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MILESを聴けに関して

 
前回の話に関連して中山某氏を代表とするの「Milesを聴け!」という人の言い分もわからないではないけれど、それでジャズの全てが「わかる」とか事足りるってことと「愉しむ」っていうのは別物であることは明白だよね。ジャズが「わかった」チャンチャンじゃつまんないし、で、ずっとMilesだけ聴いてるのかと思えばそうでもないみたいだし、「Milesを聴け!」なんて随分横暴な言い方だと思うね。寺島氏の「これを聴け!」みたいのも横柄だけど。どうもジャズ・バカっていうのは、そういう一刀両断的なところがあるね。それでどうしたって言いたいよ。人間には男と女がいます、チャンチャンとと同じじゃん。そうじゃないでしょうって自分でも思うから色んなものを書くわけで、だから許せるって思うけどね。
寺島氏ってのは、色々右往左往する人で「こうだ」って断言したかと思えば「あれは言い過ぎた」って反省してみたりで、そこが人間くさくて好きだな。で、結局行き着いた先が、「ジャズ=象論」だね。何かがわかったと思ったら「象」のどこかの部分を触ったに過ぎない事に気づくって具合でね。これは至言だと思うよ。もろあてもなく彷徨う愉しみってのがジャズにはある。そこのところは僕も賛成だな。
 Milesだけ聴いてジャズの全てがわかったって結論してりゃいいのかも知れないけど、それまでだよ。そんな人は早く死ぬね。
 人間色々いるんだから、ジャズだってやってる人間が色々いるわけで、そこんとこ一括りとかエリートだけ選りすぐって聴けってのは全体主義的っていうかジャズ・ファシズムだね。「個性の時代」なんて言い方が少しこそばしいけど、そこを大事にしたいと思うよ。端的に言えばね。
 で、何を表現したがっているかってところを聴くわけだな。エモーションなのか、リリカルなのか自分の小宇宙の表現なのかってね。そしてどういう手法でどういうテクニックを使ってどうアレンジしてどういう楽器の組み合わせで、どう絡み合ってっていうところが、みんな色々あるわけだし、そこが面白いんでしょう?って言えば無数なわけでそれを全部聴くってわけにはいかないから、じゃ「Milesを聴け!」ってかい?じゃないと思うね。
人生だって限りある。限りある中で必死に何かをつかんでいつかは死んでいく・・・でいいんじゃなのかね。

Jazz徒然
目映い・・・でも聴いて貰えたらいいのになぁ

Poppin'
Hank Mobley

BLUE NOTE 1620

Oct20.1957
Hank Mobley:ts
Art farmer:tp
Pepper Adamas:bs
Sonny Clark:p
Paul Chambers:b
Philly Joe Jones:ds

1.Poppin
2.Darn That Dream
3.Gettin7 into something
4.Tune up
5.East of Brooklyn
 端的に言うと目映い。何がって演奏にキマッテルじゃないか。なんだけど、もうひとつ目映いのがこの1620という番号なんだ。BLUE NOTEに詳しい人なら、ああそんなのがあったよね、だろうけど、僕はえっと思ったね。1500番台じゃなくて1620だよ。なんじゃこれだよ。これは実は1500盤番台のリアルタイムで出てこなかった盤なんだね。つまり1957年に録音させていながら1980年まで未発表だった盤なんだ。で、こういうのを紹介しても悔しいと思われるだけだけど、今はCD屋にはたとえHMVでも無い・・・。勿論運良く80年代に入手している人は別だけどね。いやぁこの音の分厚さといいまさに甘露だな。どうやって手に入れたかって?それは内緒だな。あるところには、あるってことさ。
 でね、フロント3管も勿論いいのだけれど、やっぱりSonny Clarkを含めたリズム・セクションがいいな。ピアノ、ベース、ドラム全てに渡っておいしい。何でこんなのが今出てないのか不思議なくらいだね。ってかなり煽ってみんなの口から涎が出るのを密かにほくそ笑んでいる僕ってかなり嫌らしいよね。マゾっぽい。どうか業界さんこれをまた出してくれっていいたいね。
 ま、そんなイントロはやめにしてさっそく行こうか。
 まずは3管のフロントからドバーッと出てくるアンサンブルに吃驚して、その後のClarkのピアノがいいな。とろけるね。これ早いテンポだけど、味のあるシングル・トーンがホントとろける。それから、Pepper Adamsのバリトンになって、Art Farmerのトランペット、で、最後はHank Mobleyのテナーってな具合のソロが続くいつものこと。でもそれぞれが聴かせるね。で、やっぱりリズム隊がしっかりしてるから聴いていて気持ちがいいね。Philly のドラムの歯切れ良さったらないね。Poppinでした。
 次がMobleyのテナーから始まるバラード演奏でDarn That Dreamだ。何にも言うこと無いね。浸りきるよ。どうしてこういう歌心を無視したジャズ聴きがいるのか不思議で堪らない。Farmerがミュートで奏でている。こういう時にはまさに奏でるっていうのが最適な表現だな。それからAdamsのバリトンがグッと来る。こういう音域のそれぞれ違う3つの音を聴いたうえにClarkのシングル・トーンが出てきて、もう虹色に輝くって感じの雰囲気だね。しっとりしていながら、何かピカピカ輝いてるんだな。ここだけがバラードだから際立つね。
 次は軽快なGettin7 into something。こういうのはありがちなテーマであまり好きじゃない。と言うときにはそれぞれのソロ愉しむに限るね。出色はやっぱりClarkのピアノかな。BlueNoteの味を堪能させてくれるピアニストだね。
 次がMilesのTune Up。って書いてきたけど、書けば書くほど聴いて貰えないのが気後れするからここらでやめるよ。