちは置いてけぼりっすか。

まぁ、いいけどね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タルタロス内、アッシュはもちろん、ガイ、アニス、イオン、ナタリア、ジェイドのメンバーが揃っていた。

 

「これだけの陸艦をたった四人で動かせるのか」

「最低限の移動だけですがね」

 

アッシュの疑問にジェイドが答える。

操縦席に座っているのは、アッシュ、アニス、ガイ、ジェイドだ。

ナタリア、イオンは何も出来ないためジャマにならない場所で座っていた。

 

「ねぇ、セフィロトってあたしたちの外殻大地を支えてる柱なんだよね。

それでどうやって上に上がるの?」

「セフィロトというのは星のフォニムが集中し、セルパーティクルが吹き上げる場所です。

このセルパーティクルの吹き上げを人為的に強化したものが”セフィロトツリー”つまり柱です」

 

アニスの尤もな意見に、セフィロトに一番詳しいイオンが答える。

 

「要するに」

「要するな」

 

ガイの言葉を遮りアッシュが言い放った!

 

『…』

 

うひゃひゃひゃ

 

《き、貴様!》

《気にすんなって。ちょっとしたお茶目じゃないか》

 

操縦席で少し悶えるアッシュ。

それを白い目で見る他のメンバー。

 

「アッシュ、大丈夫ですか?」

「…あぁ、すまない」

 

見かねたジェイドが代表して、アッシュに聞く。

それに対し、しっかり誤るアッシュに残念賞をプレゼントだな。

 

「要していいか?」

「勝手にしろ!」

 

ガイ、律儀に確認せんでも…

 

「要するにセルパーティクルに吹き上げられるんだな」

 

一時的にセフィロトを活性化し、吹き上げたセルパーティクルをタルタロスの帆で受け一気に舞い上がるって事だな。

結構無茶だ。

 

「無事に行くといいのですけど」

「……心配するな。始めろ!」

《おやおや、ナタリアには随分お優しいな?》

《だまれ!》

 

もう、てれちゃって♪

その後、無事にタルタロスは上空へ舞い上がり、外殻大地へ戻ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ふぅ、NPCだと本体が暑くなってキーボードのさわり心地が悪い。つーか置いてる手が熱くてやってられない。

と言う事でキーボードを別に買ってみた訳だ》

《おい、貴様は何の話をしている?》

 

…気にしたら負けだ。

 

「ふぅ、うまく上がれたようですね」

 

ジェイドの安堵の声がブリッジに走った。

 

「ここが空中にあるだなんて信じられませんわね……」

 

ナタリアの意見も尤もだろう。

クリフォトを知らないと普通の人々は浮いていることなんて気づきもしないからな。

 

「それで?タルタロスをどこへつけるんだ?」

「ヴァンが頻繁にベルケンドの第一音機関研究所へ行っている。そこで情報を収集する」

 

ガイの問いにアッシュが答えた。

 

「俺はヴァンの目的を誤解していた。

奴の本当の目的を知るためには奴の行動を洗う必要がある」

「あたしとイオン様はダアトに帰して欲しいんだけど」

「こちらの様が済めば帰してやる。俺はタルタロスを動かす人間が欲しいだけだ」

 

アニスの言葉に対し、自分の目的ばっかりな返事をした。

自己中ばんざ〜い!

 

「自分の部下を使えばいいだろうに」

 

俺もガイに同意だ。

 

「それはできない。俺の行動がヴァンに筒抜けになる」

《…信用できる奴居ないのか?》

《ダマレッ!》

 

おぅ怖いねぇ〜。

 

「いいじゃありませんの。私たちだってヴァンの目的を知っておく必要があると思いますわ」

「ナタリアの言う通りです」

「…イオン様がそう言うなら協力しますけどぉ」

 

アニスはやる気なさげだな〜。

 

「私も知りたいことがありますからね。

少しの間、アッシュに協力するつもりですよ」

 

ジェイドの言葉に、ガイは少しだけ微妙な顔つきになった。

 

「ベルケンドはここから東だ。さあ、手伝え」

《お前は何でそんなに偉そうなんだ?》

《だまれと言っている!》

 

へいへい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アッシュ御一行は港へ到着した。

 

「確かベルケンドはあなたのお父様の領地でしたわね。昔二人でベルケンドの…」

「…街は南だ。行くぞ」

「アッシュ…」

 

ナタリアの思い出話にアッシュは流した。

な、何て冷たい対応だ(汗

 

《ぉぃぉぃ。もう少し優しく接してやれよ》

《貴様に言われる筋合いは無い!》

 

ホント、素直じゃないねぇ〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ベルケンド到着しました!と言っても俺じゃなくてアッシュだが。

第一音機関研究室へ到着し、中を探索中にとある人物を発見した。

 

「おまえさんはルーク!?いや…アッシュ…か?」

 

彼の名はスピノザ。

まぁ、自分が一番可愛いと思ってる科学者ってとこか…

 

「はっ、キムラスカの裏切り者が、まだぬけぬけとこの街に居るとはな。

……笑わせる」

「裏切り者ってどういうことですの?」

 

ナタリアがアッシュに理由を尋ねた。

 

「こいつは…俺の誘拐に一枚噛んでいやがったのさ」

 

ほう?こいつがねぇ〜。

 

「まさかフォミクリーの禁忌に手を出したのは…!」

「…ジェイド。あんたの想像通りだ」

「ジェイド!ネクロマンサージェイド!」

 

スピノザは驚き、ジェイドの方を見た。

 

「フォミクリーを生物に転用することは禁じられた筈ですよ」

「フォミクリーの研究者なら一度は試したいと思うはずじゃ!

あんただってそうじゃろうジェイド・カーティス!いやジェイド・バルフォア博士。

あんたはフォミクリーの生みの親じゃ!

何十体ものレプリカを作ったじゃろう!」

『!』

 

その言葉を聞いた他の皆が驚いた顔をし、ジェイドをみた。

ってそう言えば俺は知ってたが他の皆は知らなかったな。

 

「否定はしませんよ。

フォミクリーの原理を考案したのは私ですし」

「ならあんたにわしを責める事は出来まい!」

 

いや、禁止されてることをした時点でお前もダメだろ…

 

「すみませんねぇ。自分が同じ罪を犯したからといって相手をかばってやるような、傷の舐めあいは趣味じゃないんですよ。

私は自分の罪を自覚していますよ。だから禁忌をしたのです。

生物レプリカは、技術的にも道義的にも問題があった。

あなたも研究者ならご存知の筈だ。最初の生物レプリカがどんな末路を迎えたか」

「わ、わしはただ…

ヴァン様の仰った保管計画に協力しただけじゃ!

レプリカ情報を保存するだけなら…」

「保管計画?どういうことだ」

 

スピノザの漏らした言葉にアッシュが反応した。

 

「おまえさん、知らなかったのか!」

「いいから説明しろっ!」

 

そんな声を張り上げなくても…

じじぃをもっと労れよ。

 

「…言えぬ。知っているものと口を滑らせてしまったが、コレだけは言えぬ」

 

拷問にかければ喋るかな?って思考が拙い方向に…

きっとアッシュを通して見ているからだなうん(投

その後、口を閉ざしたスピノザから何も情報は引き出せず、とりあえず第一音機関研究所を出ることに…

長いんだよ、第一音機関研究所って名前。うっとうしいな第一音機関研究所》

《おい貴様!くだらん独り言言ってんじゃねぇ!》

 

あれ、まぁ気にするな(ぁ

 

 

 

 

「ヴァンはレプリカ情報を集めてどうするつもりなんでしょう」

 

《そら〜ナタリアレプリカを作るんじゃねぇのか?

アッシュのお土産とか言って、5体のナタリア…

お姫様、メイド、巫女、ナース、スク水。

よかったな、アッシュ》

《き、貴様!いい加減にしろ!》

 

残念〜。

 

「…ワイヨン鏡窟に行く」

「西のラーデシア大陸にあるという洞窟ですか?

でもどうして…」

「レプリカについて調べるつもりなのでしょう。あそこではフォニミンが採れるようですし。

 

ジェイドがアッシュの考えを見抜き、ナタリアに説明する。

 

「それに…」

「それに?」

「…まあ、色々と。ラーデシア大陸ならキムラスカ領。マルクとは手を出せない。

ディストは元々マルクとの研究者ですから、フォミクリー技術を盗んで逃げ込むにもいい場所ですね」

「…お喋りはそのくらいにしろ。行くぞ」

 

アッシュが話を打ち切り、出発しようとする。

 

「…ぶー。行った方がいいんですか、イオン様」

 

アニスはダアトに戻れず不満顔だ。

 

「そうですね。今は大人しく彼の言うことに従いましょう」

 

イオンは不満はなさそうだ。

 

「俺は降りるぜ」

 

何や?突然だな。

ガイどうした。調子悪いのか?

 

「…どうしてだ、ガイ」

 

アッシュが不安げにガイに聞いく。

 

「ルークが心配なんだ。あいつを迎えに行ってやらないとな」

 

お、おまえってやつぁ〜。

なんて言い奴なんだ。

 

「呆れた!あんな馬鹿ほっとけばいいのに…無茶して血吐いて倒れて…ホントにバカだよ

「悪かったな〜。バカで」

『え?』

 

しまった、ついアッシュの口で喋ってしまった(ぁ

 

《お、おぃ。貴様!》

《すまん、素が出ただけだ》

 

「バカだから俺が居ないと心配なんだよ。

それにあいつなら…

立ち直れると俺は信じてる」

 

いや、そもそも落ち込んでないし。

 

「ガイ!あなたはルークの従者で親友ではありませんか。

本物のルークはここに居ますのよ」

 

ナ、ナタリアさん。その言葉はちょっと傷つくかな〜(痛

どうせ偽者さ…、偽者さ…、偽者さ…。

 

「本物のルークはこいつだろうさ。

だけど……俺の親友はあの馬鹿の方なんだよ」

 

《おまえってやつぁ〜。

感動したぞ、ガイ!

今度から扱いをよくしてやるからな!

女の子が大好きなお前のためにナタリアレプリカ・ブルマバージョン分けてあげちゃうからな!》

《貴様!そんなことはさせん!》

《いいじゃないか一体ぐらい!》

「だめだ!一体たりともナタリアは渡さん!」

『は?』

 

あ〜あ〜、口に出しちゃった〜。

アッシュの突然の言動に、壊れたの?っぽい視線が集まった。

 

「迎えに行くのはご自由ですが、どうやってユリアシティへ戻るつもりですか?」

 

流石ジェイド、完全にアッシュを視界からはずし話を進め始める。

 

「……ダアトの北西にアラミス湧水道って場所ある。

もしもレプリカがこの外殻大地へ戻ってくるなら、そこを通る筈だ」

「悪いな、アッシュ」

 

《アッシュ、フられちまったな〜。

ま、ナタリアレプリカを渡さなくていいから問題ないか?》

《そうだな…って違う!大体ナタリアレプリカなんて存在しない!》

《創ればいいじゃないか!》

《創るな!》

 

我侭なんだから♪

 

「…フン。お前があいつを選ぶのはわかってたさ」

「ヴァン謡将から聞きましたってか?

まあ――それだけって訳でもないんだけどな」

「どういうことですの」

「…何でもないよ。それじゃ」

 

ナタリアの問いに答える事も無く、ガイは立ち去った。

アッシュたちもワイヨン鏡窟を目指し、移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ちゃっちゃと移動♪

俺は見てるだけだから楽なんだけどね♪

 

「なんだかジメジメしていますわね」

「海風が吹き込むからでしょうね」

 

ナタリア、イオンは余りいい顔をしていない。

湿気た洞窟は何とも嫌な雰囲気をかもし出していた。

 

「イオン様はタルタロスで待ってて下さいね!」

「僕も興味があるんですが…」

「ダメです!危ないんですから!」

 

イオンを必死に抑えるアニス。

 

「導師は戻れ。ついてこられると邪魔だ」

「…残念です」

 

アッシュ、お前はそんなに偉いのか?っと思うほどに態度がでかいと感じるのは俺だけ?

 

《何で連れて行かないんだ?》

《馬鹿かお前?戦えない奴を連れて行ってどうするんだ》

《…守ってやれよ!男の子だろ!?》

《き、貴様!この俺をガキ扱いするつもりか!?》

《意地っ張りの癖に…、ナタリアを押し倒すぐらいしろよ!》

《だ、黙れ!》

 

「奥に行ってみましょう」

 

ジェイドの言葉で前へと進みだした。

イオンは残念そうに、本当に残念そうにタルタロスへ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「あれは、何かしら」

 

進んでいる途中、ナタリアが不用意に魔物に近づいた。

当然、魔物だから襲ってくるわけで…

 

「…!」

 

ナタリアは襲い掛かってきた魔物に対して体を縮めるだけで精一杯。

 

「破っ!」

 

そんなナタリアを助けたのはアッシュだった。

 

「アッシュ!すっご〜い♪」

 

アニスが驚きの声を挙げる。

 

「…無事か?」

「え…ええ。大丈夫ですわ。ありがとう、アッシュ…」

 

《ありがとう、アッシュ。じゃない雑種。あれ、どっちだ?》

《貴様!殺すぞ!?》

 

あれ?

 

「…ジェイド。こいつに見覚えは?」

「私物は専門ではないのですがねぇ。

ふむ…。この辺りに生息するものとは違います。新種にしては、ちょっと妙ですね」

「…簡単には行かないかもな。

行くぞ」

 

再び進みだす…

 

 

 

 

 

 

 

最奥、そこには妙な装置が存在した。

 

「フォミクリーの研究施設のようですね。

廃棄されて久しいようですが…」

 

アッシュは装置を調べている。

 

「演算機はまだ生きてるな」

「大したものですね。ルークでは扱えなかったでしょう」

 

ジェイド、なめんなよ?

扱えないのではない!扱わないのだ(ぁ

 

「これは…。フォミクリーの効果範囲についての研究…だな」

「データ収集範囲を広げることで、巨大な物のレプリカ作ろうとしていたようですね」

「大きなものって…家とか?」

 

アニス、家をレプリカで作っても意味無い…

 

「もっと大きなものですよ。

私が研究に携わっていた頃も、理論上は小さな島程度ならレプリカを作れましたから」

「でか…」

 

うん、でかいねぇ〜。

 

「…なんだこいつは!?あり得ない!!」

 

ん?どうした、アッシュ。

 

「見ろ!ヴァンたちが研究中の最大レプリカ作成範囲だ!」

「…約三千平方キロメートル!?

このオールドラントの地表の十分の一はありますよ!」

 

流石のジェイドもその大きさに驚く。

 

「そんな大きなもの!レプリカを作っても、置き場がありませんわ!」

 

まぁ、確かにナタリアの言う通り置き場に困るな〜。

 

「採取保存したレプリカ作製情報の一覧もあります。これは…

マルクト軍で廃棄した筈のデータだ」

 

この洞窟に来て渋い顔しっぱなしだなジェイド。

 

「ディストが持ち出したものか?」

「そうでしょうね。今は消滅したホドの住民の情報です。

昔、私が採取させたものですから間違いないでしょう」

「まさかと思いますが…

ホドをレプリカで復活させようとしているのでは?」

 

いや、まさかで済まされるような可能性が低い訳ではなく、ほぼ確定でホド復活が目的だろう…。

 

「…気になりますね。この情報は持ち帰りましょう」

 

アッシュとジェイドの二人は情報を抜き取る作業を始めた。

アニスとナタリアはそこらを調べている。

 

「あれっ、これチーグル?」

「まぁ!こんなところに閉じ込められて、餌はどうしているのかしら」

 

2人は少し離れた場所で、チーグルを二匹見つけた。

 

「生きてるんだから誰かがここで買っているんだろう。

多分こいつらはレプリカと被験体だ」

「そのようですね。星のような痣が同じ場所にあります」

 

アッシュ、ジェイドの二人もそれに気づきよってきた。

 

「この子達もミュウみたいに火を吐いたりするのかな」

 

アニスが興味本位で、目の前のチーグルを脅かすため、鉄格子を叩く。

 

ブアッ!

 

「うわっ、びっくりした!」

 

まぁ目の前で火を吐かれればねぇ?

 

「この仔も同じかしら」

 

ナタリアがもう一匹側の鉄格子を叩く。

 

ブァ…

 

「あら、こちらは元気がありませんわね」

 

ほんのちょっとしか火を吐かなかった。

 

「レプリカは能力が劣化することが多いんですよ。

こちらがレプリカなのでしょう」

「でも大佐?ここに認識票がついているけど、このひ弱な仔が被験体みたいですよ」

「そうですか。確かにレプリカ情報採取の時、被験体に悪影響が出ることも皆無ではありませんが…」

「まあ…悪影響って…」

 

ナタリアがその言葉に反応し、ジェイドに聞き寄る。

 

「最悪の場合、死にます。

完全同位体なら別の事象が起きるという研究結果もありますが

ナタリア、それにアッシュまで。心配しなくていいですよ。

レプリカ情報を採取して被験体に異変が起きるのは、無機物で十日以内です。

生物の場合もっと早い。七年もたってピンピンしているアッシュは大丈夫ですよ」

「よかったですわ…」

 

ジェイドの言葉にナタリアは安堵の声を挙げた。

 

《よかったなぁ〜オリジナル》

《ふん、屑に心配されるとは、俺も落ちたもんだな…》

《あぁ、ナタリアレプリカがガイの元に行かなくてよかったなぁ?》

《ま、まだその話を続けるつもりか!?うるさいっ!黙れっ!!》

 

へいへい。

 

「はあーっ。レプリカのことってムズカシイ。これって大佐が考えた技術なんですよね?」

「…ええ、そうです。消したい過去の一つですがね」

 

アニスの言葉に、ジェイドが辛い返事を出した。

 

「…そろそろ引き上げるぞ」

 

もうここに居ても仕方がないと判断したアッシュは、直ぐに動き出そうと言った。

 

「結局わかったことって、総長が何かおっきなレプリカを作ろうとしてるってことだけ?」

「それで十分だ。…行くぞ」

「行くってどこへ…」

「後は俺一人でどうにかなる。お前らは故郷に帰してやる」

 

アッシュの言葉にそれぞれが頷き、出口を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出口目指して進行中!

俺はアッシュを通してその様子を見ているわけだが…

そんな時、妙な気配が近寄ってくるのが分かった。

アッシュにそれを伝えるため話しかけた。

 

《…!アッシュ、注意しろ》

《何だ》

《何かやば気な気配が近づいているぞ》

《何だと?!》

 

素早く剣を抜き、周囲を警戒しだす。

 

「…気をつけろ。何かいる」

「え…!?」

 

目の前の少し水が溜まった場所から、突然大きな音を立て魔物が出てきた。

キモイネェ〜。

 

《…大丈夫か?》

《貴様に心配される必要は無い!》

 

そうかねぇ〜。

直ぐに戦闘は開始された。

アッシュ、アニスが前衛、ナタリア、ジェイドは後衛だ。

 

「シュトルムエッジ!」

 

前方に三本の矢を連続して打ち放つナタリア。

やはり牽制は遠距離タイプがいい。その攻撃に怯んでいる隙にアッシュ、アニスの二人が畳み掛ける。

ジェイドは前衛の二人合わせ譜術を使用。

うむ、バランスはいいメンバーだな〜。

 

「岩斬滅砕陣!」

「獅吼滅龍閃!」

 

アッシュの放つ技が敵を吹き上げさせ、アニスの獅子の形をした衝撃波が魔物をぶっ飛ばした。

 

「らっくしょ〜♪」

 

ま、攻撃としては問題ないコンボだ。

だが油断するのはまだ早いぞ?

 

ギシャアアアッ!

 

そんな雄叫びを挙げ、再び姿を現す魔物ちゃんだった♪

 

「うげっ!まだ生きてるよぉ」

 

うむ、アニス君まだまだ修行がたらんのう〜。

…ん?気配が増え…って拙い!

 

《借りるぞ!》

《なに…!?》

 

ザシュッ!

 

「え…?」

 

ナタリアの何が起こったのかわからない声が口から漏れた。

つまり、俺はアッシュの体を操って、ナタリアの後方から襲い掛かってきた魔物を切り裂いた。

 

「……………ルーク?」

『え?』

 

アニス、ジェイド、そしてアッシュも、ナタリアの発した言葉に動きを止めた。

おいおい、戦闘中だっての(汗

 

《アッシュ、前ばっかり気を取られてたら後ろからあっさり狩られるぞ?》

《き、貴様。俺の体を使って今の…》

《手を貸すのは今回だけだぞ》

 

「相変わらず背中の守りが甘いな、リア?

あの時も言ったが、もう少し回りに気を回すんだな〜。

あと、…いつでも俺が傍に居るわけではない。覚えておけ」

 

敵の方へ向き、一言だけ言い放つ。

 

「Galvani」

 

その瞬間、魔物たちが動きを止め、その場に崩れ落ちた。

 

《貴様!今いったい何をした!?》

《そんな難しいことはしていないさ。

ただ魔物とて神経がある。その神経を通して流れる動物電気ってヤツをちょいと弄って全ての体内に流れる電気を止め動かなくしただけだ》

 

ま、人間で言うと心肺停止状態(ぁ

 

《んじゃ、制御外すな〜》

 

アッシュの体を持ち主に主導権を戻した。

あ〜、疲れた。

 

「あの、ルーク?」

「俺はアッシュだ」

 

妙に不機嫌な物言いだなアッシュ。

そのかもし出す雰囲気に誰もが今の出来事を聞けずに居た。

 

「えっと…。なんなの、今の!でかっ!キモっ!」

「フォミクリー研究には生物に悪影響を及ぼす薬品も多々使用します。

その影響かもしれませんね」

 

アニスのちょっと無理な話の入りにジェイドがのった事で、少しだけ場の雰囲気が明るくなった。

 

「アッシュ…。あの、かばってくださって、ありがとう…」

…俺じゃねぇ

「え?」

「…行くぞ」

 

ナタリアの言葉にアッシュだけは何故か不満顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりな…」

 

イオンが待ちわびた顔をして、近寄ってくると…

 

グラグラグラ

 

突然、地面が揺れ始めた。

 

「地震!?」

 

アニスが驚きの声を上げる。

 

「きゃ…!」

 

ナタリアはその突然の出来事に対応できず、扱けそうになる。

アッシュがそれを支え、なんとこけずにすんだ。

そのまま、少しゆれが続いたが、直ぐに収まった。

 

「あ、あの…ありがとう…」

「…前にもこんなことがあったな」

「そうですわ!城から抜け出そうとして、窓から飛び降りて…」

 

いや、窓から飛び降りてって…。ガイじゃないんだから(ぁ

 

「今の地震、南ルグニカ地方が崩落したのかもしれない」

「そんな!何で!?」

 

アッシュの言葉に亜驚きの声を出すアニス。

 

「南ルグニカを支えていたセフィロトツリをルークが魔界におろしたからな。

今まで他のツリーで支えていたが、限界が来たのだろう」

 

そうか…、俺もあの時は必死で、アクゼリュスのみをゆっくり降下させたからな…

周りの陸のことを命令を書き込んでなかったな。

 

「他の地方への影響は?」

「俺たちが導師を攫って、セフィロトの扉を開かせたのを忘れたか?」

 

そう言えば、扉を必死こいて開けてたな。

 

「扉を開いてもパッセージリングはユリア式封咒で封印されています。誰にも使えない筈です」

「ヴァンの奴は、そいつを動かしたんだよっ!」

 

イオンの言葉にあっさりと否定の言葉を口にするアッシュ。

 

「つまりヴァンはセフィロトを制御できるというこですね。

ならば彼の目的は…

更なる外郭大地の崩落ですか?」

「そうみたいだな。俺が聞いた話では次はセントビナー周辺が落ちるらしい」

 

流石ヴァン、好き勝手に暴れるねぇ〜。

 

《時間がない。お前と馴れ合うのはここまでだ!》

 

そこで、ラインが切れ。俺はティアのベットの上で起き上がった。