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書斎考(その2)文庫本主義



 
蔵書というのは捨てたり売ったりしない限り、限りなく増えていく。買うことをやめれば済むことなのかも知れないが、本好きという性癖はそんなことを許さない。いずれ増え続けて書斎の中に収まらずパンクするのは予測できることではあるけれど、僕はある程度は楽観していられる。それは文庫本を好んでいるというところから来る。
 僕は何事にもコンパクトであることを好むし、持ち運びの手軽なものが好きなタチだ。それは本というものしても同じことで、出来るだけ文庫本で買うことにしている。どうしても新刊ではなくてはならないという拘りもない。だから、ハードカバーものがいつか文庫本になるのを待っていられる。装丁の良さに憧れもなくなはいが、手軽さとよしんばなくしても惜しくはないという理由からこの形式のものを求めることとなるわけだ。
 古本のチェーン店を良く利用するけれど、所謂新古書が出回っている。色々取りざたされて問題も多いようだけれど、特段良心云々など考えるまでもなく欲しい本が安く手に入ったという意識しかない。こういうことは流通させている方に責任があるわけで、消費者が責められる類のことではないからだ。いずれにせよ本は安く買うことが出来れば、有り難いのである。
 潔癖性の人で他人の手垢のついたものを嫌うことがある。じゃあ、骨董品など論外だなと思うが、それはどうやら別格らしい。そのチグハグさが理解しがたい。
 それはともかく文庫本の古本というのが僕には理想的なのだ。安くてコンパクト。持ち運びに楽で鞄にそれを忍ばせて好きなときに取り出して読む。これと一緒にCDとそれを聴くコンパクトな機械があればもっと良い。更に煙草があれば僕の三種の神器となる。これらを持ち歩いて旅に出るも良し、喫茶店にしけ込むも良し。
 多分生涯変わらない僕のスタイルだろう。
 

 

Jazz徒然

 

真摯なインプロバイザー

 

 

Lee Kinitz
Motion

Verve
Agust29.1961

Lee Kinotz:as
Sonny Dallas:b
Elvin Jones:ds


1.I rememberd you
2.All of me
Foolin' myself
4.You don't know waht love is
5.You'd be so nice to come home to
6.Out of nowhere
7.I'll remember April
8.It's you or no one

 

クール派のKonitzが激しくインプロバイズするアルバムだと言って良いだろう。中には今までのKonitzのクールさがあるものも含んでいる(5曲目等)いるけれど、ドラムのElvin Jonesに強くプッシュされながら、グイグイとアドリブを展開していく様は壮絶だ。激しく、時に穏やかなかれの情念が伝わってくる。未発表曲3曲を含むアルバムになっているけれど、いつもなら、また余計なボーナス・トラックかと思うけれど、これは有り難かった。Out of nowhereの素晴らしいピアノレスらしいトリオの演奏などは、息を呑む。スリル感のある三者の丁々発止。
僕はこれまでKonitzのクールさの勝ったどこか煮え切らない演奏に嫌気さえ覚えていたけれど、こいうのを聴くと一気に見直してしまう。
 Elvinの凄さは言うにおよばないけれど、Sonny Dallasのベースランニングがお初ながら驚かされた。重量感のあるベースがスリル感を醸し出す。ソロもとるけれど、断然ランニングの方が良い。
7曲目I'll remeberd Aprilの凄みに圧倒される。重いベースランニングに乗ってアドリブを展開するKonitzの飽くなき即興演奏への情熱を垣間見る。時に立ち止まり次なる展開を模索している姿。真摯なインプロバイザーたる彼が見えてくる。
最後のこれも未発表だったIt's you or n oneにして然りだ。ここでのElvinの壮絶なドラミングが聴けたのは嬉しい。CD化された恩恵がここにある。