JAZZ徒然

2003.11

CHUCHO VALDES
LIVE AT THE VILLAGE VANGURD

CHUCHO VALDES:p
FRANCISCO RUBIO PAMPIN:b
RAUL PINEDA ROUQUE:trap ds
ROBERTO VIZCAINO GRUILLOT:conga,bata ds
MAYRA CARIDAD VALDES:vo
April 9,10 1999
BLUE NOTE
1.ANABIS
2.SON XXI
3.PUNTO CUBANO
4.MY FUNNY VALENTINE
5.TO BUD POWELL
6.DRUM NEGRITA
7.COMO TRIGO LA YUCA
8.PONLE LA CLAVE
10.ENCORE-LORRAINE'S HABANERA



 

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I

 

 往年のブルーノートの熱気と底抜けの明るさがある。罪のない楽天的情緒が溢れている。パーカションが存分に雰囲気を彩り、バルデスの艶やかなピアノが踊る。引っかき回すように踊り狂うピアノ奏法が、バルデスの味なのだろう。甘ったるい美旋律や意味不明のフレーズなどどこにもなく、強い打鍵の明快な音列とリズムがラテンの夜空に明滅する極彩色のネオンに男も女も狂わす不夜城を想像する。
 
 不協和音を駆使した妖しい雰囲気でかき鳴らすピアノと、緊張した空気を作り出すパーカッションとの交錯があるSON XXI。次のPUNTO CUBANOはラテン情緒絢爛な中に愛らしいメロディを持った演奏。アフロ・キューバン調のMY FUNNY VALENTINEなどは面白い。ラグ・タイムのソロで始まるTO BUD POWELLではパウエルの使いそうな旋律を織り込んだ愉しい雰囲気だ。挿入的に良く知られたフレーズを使うといったことは、彼の常套のようで聴く者を愉しませるパフォーマンスで、あれっと思わせる。そう、彼の演奏は聴衆を愉しませるパフォーマンスこそ命と言えよう。
 聴く者の血を滾らせる熱い演奏。煽って、煽って心躍らせる為に、パーカッションをふんだんに活躍させ、鍵盤をかき鳴らし、時に熱く、時に妖しく、時に息を潜ませ、そして突如爆発的なエネルギーを発散し怒濤の渦に巻き込む。その時聴衆の歓喜は絶頂に達する。
 
 DRUM NEGRITAではMAYRA CARIDAD VALDESのヴォーカルが入る。南国情緒を高らかに歌い上げるヴォーカルである。パフォーマンスは更に続く。PONLE LA CLAVEでは熱気が最高潮に達し、バルデスのバンドは総動員で嵐のように聴衆に襲いかかる。息つかないバルデスの絢爛としたピアノ、それが止むとパーカッションが乱れ飛び、延々と続くリズムを導入にして怒濤に入っていく。最早、騒然としか言いようのない荒れ狂い方だ。
 
 最後はアンコールに応えて、バルデスが静かにピアノを弾き始める。なんと馴染み深いメロディが流れるじゃないか。しっとりとしたハバネラが絢爛としたパフォーマンスの締めくくりをする。



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