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ジャズ喫茶開店事始め-その2


このところジャズ喫茶ものをあれこれ読んでいるんだ。そのうちの出色ものが、「吉祥寺JAZZ物語」だった。これはかなり可笑しくて笑えるものだったけど、もうひとつ今読み始めている「おれたちのジャズ狂青春期〜ジャズ喫茶誕生物語」。この中で、札幌のジャマイカのマスター樋口さんのや高田馬場イントロの茂串氏のが結構呻ったな。樋口さんは昔から知っているマスターだけど、彼の青春期が極道であったことは初めて知った。つまりは学校時代は番長を張っていて中退なんかしちゃうんだけど、ヤクザの親分さんに可愛がられた話だとか結構ドスの利いた話で、そういや奥さんって言う人は、どこか極道の妻って雰囲気もあったなぁって思ったりして思い出し笑いをしてしまった。あの人は店で会うと人当たりの優しい「熊」って感じで、宮本輝の本で「流転の海」などの一連のものに登場する「熊吾」の雰囲気そのままって感じで、シミジミ可笑しかった。
 僕はジャズ喫茶ていう場所はどこか精神的に(あるいは正真正銘の)ドロップ・ダウンしたもののたまり場か、隠れ家的であるなと感じた時期があったけれど、今はどうなんだろうな。でもそういう輩の同胞としてつきあっていくてのが、なんだが愉しみでもある。どこか不器用な生き方をしているところに共感するし、彼らの湯鬱そうな顔を眺めながら僕は応援歌のつもりでジャズを流してやりたいっていうことを考えたりもするんだ。それも不遜な考えかもしれないけどね。
 僕自身ジャズ喫茶ってのは、音の渦のなかに埋もれていることで、シェルターにいる安心感を覚えた時期があったし、今でも一番くつろげる場だよ。青春期の不安で動揺しやすい時期に、一瞬でもそんなことを考えずにいられる場を得たと思っている。一歩店から出れば、ため息ばかりの出る現実に戻るんだけどね。
 マスターの無愛想な顔や哲学者的な顔って色々あったけど、僕はどんな顔して店に立つのかなって思うな。僕は最初は「よくも、いらっしゃいませ」って感じで迎えてやろうかと思っていたけど、今は「よくも」はよくないなって思ってる。やっぱり腰こそ低くはないけど笑顔で迎えたいね。

Jazz徒然
渋さにちょっと軽さをアレンジしてみました

Kenny Dorham
Quiet Kenny

Prestige

1959.11.13
Kenny Dorham:tp
Tommy Flanagan:p
Paul Chambers:b
Art Taylor:ds

1.Lotus Blossom
2.My Ideal
3.Blue Friday
4.Alone Together
5.Blue Spring Shuffle
6.I Had The Craziest Dream
7.Old Folks
8.Mac The Knife
 Kenny Dorhamて言うとどこかいまいち息の上がらない渋めのイメージで、この邦題だって「静かなるケニー」てんでしょう。今みたいに僕の調子もいまいちっていう時にはピッタリだったりもする。疲れたおじさんをやさしく包んでくれるって先入観で聴くと、とっ始めで裏切られるんだけど、My Idealでおー、やっぱりそうかと思うわけだ。これってどういうかChet Bakerじゃんて思うのは僕だけかな。次もブルーなイメージでそのまんまBlue Fridayだ。Art Taylorのシンバルが効いてるね。Dorhamのモコモコいう感じがやっぱりChetっぽい。誰々風っていう聴き方はするなって思うんだけど、だって似てるんだもの。ここで出てくるFlanaganのピアノが嬉しいね。考えてみりゃいい面子だよね。これだけ揃って超渋なアルバム作ったってのも意外だね。そうそう彼はBLUE NOTEでこんなのを作ってた。Whistle Stopっての。やる気あんのかよって酷評されてた盤だけど、僕はコンセプトの問題でそういうダークな感じのものを作ったんだて思ったね。それがものの見事に出てるAlone Togetheなんて聴くと、うらぶれた雰囲気で、ジャケットと言い、ホームレスのおじさんを臭わせてるって感じだな。次のBlue Spring Shuffleは格好いいよ。Chambersのベースから入ってるんだけど、ちょっとスリルのある雰囲気だな。危ない雰囲気も感じるな。ヌーヴェル・ヴァーグ風のサスペンスものって雰囲気だね。年代も丁度「死刑台のエレベーター」の時期と符合するね。そんな影響もあったのかね。次がホンワカ・ムードで温厚なDorhamの雰囲気だね。いやDorhamが穏和だったかどうかは知らないけどさ。そんなI han the Craziest Dreamだ。Flanaganのピアノも軽いタッチだしTaylorのブラシが良くスウィングしてるね。次が僕の好きなOld Foksだ。渋めにやってるな。Flanaganのピアノがイカシテルね。(これ死語か)とにかくコロコロとシングル・トーンが心地よいよ。最後がMac the Knifeで、意気揚々という感じだな。これを暗くやれったってそうはイカのキン○○だな。全体的にみれば、やっぱり渋めでちょっと軽さも加えてみましたって感じだね。