心(しん)よりいでくる


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 小股の切れ上がった颯爽としたところもあり、楚々としたお嬢様風にもなり、かと思えば大胆に・・・とかく女性は魔物である・・・なんてね。ピアノで表現する彼女の「存在=EXISTENCE」の摩訶不思議さを感ぜざるをえない。
 AIRGINで表現するスピード感とジャイアント・ステップス=大闊歩で度肝を抜くところと、しなやかなさを披露し、オリジナルBE BOPPERSでもしなやかでもあり大胆さもあるという両面をみせ、フーガ風のLENNI'S PENNIESでは勝ち気な側面を、EMBRACEABLE YOUの心の深部に伝わる滋味、NOT YETではそれまでの端麗さを裏切って泥臭くなってもみる。FAR AWAYでは母性さえ感じさせ、EXISTENCEにいたっては、一掴みにできない存在の複雑さをここぞとばかりにアピールする。
 いったいこの人の正体は?いやいや、人間誰しも女性に限らず多面的であるのだが、それをピアノで表現出来るということが希有なのだ。白崎彩子というピアノから垣間見る存在をウォッチングしていると、何と人間とは多重な存在であることを、改めて思い知らされる。それだけに「怖い」とさえ思った。
 ESTATEの表現力に空恐ろしささえ感じる。この曲の持つ「哀しさ」を聴くもの深いところに伝えてくる技量。心に描くものを音にする時に否応なく現れる素質、それまで彼女が経てきた人生のプロセスに積もった芥をかみしめる感性。それらが秘められ、余分なものをそぎ落として音に籠め、「心(しん)よりいでくる」静謐感。いやはや、畏れ入る。
 随伴するベイシストのMARCO PANASCIAが随所で披露するソロなども聴き所だ。LEWIS NASHのしなやかなドラミングはEXISTANCEで顕著である。
 

AYAKO SHIRASAKI / EXISTENCE

AYAKO SHIRASAKI:p
MARCO PANASCIA:b
LEWIS NASH:ds
Feb 8.2003
WHAT'S NEW
1.AIRGIN
2.BE BOPPERS
3.LENNIE'S PENNIES
4.EMBRACEABLE YOU
5.NOT YET
6.FAR AWAY
7.EXISTENCE
8.ESTATE
8.PERFECT SUNDAY
10.FALLING LEAVES