70年代の記憶

TETE MONTOLIU / TETE !

TETE MONTOLIU:p
NIELS HENNING ØRSTED PEDERSEN:b
ALBERT TOOTIE HEATH:ds
STEEPLECHASE
MAY 28.1974

1.GIANT STEPS
2.THEME FOR ERNIE
3.BODY AND SOUL
4.SOLAR
5.I REMEMBERD CLIFFORD
6.HOT HOUSE

 70年代にジャズに洗脳されはじめた者として、こういう音を聴くと何故か「昔懐かしジャズ喫茶」というイメージを持ってしまう。テテのものは、実は始めてなのに発散される雰囲気とか音のどこかザリッという荒さみたいのが混じって、聴いたことがあるという記憶が頭の隅っこに残っているのだ。ひょっとしてこれは同じSteeplechaseの何かと錯覚したのだろが。でも音のレンジがやや狭くてともすると平ぺったいという感触がするなというのが最初の率直な感想だったが。
 何かムシャクシャしたものがあったので、これを選んだのだがともかくスピード感だけは、もの凄いということだけはどうも言えそうだ。何せ、何にムシャクシャしていたのかこれを聴く間だけは忘れていられるくらいだったからだ。ムシャクシャが吹き飛んだのだ。
 このスピードがどこから湧いてくる感じなのかと思って聴いていると、どうやらアルバート・ヒースのドラミングのタイミングとニールス・ヘニングのベース・ランニングの素早さにテテの鍵盤運びが絡み合った「早さ」なのだろうと思う。とにかく「せっかち」と云うほどに進行していく演奏に、こちらまで青色吐息となりがちだ。
 80年代にenj aからトミー・フラナガンが出したGIANT STEPSの最後にこの曲が入っているが、これほどスピードはなくやや急ぎ足、オリジナルのコルトレーンのものに近い。ドラムもアル・フォスターで叩き方がまるで違う。ベースがジョージ・ムラツでおっとりしたランニングでこれはこれで、実に良く聴き比べるのも良いかも。
 僕は2曲目のTHEME FOR ERNIEが好きなのだが、ここでのテテを含むトリオの荒く削った感触がまことにいい。やや訥々とした運びを含むテテのピアノ。アルバート・ヒースの傍若無人な叩き方があってないようで、絶妙に絡まってあっているうえにアグレッシブさを醸し出しているのだ。オリジナルのバラードがこんな具合になるのも面白い。聴くほどにこれは、実に単刀直入な表現のアルバムだなと思い当たった。今時のコテコテに難しくしたものに比べ、荒く削った趣だがスッと懐に入ってくる。そして好きになってきた・・・。



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