不思議なスウィング感
AHMAD JAMAL / AHMAD'S BLUES



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 アーマッド・ジャマルは、エロール・ガーナーとレッド・ガーランドを結ぶ線の中間より幾分ガーナー寄りと言ったら良いのだろうか。ともすると、あの「間」の取り方はガーナーそのものであり、ビハインド奏法を引けばガーナーもジャマルもガーランドも一緒という気さえする。
 MERCURY盤のガーナーのPLAYS MISTYを聴いているのだが、これでベースとドラムがぐっと前に出れば、ジャマルのピアノ・トリオと大差なく右手の動きなどそっくりである。
 今時のピアノ・トリオでベースやドラムが前面に出ているなど当たり前だが、この当時でこんなのは普通じゃなかったと思う。そういう意味じゃ、スタイルの多少の古さを差し引くと、「間」の持つスリル感とあわせてもっと見直されて良い人だと僕は思っている。大体存命のピアニストで、殆どが輸入盤しかないという扱いは、あまりと言えばあんまりじゃないか。もっともその方が安く手に入るというメリットはあるが。
 ガーランド等が好きな人には、彼のものも僕はお奨めだ。ガーランドを中心に置くと、もう一人挙げたいのが、ジョン・ライトである。この人も輸入盤組である。国内盤などみたこともない。版権の問題かも知れないが、この人のものを国内盤で出さないのは、ばっかじゃないのと言いたくなる。
 それはともかく、このジャマルのアルバムはライブ盤で、さっきも言ったがベースとドラムがぐっと前に出ている。が、特異なのはあくまでジャマルのピアノがメインで、ドラムソロがあったり、ベースソロが目立ってあるというわけじゃないところだろう。ぐっと前に出ているにも拘わらずあくまでスウィングする為の伴奏という感じで、ジャマルが作る「間」と相まって不思議なスリルが生まれるという仕組みである。
 この不思議感覚は彼の殆ど唯一の国内盤であるBUT NOT FOR MEでも聴ける。
 このアルバムで彼のオリジナルは冒頭のAHMAD'S BLUESとSELERITUSしかなく、あとは良く知られたスタンダードだが、演奏スタイルの特異なスウィング感をその曲ごとに愉しめる。
 この中で7曲目THE GIRL NEXT DOORや13曲目THAT'S ALLなどは、曲の愛らしさを上手く引き出した演奏で好きである。楚々とした雰囲気がガーランドとだぶるからだろうか。

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AHMAD JAMAL:p
ISRAEL CROSBY:b
VERNEL FOURNIER:ds
September 6.1958
CHESS
1.AHAMAD'S BLUES
2.IT COLUD HAPPEN TO ME
3.I WISH I KNEW
4.AUTUMN LEAVES
5.STOPIN' AT THE SAVOY
6.CHEEK TO CHEEK
7.THE GIRL NEXT DOOR
8.SECERT LOVE
9.SQUATTY ROO
10.TABOO
11.AUTUMN IN NEW YORK
12.A GAL IN CALICO
13.THAT'S ALL
14.SHOULD I ?
15.SELERITUS
16.LET'S FALL IN LOVE