Junko Onishi "Wow"
Junko Onishi "WOW" Somethinelse

Junko Onishi (p) Tomoyuki Shima (b) Dairiki Hara (ds) Sep.3-5,1992

1.The Junglar 2.Rockin' in rhythm 3.B-Rush 4.Prospect Park West 5. Point-Counter-Point 6.Brilliant Corners 7.Nature Boy 8.Broadway Blues

ガツンと一発

2002年6月28日



 最近つくづくジャズを聴くのもバランスが大事だと感じています。昨日も少し臭わせましたが、北欧・東欧ジャズのリリカル・プレーに若干飽きが来ている昨今、ガツンと一発元気の良いものに出会いたいとCDを選ぶのも腐心しているところです。それで出会ったのが例のArturo Sandvalの「ピアノへの情熱」というやつです。難しいことは抜きにしてラテン・タッチの情感に触れて心熱くなる思いでした。このラテンの雰囲気と言えばまたサッカーの話になりますが、ブラジル・チームのサポーターのあの熱気。冷静堅実なドイツ・チームも好きですが、ジャズに関してはちょと目先を変えてこういう熱気に触れたい気がするのです。Sandovalのアルバムには叙情的な曲の中にも熱く燃える何かがあったわけです。ともかくガツンと一発のものが欲しいという心境です。

 今日の紹介する盤もガツンと一発来ました。前から気になっていたのですが、なかなかたどり着けなかった大西順子です。北欧・東欧ジャズに血迷っていたのではこの人を選ぶ余裕などなかったというところでしょう。

 この美形の顔立ちからは想像できない「男っぽい」ガツンが効きました。「何を今までウロウロしてたのよ」と怒鳴られた気分です。しかしこんな怖いイメージを彼女には持ちたくない。やはり美人で優しく色気があるというところでいきたいわけです。メグのオヤジがこの人にぞっこんで結構記事にしているのですが、かなり破天荒な性格らしいです。お茶目とでもいいましょうか。「ウエイトレスにはしたくない」と。私は全く逆のことを考えていたのですが、彼女みたいな子を店を持ったらアルバイトに選びたいと。勿論美形で色気があるという線で。いやいや優しいお姉さん風の山中千尋もいいかなとか。まあそれはともかく本題に入りましょう。

 エリントンとかモンクの曲からジャズの美味しいところを上手く表現してるのがまず最初の「ガツン」ですね。ガーシュウインの曲をやった山下洋輔も敵わないという感じです。エリントンのは中間部が美味しい。更にガッツがある。モンクの"Brillant Corners"は大音量で聴くに限ります。この怪しいテーマ。何度か登場するのですがその度にゾクゾク来ます。そしてその周辺のインプロバイズの美味しいこと。

 いやその前のガツンがありました。まずは1曲目の彼女のオリジナルの演奏です。これが女性の弾くピアノですか?キック、キックにパンチですよ。これはさしずめ入れ墨でも入ったマッチョな男からのパンチのようです。もうご託も言訳も通用しない問答無用のガツンです。

 三つ目のガツンはメグのオヤジも絶賛している"B-Rush"です。4ビート・スウィングの極みと50年代ジャズの香りです。パウエルだアル・ヘイグだとライナーには書かれていますが、そんな特定のものというより50年代ジャズ・テイストが滲み出てくるじゃないですか。

 ものごと3つぐらいの要点で話した方がよいのですが、これはちょっと逃す訳にはいかない。"Nature Boy"です。この哀愁ある曲を甘みを落として「無糖ブラック」でやっているんです。これはニガイけれど美味しい。

 最後のオーネット・コールマンの曲も一言言いたいけれどしつこくなるので辞めときます。