"Voices in the Night" Akira Ishii
EWE

Akira Ishii (p) Masayuki Tawaraya (b) Yoshihito Etoh (ds) recoreded April.24&25,2001

1.Angel Eyes
2.Snakin' Around
3.Septemble
4.Greco
5.I concentrate on you
6.Sometime in the Snow
7.A.P
8.Ladies in Mercedes
9.Voices in the Night

爽やかにそよぐ風


2002年5月6日



 久しぶりのコラムです。特集記事にかかりっきりだったのでご無沙汰しておりました。いっそのこと過去コラムをアップしつくしてからとも思いましたが、ちょっと気分転換に書いてみることにしました。


 今回紹介する盤は何と私としては珍しい日本人ジャズ・マンによるアルバムです。これは「ジャズ新名盤を探せ!」のコーナーで他の執筆者が出してきたものですが、自分も聴いてみようと入手したら思いのほか素晴らしいものだったのです。石井 彰のピアノ・トリオ盤、しかもデビュー盤とは驚きです。このアルバムを出しているEWEというレーベルのHPを読みましたら、今引く手あまたのピアニストとのこと。そりゃそうだと納得する盤です。あまりにも私の好みにあっていて言葉を失いかけていますが、ともかく素晴らしい。キースやメルドーが好きなら絶対お薦めとは言い得てます。この人Ivan Linsに心頭しているとのことで、私も早速どんなものか1枚だけ入手の手続きをしました。さてあまり時間もないので(出勤前なので)演奏の紹介に入ります。まずは"Angel Eyes"です。なんと重厚なトリオだろうと感心する次第です。トリオを組んでいるのは俵山昌之のベースに江藤良人のドラムというもちろん私には始めて聞く名前です。この組み合わせが絶品です。キースのスタンダーズ・トリオか、はたまたメルドーのトリオかと言うほどのものです。こんな日本人ジャズ・トリオが誕生したことは誇らしいことです。日本人もなかなかやる・・・そういう盤です。2曲目はレイ・ブライアントの"Snakin' Around"です。なにが飛び出すのだろうと言う和太鼓のようなドラムと音に耳を傾けていると、出てきましたお馴染みのテーマが。ほお、そうかと言う具合です。私はふと釧路のジャズ喫茶の名前を思い出しました。そこの雰囲気を感じさせるのです。何か親しみの強い暖かい雰囲気とちょっとインタレストな何かがある・・・そんな演奏です。3曲目がイヴァン・リンスの曲"Setembro"です。この曲が入っている彼のアルバムを検索したのですが、見あたらないのです。知っている方教えて下さい。ステキな曲です。ブラジルの風を感じる演奏です。そよ風です。GWどこへも行きませんでしたが、ポカポカと暖かい日差しにそよぐ風に心地よかったのですが、そんな心地よさです。4曲目は俵山氏のオリジナルで、彼のベースのイントロから入っています。メルドーあたりが書きそうな曲です。そう彼の"Places"にあるような感じですかね。一服の清涼剤という感じです。次はコール・ポーターの"I concentrate on you"。この曲思い出があってリー・コニッツがレッド・ミッチェルとデュオしたこのタイトル曲の盤を持っていたのですが、奪われてしまったのです。初期コラムに書いた「喫茶クレヨン」を読んで下さい。恨みがましいですが忘れられません。ジャケットも好きだったのに。それは別として軽快な演奏でした。6曲目は石井 彰氏のオリジナル"Sometime in the Snow"。北海道人の私にはリゾート的な冬景色のスキー場というイメージです。日差しも暑くポカポカしたなかでスキーを滑る(私は全然駄目ですが)イメージです。7曲目はドラムス江藤氏のオリジナル"A.P"です。曲名の由来はわかりませんが、どこかで聴いた覚えのあるような曲想です。思い出せませんが、結構ブルージーというかボビー・ティモンズあたりが書きそうな曲です。ああ思い出した"Moanin'"とマイルスの"Nardis"が混じったような曲です。8曲目は全く知らない曲"Ladies in Mercedes"です。メルセデスというとジャニス・ジョップリンの曲を思い出すのですが、全然関係ないですね。ブラジル系の曲かな?これも心地よい風を感じます。最後はタイトル曲の"Voices in the Night"です。昨日家の犬が逃げたのですが、「夜空に吠える犬」という本だったか曲がありましたね。そんなイメージとは全然関係ないステキな曲です。エヴァンス系の曲ですね。とにかくステキの一言のアルバムでした。