JAZZ徒然

埋没


2003.12

LARS JANSSON
THE TIME WE HAVE

LARS JANSSON:p
LARS DANIELSSON:b
ANDERS KJELLBERG:ds
March 29 1996
imogena

1.HERITAGE
2.LIGHTMAP
3.SONARE
4.LONG AGO AND FAR AWAY
5.THE TIME WE HAVE
6.SOMETHING TO EAT
7.SUITE
8.EYES
9.THE FREE ROSE
10.LITA
11.LACRIMOSA
12.AUTUMN LEAVES
13.REMEMBERING ISSA



 

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I

 

 旋律の美しさに対する欲求を捨て去って、ただただ音の渦の中に身を浸していると、何故かそれが安心感になってくるのを覚えた。ラーシュ・ヤンソンのこのトリオと言えば美旋律にうっとりくるものとばかり思っていたが、フリー・インプロバイズを基調にしアグレッシブに展開するアルバムを作ってしまったのだから違和感を抱く者もあろうかと思うが、僕は意外にものめり込んで聴いてしまった。
 ただただ琴線に触れてくるものを探していた中で、あれもこれも駄目という感じだったのだのに、これを聴き始めて暫くしてのめり込んで聴いている自分に気付いたのだ。
 わかりすぎる旋律やリズムに少し嫌気がさしていたのかも知れないが、ジャズを聴く姿勢は本来こういうのめり込んで聴き入るということにあったのではないかとふと気付かされた。
 わけなど端からわかろうとするのでなく、夢中で音の渦に埋没することがあった筈だと思い出す。その渦の中にいることに恍惚となり、何かが自分の中に沈殿する感覚があったと思い出すのだ。
 わかりすぎてしまうことに飽きたのではない。 無心になれたことが驚きであったのだ。言葉を差し挟みながら聴く癖がついてしまっていたのだが、これは本来的ではないと警鐘を鳴らされ反省させられた。そういうアルバムなのだ。気持ちを音から離すと途端に嫌悪に繋がりかねないものも確かにある。その逆にいつものヤンソンらしい美旋律でうっとりさせてもくれる。その惹きつける結構にもはたと膝を打つ。上手く作ったものだ。



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