「みゅぅ〜〜〜〜!?」

「水の中かよ」

 

少しぐらい教えてくれたっていいじゃないですか?ティアさんや。

 

「大丈夫。濡れたりしないわ」

「どういう事だ?」

「セフィロトが吹き上げる力で、水が弾かれるらしいわね」

 

良く考えてみれば、セフィロトは大陸を浮上させるほど凄い力だよな。

 

「そんな凄いものを落としちまったのか。俺は」

「でも、アナタの気転で助けられた人は沢山居るわ」

「そうだな。…そんな事より、今は出来る事をしなきゃな」

 

こうして、俺達は外殻へ戻る事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやくお出ましかよ。待ちくたびれたぜ、ルーク。

へー、髪を切ったのか。いいじゃん、さっぱりしててさ」

 

本気で俺を待ってたのか?

ガイ、結局何処までもいい奴だな。

 

「害」

「ちょっとマテ。てめぇはいつもニュアンスがちがうっつーの!」

 

…何で分かるんだ?

 

「ガイ。お前はホントいい奴だな」

「…な、何を突然」

「いや、洞窟の出口で待っとけばいいものを、態々こんな洞窟内でモンスターに襲われないとは言えないだろ?」

「確かにそうね。こんなところで待つぐらいならユリアロードの目の前か入り口が妥当な所かしら」

 

ティアが俺の言葉に同意する。

ガイ本人はと言うと…

 

「…友達思いなんだよ。俺は」

「ははは、そうか。ありがとな」

「!!」

 

ガイ、何よその驚きようはっ

ちっ、らしくない事を言ったかもな。

…ごまかすか(ぉ

 

「俺がガイにありがとうだって…!?」

「何で言った本人がそんなに驚くんだっ!」

「彼、変わるんですって」

「全然変わってないじゃないか!?」

 

確かに(ぁ

 

「で、本当の所。どうして待ってたんだ?」

「友達だろ?あ、俺、下僕だったわ。わりぃわりぃ」

 

なんて質の悪い冗談だ(汗

 

「俺は偽者。主人じゃないぞ?」

「別にお前が俺のご主人様だから、仲良くしてたわけじゃないぜ。

ま、おまえはおまえ。アッシュはアッシュ。レプリカだろうが何だろうが、俺にとっての本物はお前だけって事さ」

 

…流石と言うか。ここがガイのモテる理由だな。

簡単に言うと癒し系?

 

「おまえさ、覚えてる?」

 

ん?何だガイ。

 

「誘拐された後だから、お前が生まれてすぐってことなのかな。

記憶なくて辛くないかって聞いたら、おまえ『昔の事ばっか見てても前には進めない』って言ったんだ。

だから過去なんていらないって」

 

あ〜、そんな事も言ったような気がするな。

しかも、コーラル城で暴れまくった事に対しての反省の言葉だったような(ぁ

 

「ははは…。過去なんかいらないんじゃなくて、無かったな」

「…結構心理だと思ったね。俺は」

 

心理、ねぇ。

だが、過去が無ければ人格は育たない。

ナタリアは過去の記憶に拘っていたから互いの距離を離していたんだが、ガイも同様だと思っていたがそうでもなかったか。

 

「辛かっただろ。色々…」

「何がだ?…あぁ、アクゼリュスの事か。まぁ、皆助かったんだし、いいんじゃねぇの?」

 

俺の詰めが甘かっただけの事だしな。

それに、…あの時の俺は、”アクゼリュス崩壊は避けられぬ出来事”と思って行動していたのも事実。

ヴァンは”ルーク・レプリカを使っての崩壊”をシナリオに動いていたが、保険をかけて無かったとは思えない。

だったら、”保険を使われる前に落としてしまえ”

最悪の中で最善を。こんな考え方だからダメなんだろうな俺は。

 

「悪いな。…俺がもう少し対策を立ててればアクゼリュスは崩壊しなかった、まさかイオンを人質にとるとは思ってなかったんだ」

「その一端は俺のせいでもあるな」

「は?ガイは関係ないだろ」

「違う。アクゼリュスが崩壊してるのに、ルークは『ゆっくり降下中』だって言ったろ?俺は、あの時。ルークの言葉を信じられなかった」

 

そりゃ、俺の信用とか信頼とかが無かっただけだろ。

あの場に居た誰もが、俺の言葉に疑問を持った。

まぁ、ジェイドは状況判断で動いたようだが…

 

「瘴気を無効化して、更にタルタロスの奪還。

…民間人をタルタロスに乗せている途中、ブリッジからアニスの叫び声が聞こえてきたんだ」

 

あぁ、そう言えば放送スイッチつけっぱなしだったな。

 

「手が少ない状況だったが、俺はブリッジに向かったんだよ。そこに居たのは、血を吐いてぶっ倒れてるルークを必死に抱き上げるアニスの姿だった。

俺は、自分が情けなかったぜ。ルークが血を吐くまでがんばってるのに、俺は何かしたか?ってな」

「ガイは民間人の救助に回ってただろ」

「あぁ、そうだな。…でも、アッシュ達と外殻へ戻った時少し考えたんだ。あの時もっと何か出来たんじゃないかって」

「あーあーあーあー。後ろ向きなのはやめろ。うざいっての」

 

大体、何でガイがネガティブ思考なんだよ。キャラ設定ちがうっての。

 

「ルーク!ガイだって真剣に考えて…」

 

俺の態度にティアが反応する。…恐らくティアも似たような事を考えていたのかもしれないな。

 

「マジメに考えすぎなんだよ。自分の出来る事をすればいい。頑張るのと無茶をするのは違うぞ?」

「ご主人様が言っても説得力ないですの」

 

ミュウ。お前までそんなきついキャラに(汗

 

「ミュウの言うとおりよルーク。あなたが一番無茶しすぎよ」

「そうか?俺は自分の出来る事をしただけだがな〜。血を吐いて倒れたのは結果だろ?」

「その結果から見て俺はそう思ったんだ」

「う〜む、…このまま言い合っても答えは出ないな。だから、言える事は一つだ。最悪の中で最善を、コレが今の俺の考え方だ。…忘れていいからな」

 

話を切り上げ、俺達は洞窟の出口へ向かった。

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

洞窟を抜け出してすぐ、誰かが走って此方に向かってきた。

あれは、…ジェイドか。何故ここに?

 

「ああ、よかった。入れ違いになっかたかと心配していました」

「大佐、どうしてここに…」

 

流石のティアも驚きの色を隠せない。

 

「ガイに頼み事です。ここでルークを待つと言っていたので捜しに来たんですよ」

「俺に?」

「実は、イオン様とナタリアがモースに軟禁されました」

 

なにや?

 

「おや、ルーク。あなたもいらっしゃいましたか」

「ぉぅょ」

「いえ、別に」

 

別にって何が?(汗

 

「それよりモースに囚われた二人を助け出さないと、まずいことになります。

近くにマルクト軍がいないので、ここはガイに助力をと…」

「…そうか、アクゼリュスが消滅した事をきっかけに、どちらかの国が戦争をはじめようとでもしてるんだろう?

外殻の人々はアクゼリュス崩壊の真実を知らないからな」

「えぇ、ルークの言うとおりです。キムラスカは恐らくナタリアの死を戦争の口実に考えているでしょう。

イオン様もこれを警戒して、導師詔勅を発令しようと教団に戻ったところ、捕まったようです」

 

つーか。個人的に言わせてもらえば、何故ナタリアがイオンと一緒にダアトに?

さっさとキムラスカに戻ればよかったのでは…

そもそもお姫様がついてこなけりゃ戦争は回避されたのでは!?

…って自問を繰り返してもしょうがない。

 

「よし、二人を助けに行くか。戦争なんてくだらない事を起こしてたまるか」

「あぁ、そうだな!ダアトへ行けばいいのか?」

 

ガイは俺の言葉に何か嬉しそうに気合が入ってるが萌えない(ぉ

 

「まぁ、そういうことですね。念のためお知らせしておきますが、ダアトはここから南東にあります。迷子になったりして、足を引っ張らないようにお願いしますよ?」

「だってよ」

「お前のことだよっ!」

「ガイ。一度失った信用は、簡単には取り戻せないわ」

「ティア、どうして君までシナリオを無視するんだ…」

 

あ、落ち込んだ(ぁ

そんなガイのやつは放置気味でダアトに向かおうと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダアトへ到着し、教会へ向かっていると…

 

「うおおおおおおっ!?」

 

突然ガイが叫び声をあげて、俺の背中に素早く隠れた。

何かと思い、原因がある方向を見ると、そこにはフォンマスターガーディアンの姿があった。

 

「うわっ!アッシュ、髪切った?」

「いや、俺は…」

「あ、違った。ルークだ」

 

…何やらアニスが色々な面相に変化し続けてるが?

 

「えええ?なんでおぼっちゃまがこんなところにいるの!?

てか、後ろに居るのは大佐たち?わっは♪これってローレライの思い示し?」

『…』

 

全員が無言になった(ぁ

 

「…けたたましいな」

 

ガイがボソっと俺に聞こえるように言った。

 

「アニス、とりあえずイオン様奪還のための戦力は揃いました。お二人はどうされてます?」

「イオン様とナタリアは、教会の地下にあるオラクル本部に連れて行かれましたっ!」

 

はぁ、やっぱりな。

こりゃー、捜すのに苦労しそうだ。

 

「確か、一般人が入れるのは教会だけだったよな」

「えぇ、オラクル本部は、オラクルの人間しか入れないわ」

 

う〜む、何かいい方法は…

あ、何とかなるかも。

 

「ティア。第七譜石が偽者だったという報告はまだしてないよな?」

「えぇ、そうだけど…」

「じゃあ、俺達を第七譜石発見の証人として本部へ連れて行くことは出来るか?」

「…そうですね。その方法が妥当でしょうか」

 

ジェイドも俺の案に同意する。

よし、今の俺は活躍してる!(ぁ

 

「分かりました。自治省の詠師トリトハイムに願い出てみます」

 

俺達は、教会の中へ向かった…

 

 

 

 

 

中に入って直ぐ、見知らぬおばさんが話しかけてきた。

 

「あらあらあら!アニスちゃん、久しぶりねぇ」

「ママ、ちゃんと貯金してる?」

 

ママ?てことはアニスの親か。

 

「あらあらあら。大丈夫よ。ちゃんと月のお給金はローレライに捧げてるわよ」

「まーだそんなことしてんのっ!?それじゃ老後はどうするのよっ!」

 

アニス、お前のその歳で老後の心配するのもどうかと…

 

「大丈夫。スコア通り生きていればお金なんていらないのよ」

「…あ〜、やっぱりあたしが玉の輿狙わなきゃ…」

 

凄い会話だ(汗

 

 

 

 

 

「ローレライ教会へようこそ。…ん?そちらは唱師グランツと唱師タトリンか」

 

トリトハイムの所にやってきた。

 

「詠師トリトハイム。大詠師より受けた任務を完了して参りました。

つきましては報告のため、ここにいる証人と共に本部への立ち入り許可をいただけますか?」

 

なんだか善人をだましてる気がして罪悪感が…

 

「…むぅ。大詠師モースの…。あいわかった。コレを持っていきなさい」

「ありがとうございます」

 

木札を手に入れた。

 

 

 

 

ようやくオラクル本部へ到着。

 

「ここからどこへ行けばいいんだ?」

 

と、ガイが小さめの声で話しを切り出した。

 

「わかんないよ。しらみつぶしに捜さないと…」

 

流石のアニスも何処居いるかまではわからないか…

 

「ならべく目立たないようにするしかないわ」

「そうですね。敵に見つかったら新手を呼ばれないよう、確実に息の根を止めなければなりませんから」

 

ティアとジェイドが尤ものな事を口にする。

だが、こいつらはまだ分かってない。

俺という存在がご都合主義で出来ている事を(ぇ

 

「こっちだ」

「ル、ルーク?」

「ん?どうしたガイ。腹でも減ったのか?」

「ち、ちがう。そうじゃなくてだな。お前、二人の居場所知ってるのか?」

「いや、知ってるって表現は正しくないな。”分かる”が正解だ」

「どういう事です?」

 

ジェイドが食いついてきた。

 

「どういう…う〜む、説明しづらいな。

簡単に言うと、特殊な信号を発する物をナタリアが身に着けているから、どの方向でどれ位の距離があるか。って事が分かるんだ。

まぁホント言えば、もっと複雑なモンなんだが。説明してる暇なんてなんだろ」

『…』

 

まぁこの世界の術じゃないから説明しても理解されないし?

つーかまさに都合的対処方?

ま、とりあえず、今言えることは…

 

「ガイ。見るんじゃないっ!感じるんだっ!」

「何で俺に言うんだよっ!」

 

だって、ねぇ?

 

「そこに居るのは誰だっ!」

 

あ、見つかった。

 

「ほら、ガイが叫ぶから」

「お前のせいだろっ!」

 

…仕様だ。

 

「ほいっと」

 

ドカっ―― とりあえず、兵士の後ろに回りこんで気絶さてた(ぁ

 

「さて、何時までも遊んでないで行こうぜ?ガイ」

「だから何で俺に言うんだよ…」

 

何やら疲れているガイだが、まぁ放置でいいだろ(酷

 

 

 

 

 

 

「二人とも。無事か?」

 

ちょ〜っとばかし入り組んだ道のりだったが、無事何事も無くイオンとナタリアの元へ辿り着いた。

 

「…ルーク…ですわよね?」

「アッシュじゃなくて悪かったな」

「誰もそんなこと言ってませんわ!」

 

そんなムキにならなくても(汗

 

「イオンも無事か?」

「平気です。わざわざ来てくださって、ありがとうございます」

 

どうやらイオンも調子はよさそうだ。

 

「今回の軟禁事件に、兄は関わっていましたか?」

 

ティアはやはりと言うべきか、ヴァンの行動が気になるようだ。

 

「ヴァンの姿は見ていません。ただ、六神将が僕を連れ出す許可を取ろうとしていました。モースは一蹴していましたが…」

「セフィロトツリーを消すために、ダアト式封咒を解かせようとしているんだわ…」

 

あぁ、なるほど。確かに式を消すにはイオンが必要だな。

 

「つー事は、ここで喋る暇は無いな。いつヴァン達が来るとも限らない。街外れ・・・、とりあえず第四石碑のある丘まで逃げようぜ」

 

皆、コクっと肯きダアトを抜け出した。

途中で鐘を鳴らしたりした事があったりなかったり(ぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四石碑前到着。

追っては来ないみたいだな。やはり公の場で、イオン様を拉致するような真似は出来ないか。

 

「で、この後はどうする?もう戦争が始まりそうだしな。

バチカルへ行って伯父上を止めても恐らくモースの息が掛かってるだろうし…

つー事は、マルクト側に賭けるか?」

「そう、ですね。ピオニー陛下は戦いを望んでおりませんし、ルグニカ崩落の兆しがあるなら、陛下の耳に何か届いているのでは」

 

イオンが俺の言葉に賛成してくれた。

 

「それでいいんじゃないですかぁ?」

 

イオンが肯けばアニスも肯く。

 

「よし、じゃあ決まりだな。でもマルクトへ行くのに、船はどうするんだ?」

「アッシュがタルタロスをダアト港に残してくれました。まずは港へ向かいましょう」

「了解」

 

これでようやく全員がそろった。