紫煙けむる
BARBARA LEA / BARBARA LEA



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 フランシス・コッポラ監督の1984年の作品「コットン・クラブ」は1920年代のハーレムを忠実に再現した舞台装置や細部にわたるディテールには興味惹かれるものがあった。ギャング映画としても楽しいし、ビックス・バインダーベックをモデルにしたと言われているリチャード・ギアの役所や、デューク・エリントンの作曲した初期の作品が次々と聴けるし、コットン・クラブでのショーやグレゴリー・ハインズとその兄のタップダンスの妙技も素晴らしい。ついでにキャブ・キャロウェーのそっくりさんが「ミニー・ザ・ムーチャー」を歌うシーンなどよくここまでと思わざるを得ない。「コットン・クラブ」のレビユーシーンのなかで、ロネット・マッキーという女優が色白の黒人役で出演した。映画の中では、ギャング同士の抗争の映像とだぶらせながら描かれたシーンだったが、ILL WINDを歌っていて鮮烈に僕の脳裏に残っている。
 最近通うようになった時代屋という店は、映画ファンの女性店主が経営しているお店で、先日立ち寄ったらヴォーカルがかかっていて、ああヴォーカルも良いなとふと思って聴きながらいつものことながら、文庫本を開いて読んでいた。お店の壁には、オードリー・ヘップバーンのポートレートが架かっていて、毎週土曜の夜はスクリーンで映画が愉しめる。生憎勤務の都合もあるので行けないのだが、ジャズと映画という組み合わせ。気に入って通い出した。
 そんなわけでもないのだが、このバーバラ・リーのアルバム。バックのインストも愉しめる好盤である。
 紫煙煙るキャバレーの奥で歌う女性歌手と、コットン・クラブでリチャード・ギアがやったトランペッターの奏でる音色にも似たセピアかかった雰囲気が、なんともハードボイルドな良い雰囲気を想像させる。
 小粋なピアノ、小気味よくリズムを刻むギター。そしてバーバラ・リーの軽いビブラートのかっかたアルトのヴォーカル。
 ALL HALLのベースが重く響く中で
しなだれるような歌い方のGEE BABY,AIN'T I GOOD TO YOU。これは絶品だ。
 妖しい雰囲気がここそこで聴かれるアルバムだが、BALTIMORE ORIOLEが耳にとまった。JOHNNY WIDHURSTのトランペットが哀切極まる音色でぐっと胸にしみる。
 弾むリズムが心地よいBLUE SKIES。ここではWIDHURSTは
ピーンと張った音色とミュートを使い分け、OSIE JONSONのブラシが小気味よい。

BARBALA LEA:vo
JOHNNY WINDHURST:tp
DICK CARY:ah,p
RICHARD LOWMAN:p
AL CASAMENTI:g
AL HALL:b
OSIE JOHNSON:ds
Oct 18,19,1956,May,1 1957
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1.NOBODY ELSE BUT ME
2.WHERE HAVE YOU BEEN
3.I'M COMING VIRGINIA
4.HONEY IN THE HONEYCOMB
5.THUSDAY'S CHILD
6.I'VE GOT A POCKET FULL OF DREAMS
7.MY HONEY'S LOVIN' ARMS
8.I HAD MYSELF A TRUE LOVE
9.GEE BABY,AIN'T I GOOD TO YOU
10.I FEEL AT HOME WITH YOU
11.BALTIMORE ORIOLE
12.BLUES SKIES
13.I FEEL AT HOME WITH YOU
14.A STRAW HAT FULL LILACS