「往人さん」
「観鈴か」
「何してるのかな?」
「何もしていないが」
「じゃあそれ何かな?」
「ビン」
「白いもの残ってる」
「絵の具だろ」
「お隣さんが牛乳盗まれたって」
「そりゃ災難だな」
「目付きの悪いのっぽの兄ちゃんだって」
「ほう」
「往人さん」
「なんだ?」
「これ、牛乳」
「いや、絵の具」
「牛乳」
「絵の具」
「このビン、牛乳の匂いする」
「気のせいだろ」
「匂いする」
「気のせいだろ」
「往人さんの舌、白い」
「……………………」
「謝りにいこっ」
「お、おいっ」
「いこっ」
「ひ、引きずるなっ。 そこ階段だろっ、痛っー」
「大変やな、往人も」
「そうですね。 この前は佳乃に引きずり回されてましたよ」
「ははっ。 もてもてやな、往人」
「ええ。 観鈴ちゃんも元気になってよかったですね」
「ああ。 でも、うちが元気にしたんちゃう。 全部あの居候がやったんや」
「うちの佳乃も国崎君のお蔭で」
「……あの居候、ここから出てくんかな……」
「どうでしょう? 彼此2年は滞在してますよ」
「せやな。 居候が出てったら観鈴を悲しませることはせぇへんやろ。 ……妙な悪戯はしとるけど」
「そうですね」
「はぁ……往人もはよぉ、どっちかに絞らんかい」
「そうですね。 ……ああ、遠野のお嬢さんも国崎君のことを好きなようですけどね」
「……あれは甲斐性なしかいな」
「こんなに美人がいるのに」
「なぁ」
「はい」
「そろそろ戻ります」
「そか。 気ぃつけてな」
「はい。 一応医者ですから」
「ほなな。 たまには佳乃ちゃんも連れてきぃ」
「はは、わかりましたよ」
「美凪ー」
「……みちるさん。 何ですか?」
「美凪は国崎往人が好きなの?」
「……ぽ」
「好きなんだ」
「……ぽ」
「なのに国崎往人は美凪の気持ちを知らないでー!」
「……往人さんは観鈴さんと遊んでいるらしいです」
「国崎往人ー! 美凪がいるのに他の女に手を出すなぁー!」
「……みちる、そんな大声出してはいけませんよ」
「だって国崎往人がっ!」
「みちる」
「わかったよー」
「……往人さんには往人さんなりの考えがあるのです。 それを否定するようなことを言ってはいけません」
「でもー」
「私は往人さんが幸せになってくれればいいです」
「うー」
「みちるも分かるときがきます」
「ほんと?」
「ええ」
「ポテトー」
「ぴこ」
「今日も往人くんいなかったねぇー」
「ぴこっ」
「でも、明日は観鈴ちゃんの家に行くんだよぉ〜」
「ぴこぴこ」
「もちろんポテトも一緒だよぉ〜」
「ぴっこり」
「あはっ。 観鈴ちゃんの家に行けば往人くんもいるもんね」
「ぴこっ」
「それでぇー往人くんと観鈴ちゃんとで遊ぶのぉー」
「ぴこぴこ」
「もちろんポテトも一緒だよぉ〜」
「ぴこ」
「みんなでお散歩するのぉ。 お散歩隊の1号さんは私でぇー、2号さんが往人さん、3号さんが観鈴ちゃんで、4号さんがポテトぉー」
「ぴこぴこっ」
「面白そうだよね」
「ぴこっ」
「じゃあ今日は早く寝よぉ〜」
「ぴっこり」
「じゃあ帰ろっ、ポテト」
「ぴこっ」
「観鈴」
「何、往人さん」
「綺麗だな、星」
「そうだね」
「神奈も」
「ん?」
「神奈もこの星を見れてると思うか?」
「うん」
「そうか」
「それに」
「なんだ?」
「うん。 神奈ちゃんが生きていたときにも見えたはずだよ」
「見てなかったら?」
「絶対見てるよ。 今の私と往人さんみたいに」
「……そうだな」
「うんっ」
「なあ、観鈴」
「何?」
「観鈴。 俺と――――」
「私も往人さんのこと――――」
「それでな、俺達が神奈たちの分まで幸せになるんだ」
「うん」
「この町の人たちと共に」
あとがき
非常に解り辛い
上から観鈴&往人
晴子&聖
みちる&美凪
佳乃&ポテト
観鈴&往人です
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