「…切れたか」
アッシュとの通信が切れ、俺は目を覚ました。
相変わらず自分の考えを話さないやつだな。などと思いつつ、辺りを見渡す。
始めに視界に入ったのは心配気に此方を見るミュウの姿だった。
「ご主人様!」
「ん、ミュウか…」
こいつ、俺が起きるまでここに居たのか?
「ティアは?」
「ティアさんは、そこの扉を出た先の庭に居るですの」
さて、時間がないのでさっさと合流するか。
庭に出て、ティアに近づく。
後姿だが、綺麗に見えた。
綺麗な肌してんな〜。…抱きしめたい!ってまだダメだろ(ぇ
「ルーク…。目が覚めたのね」
そんな俺に気づき、彼女から声を掛けてきた。
「ここは…、花畑?」
「セレニアの花よ。クリフォトで育つのは夜に咲くこの花ぐらい…
ここは外殻大地が天を覆っているから、殆ど日が差し込まないし…」
クリフォトねぇ。
どうにかしてやりたいが、俺が本気で手を出したら世界情勢とか崩れるだろうし。
「ところで、なんだか慌ててたみたいだけど」
「そうだった、外殻大地へ戻りたいんだ」
「いずれは戻れるわ。今は…」
何故か、彼女は言葉を濁した。
「今じゃなきゃ困るんだ。このままだとセントビナー周辺が崩落する」
「どういうこと?だってあなた今まで眠っていたのに……」
本気で不思議そうだな、ティア。
「分かるのさ、俺とあいつは繋がっているからな」
「……それが真実だとして、セントビナーの崩落をどうやって防ぐの?」
「ん?…それは」
しまった、考えてなかった(ぁ
また超振動でゆっくり降下って命令書くか?
「あなたはちっともわかってないわ。
どうせ…、また勝手に一人で無茶して、体の限界以上に力を使って血を吐いて…
私がどれだけ心配したか分かってるの!?」
…う、泣き出しちゃった(汗
「…そうだな。
自分勝手も言いとこだな。自分の考えを言わず、勝手に動いて勝手に倒れて…
これじゃ…皆が呆れて見捨てるのも当然か。
毎度、倒れられても邪魔になるだけだしな」
う〜む、そんな自分勝手かねぇ〜。
むしろ俺のことをアフォ扱いして意見を聞かなかったのはそっちのような気がしないでも無いようなある様な…
「知ってたの?皆が外殻に帰ったこと…」
「さっきも言ったろ。繋がってるって…
オリジナルを通じて、見えたんだよ。色々とな?
ま、実感するのは、やっぱ俺はあいつのレプリカなんだな〜って事ぐらいか」
所詮人形、体が持ちが悪いのが難点。この5年間、それを課題にして色々調べ続けてんだが…
どうにも上手くいかなくてねぇ〜。
とりあえず今の最良策は器を変える事によって、生を保っている。
コレがまた効率が悪いのなんのって…
「ルーク…」
「俺、今まで自分しか見えてなかったんだな…
いや、自分も見えてなかったのかも…」
「…そうね」
否定して欲しかった(泣
「俺は、…変わらなきゃな」
とは言うものの、こんな使い勝手の悪い体じゃ力をフルに使う事は不可能に近い。
たぶん、この先何度も体を入れ替えなきゃならん(ぉ
…完全同位体を作り出すのって資金的に問題があるんだよ(ボソ
「本気で変わりたいと思うのなら…、変われるかも知れないわ。
でも、あなたはどう変わるつもり?
もう無茶をしない?無理でしょう?知らない人たちの命すらも放って置けないでしょ?」
にじり寄ってくるティア。って近い近い。
「そうだな…。
無茶をしないように、ちゃんと考えて行動しようと思う。
自分一人で抱え込まないで、誰かに相談して…
無茶をしなくてもいい状況にする」
「ホントに?もう一人で抱え込まない?」
そんなに聞き返すほど自分勝手に動いてたのか俺(汗
「…信用しろなんて言わねぇ。
ただ、見ていてくれ。今はそれだけでいい」
「…そうね。見ているわ、あなたのこと」
「おう、頑張るからな!」
「無茶はダメよ」
「うむ」
さて、ケジメとしてイメージチェンジでもするかな。
「ティア、ナイフを貸してくれ」
「え?」
ティアは素直にナイフを貸してくれた。
俺はそのまま直ぐに、長く伸びた髪を纏めてそのままナイフで切った。
「………ル、ルっ、ルっ!」
「突然歌いだすのか…。それは譜歌か?」
「違うわ!」
叩かれた。
「そんなことより!か、髪が!」
ん?
おぉ、ちょっと切り過ぎたか?
…決してティアにフられた訳ではないぞ(ぉ
つーか、みじかっ!?
以前、腰まであった髪は首もとまで短くなった。
よし、イメチェン完了♪
「ルーク!」
「どうした?」
「か、髪を…」
「ん?願掛けみたいなものだ。…母上は怒るだろうが、まぁ気にしたら負けだ」
俺の手から髪が風に流され散った…
ミュウに降りかかっていたが放置だ(ぁ
「ところで、さっさと地上に戻りたいんだが?」
「え?あ、そうね。セントビナーが本当に崩落するんなら、くい止める方法を探さないと。
市長に…、おじい様に聞いてみましょう。何か分かるかもしれないわ」
「ういうい」
「ティア、捜したわ。第三譜歌の事だけど…。
あら。彼、回復したのね」
むしろ一回死んだけどね(ぁ
爺の所に向かう途中、ティアの知り合いに呼び止められた。
「レイラ様!第三譜歌の”象徴”が見つかったんですか?」
「ティアが使うあの譜歌か?」
「彼は何も知らないのね」
ぐさっ!
…き、効くぜ。その無知扱い(泣
一応知らない訳じゃないんですが。
「私が詠っているユリアの譜歌は、全部で七つあるの」
「その三番目の譜歌ってことか。…あぁ、そういえばいつもは二つしか使ってなかったな?」
「仕方ないわ。私が”象徴”を知らないんだもの」
ちょっとだけ、ティアが俯き気味に答えた。
「ユリアの譜歌は旋律を知っているだけではダメなの。
譜歌に込められた意味と英知を正しく理解しなければ、ただの歌でしかないわ。
そうそう。頼まれていた第三譜歌の象徴のことだけど、ヴァンが置いていった本に隠し頁があったのよ。
もしかしたら、そこに残されているかも知れないわ。
時間が出来たら私のところに来て」
言うだけ言って、さっさと去っていったレイラ。
「譜歌は大変だな」
「そうね、象徴の解読は難しいわ。私が知ってる象徴は、第三と第五以外の譜歌よ。
でも、意味を正しく理解できたのは、まだ第一と第二だけ…」
象徴を知り意味を理解しないと、ただの歌…か。
「―― 実は、ユリアの譜歌は七つで一つの意味を持つ譜歌としての意味も持ってるの。
七つの譜歌を連続して詠うことで『大譜歌』になるわ。これは象徴を知らなくても機能するの。
歌が契約の証そのものだから」
「ローレライの契約の証か…。大譜歌にはどんな力があるんだ?」
「大譜歌とローレライの鍵が組み合わさると、ローレライを召喚できるのですって」
「何か凄そうだな」
「そうね。でも、ローレライの鍵という物は失われてしまったそうだし、私も七つ目の譜歌を知らないわ。
だから結局は、意味が無いのかも知れないわね…」
うあ、何か落ち込んでるし(汗
「元気出せ。正直、大譜歌がどんなものか知らない。だが、俺はお前の譜歌にすっげー助けられた。それで十分だ」
ナデナデ―― 落ち込むティアの頭を撫でる。
はあ、ホントにサラサラな髪だな〜。
「…//」
くくくっ、男性に免疫が殆ど無いティアは頬を赤く染めていた。
「おお、ティアか。
そちらは、確か…」
俺達は、セントビナー崩落阻止の方法を聞きに爺さんの所に来ていた。
「はじめました」
「何をっ!?」
「中華ソバを」
「何でよっ!?」
「オメーに食わせるタン麺はねぇ!」
「今ソバって言ったじゃないっ!」
あれ?
「俺はルークだ。今回はティアを貰い受けに参上しました」
「……なっ!?」
理解するのに時間が掛かったティア。
本気で驚いた表情を見せた後、顔を赤くして突っかかってくる。
「何バカな事いってるのっ!」
「至ってマジメだ」
「〜〜〜っ!」
あはは、可愛いねぇ〜。
「ボクはミュウですの。それと、今ティアさんをからかって遊んでるのがご主人様のルーク・フォン・ファブレですの」
…はて、ミュウのやつ爺さんに説明してる?
ミュウ、お前そこまで成長したのか。関心だな〜(ぁ
「さて、ティアとの婚約は置いといてだな」
「そんなもの捨ててっ!」
未だ顔の赤いティアは萌えだが放置。
「アクゼリュスの事は悪かったな。崩落阻止を出来ればよかったんだが…。民間人の受け入れも素直にしていただいて感謝するぞ」
「ご主人様は何でそんなに偉そうなんですの?」
「偉いからだ」
「ただのアフォよ」
ひでぇ。
「きみがルークレプリカか。なるほどよく似ている」
直球だなこの爺さん(汗
「お祖父様!」
「これは失礼。しかし、アクゼリュスのことは我らに謝罪していただく必要はありませんよ」
どういう事だ?
「アクゼリュスの崩落は、ユリアのスコアに詠まれていた。起こるべくして起きたのです」
…なんだと?
「どういうこと、お祖父様!
私…そんなこと聞いてません!それじゃあホドと同じだわ!」
ボドと同じ…?
俺はまだ知らない事が多そうだな。
「これはクローズドスコア。ローレライ教団の詠師職以上の者しか知らぬスコアだ」
「スコアでわかってたなら、どうして止めようとしなかったんだ?」
「ルーク。外殻大地の住人とは思えない言葉ですね。
スコアは遵守されるもの。スコアを守り穏やかに生きることが、ローレライ教団の教えです。
誕生日に何故スコアを詠むか?それは今後一年間の未来を知り、その可能性を受け止めるためだ」
「ならどうしてアクゼリュスの消滅を世界に知らせなかった?」
それを知っていればヴァンの悪巧みも防げただろうがっ!
「それが問題なのです。死のスコアを前にすると、人は穏やかではいられなくなる」
「そんなの当たり前だろ」
誰だって死にたくはないからな。
病気なら何ともいえないが、事故なんかで死ぬ事は防げる。
「それでは困るんですよ。ユリアは七つのスコアで、このオールドラントの繁栄を詠んだ。
その通りに歴史を動かさねば来るべき繁栄も失われてしまう。我らはユリアのスコアを元に外殻大地を繁栄に導く監視者。
ローレライ教団はそのための道具なのです」
だから大詠師モースは、導師イオンを軟禁して戦争を起こそうとしたのか。
そして、やはりヴァンも完全なスコアを知っていた。か…
「お祖父様は言ったわね。ホド消滅はマルクトもキムラスカも聞く耳を持たなかったって!あれは嘘なの!?」
「……すまない。幼いおまえに真実を告げられなかったのだ。しかし、ヴァンは真実を知っている」
おぉい。明らかにそこら辺が原因でこんな事態になってるんだろうが。
巻き込まれるこっちの身になってくれよ(疲
「…じゃあやっぱり兄さんは世界に復讐するつもりなんだわ。兄さん、言ってたもの。スコアに縛られた大地なの消滅すればいいって!」
「ティア。ヴァンが世界を滅亡させようとしているのはお前の誤解だ。
確かにホドのことで、ヴァンはスコアを憎んでいた時期もあった。だが今では監視者として立派に働いている」
ヴァンのどこが仕事熱心だよ…
「アクゼリュスを崩落に追い込んだ張本人が立派だと?そこまで頭の中身が壊れてたのか」
「そんなことはない。ユリアは第六譜石の最後で、こうスコアを詠んでいる。
ルグニカの大地は戦乱に包まれ、マルクトは領土を失うだろう。
結果、キムラスカ・ランバルディアは栄え、それが未曾有の繁栄の第一歩となる。
未曾有の繁栄を外殻大地にもたらすため、我らは監視を続けたのだ」
もうだめだな。病気の一種、依存症の度合いが凄すぎる。
「でもお祖父様……兄さんは外殻大地のセントビナーを崩落させようとしているのよ!」
「セントビナーは絶対に崩落しない。戦はあの周辺で行われる。何しろスコアには何も詠まれていないのだからね」
またスコア。か…
大体スコアに依存しすぎなんだよ。
未来が分かったら面白くもなんとも無いだろ。
つーか、そんなにスコアが素晴らしいなら教えてくれよっ!
俺はいつティアと一緒になれるんだっ!?」
「どうして私がアナタと一緒にならなければいけないのよっ!」
…ぉゃ、声に出てたか(ぁ
「嫌なのか?」
「え?」
ティアの側まで寄って行き、顔を近づける。
「俺じゃ駄目か?」
「え?えっ?ル、ルーク?」
こんなときは押しが大事だと長き間の転生の中で学んだ事。だから押すっ!
「本当は嬉しいんだろ?」
「ちょ、ルーク?…ま、まって」
「ダメだ。またない」
俺とティアの距離はどんどん少なくなっていく。
「ラブコメですの」
「ラブコメだの」
ミュウと爺さんは既に観戦モードだ。
「テオドーロ市長。そろそろ閣議の時間です」
そんな時。雰囲気をぶち壊しにタイミングよく出てきた秘書っぽいおっさん。
「今は忙しい。もう少しで一線を越えそうなのだよ」
「は?」
爺さん。秘書にそんな事を言っても(汗
「コホン…今行く。―― 二人とも、心配ならユリアロードで外殻大地へ行ってみなさい。
おまえたちの心配は杞憂なのだよ」
爺さんは去っていった。残念そうに(ぁ
「ティア、外殻大地へ戻ろう。ここにいても埒があかない」
「…そうね。でも出発前に荷物を取りに行きたいの。一旦、私の部屋に寄ってくれる?」
「あぁ、わかった」
ティアの希望通り、彼女の部屋に来ていた。
何やら探し物中のティアから話が出た。
「…兄さんはずっとスコアを憎んでいたわ。ちょうどあなたが立っている場所で、ホドを見捨てた世界を許さないって、この部屋でいつも言ってた。」
「どうして、そんなにホドにこだわるんだ?」
十六年前のホド戦争でマルクト領のホド島が消滅した事は知っている。
だが、そこまでホドを気にする事の意味が分からん。
「そこが私と兄さんの故郷なの」
…なるほど、そういう事か。
「ホドはアクゼリュスと同じようにクリフォトへ崩落したわ。その時、兄さんと私を身ごもった母さんも、クリフォトに落ちた。多分、兄さんも譜歌を詠ったのね」
…何や?ヴァンも譜歌が使えるって事か。
あの渋い声で歌うのか(ぉ
「私が外殻大地へ行く前だったわ。あなたと出会う少し前の事。
兄さんが珍しくこの街へ帰ってきたことがあったの」
…
「―― アッシュが何かに感付いているようです」
そこにはリグレットとヴァンの二人が話し合っていた。
「アッシュは妙なところで潔癖だ。この計画が外殻大地の住人を消滅させると知れば、大人しくはしていまい」
「シンクを監視につけましょうか」
「そうだな」
…
「兄さんは、何かとてつもない事を企んでいると思ったわ。少なくとも人がたくさん死ぬ…
そんなの許せない。例えホドがスコアのせいで見殺しにされたんだとしても。
だから…、刺し違えてでも止めるって…。
でも私、しくじったみたい。アクゼリュスを救えなかったわ」
「それは俺がヴァンを止め切れなかったからだろ」
「あなただけのせいにはできないわ。私は兄さんを止めるために…、外殻での任務を引き受けたんだから」
苦しそうなティアの表情を見た俺は、我慢できなくなってしまった。
「…っ!?」
気がついたら俺はティアを抱きしめていた。
「強がってんじゃねぇよ」
「…っ」
震えるティアの体を抱く腕を少しだけ強める。
「お前、人に無理するなとか言っといて、自分も無茶してるだろ」
「…そんな事無いわ」
じゃあ何でそんなに泣きそうな顔してんだよ。
「支えてやるぞ」
「え?」
「お前の心が折れそうなとき、お前の側にいて支えてやる」
「…」
「抱え込み過ぎなんだよ。もっと話せ。話ぐらい聞くし、助言だってするから。
少しずつでいい。ゆっくり、時間をかけていいから、な?」
ナデナデ―― 左手で彼女の背中を撫でる。
「…あなたはルーク?」
「質問の意味を理解しかねるが…」
「だって、今までと違うから」
「まぁ、そうだな。俺の癖でな、つながりの薄い他人の前ではワルガキぶってるんだ。
本当はもう少し男前だぞ?」
「ぷっ…」
笑われた(泣
「とにかくだ。…少しは力抜いて進めよ」
「えぇ、そうね」
いつの間にか、ティアの体の振るえは止まっていた。
自然とティアの腕も俺の体に手を回している。
う〜む、まるで恋人同士だな。
「…ラブラブですの〜っ!」
ミュウが我慢できなくなったのか、突然声を荒げる。
「っ!」
ティアは自分のしている行動に気づて一瞬で朱に染まり、勢い良く俺から離れた。
力いっぱい離れたせいか、ティアは壁に激突する勢いだ。しかも本人は気づいてない。
「ったく」
ティアの腕を引っ張り、壁にぶつかるのを防ぐ。
「〜っ!!」
ティアは再び俺に抱きつく格好になった。先程とは違うところと言えば、ティアが俺の顔を見てるって事ぐらいだ。
ますます赤くなるティアを見て、いたずら心が燻られる。
「…ティア」
「ま、まって。ルーク、お願い…んぐっ!」
台詞をふさぐように、ティアの唇を奪った。
浅いキスだが、効果は絶大。
ティアは抵抗もせず、ただじっとしているだけだった。
唇が離れたのは2分後だった。
「さて。ティア、お前は何しにここに来たんだ?」
「…え?…あ、そ、そうよっ。これっ!フォニム学の本よ。あなたに必要だと思って」
動揺を隠しもせず、うろたえながら一冊の本を俺に押し付けた。
「あ、あなたは超振動を制御する術を学ぶべきだとわ。ちょ、超振動もセブンスフォニムで発生するから、役に立つ筈よ」
「…そうだな。ありがと」
「さ、行きましょう」
結局、部屋を出るまでティアは真っ赤に染め上がっていた。
「待っていたわ」
先程話したレイラの所に寄ってます。
「兄さんの置いていった本と言うのは…」
「本自体はどこにでもある譜術の研究書よ。ただ一番最後に隠されたページを見つけたの。これが写しよ」
レイラがティアに写本を渡す。
「私には意味が分からないんだけど。あなたなら…」
「これは…!
ヴァ・レイ・ズェ・トゥエ…。
母なる者…理解…ルグニカの地に広がる…
壮麗たる…天使の歌声…」
「な、なんだ?」
突然、ティアの周囲が光り始めた。
「静かに。ティアは瞑想に入ったわ。やっぱりこれは譜歌の象徴だったのね」
「…分かったわ。コレが第三譜歌なのね」
ティアは無事に第三譜歌を修得した。
「隠されたなんとかってのを、理解できたのか?」
「ええ…。レイラ様…この象徴の写し、もらっていってもいいですか?
ここには他の象徴についても記述されています。私の理解力では、まだ使いこなす事は出来ないけれど…」
「もちろんよ。いつか役に立つわ。あなたの力がもっと強くなった時に」
「はい。ありがとうございます」
これで、ようやく外殻へ戻る準備が出来た。
ユリアロード。
外殻とクリフォトを結ぶ道の事だ。
俺達は今、そのユリアロードを通って外殻に戻ろうとしている。
「この道を開くと、パダミヤ大陸にあるアラミス湧水洞に繋がるわ。
あそこは魔物の巣窟だけど、準備はいい?」
「あぁ、いいぞ」
「ボク、ドキドキするですの」
「大丈夫よミュウ。さあ、道を開くわよ」
俺とティア、ミュウはクリフォトから姿を消した。
…