団塊の世代の青春賛歌


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 この最初の”夢みる頃をすぎても”が好きで最近何度も聴いている。心楽しくなるのだ。あの青島幸夫の作った「明日があるさ」みたいで、実に朗らかで夢がある。まさに夢をテーマに作ったアルバムの冒頭を飾るにふさわしい。こんな楽天的な感じの夢が良いなと思う。人生半ば過ぎで、働きづめの時代が終わり、新たな出発の門で聴くに相応しい。
 青島幸夫と言えば、彼の同年代の仲間である小沢昭一とか永六輔なんかも思い浮かべるが、陽気なあのオジサンたちの万年青春的な趣がこのHANNAの弾くピアノと同化して感じられる。「明日があるさ」のもと歌は、坂本九が歌っていたのだが、団塊の世代というのだろう。戦後日本を支えた企業戦士たちでもある。
 ROLAND HANNAは、どうもそこら辺の世代に近いのだろうか。調べたら1932年生まれ。10代で戦争を経験した世代だからやはりそうなのかも知れない。
 まさに夢見る頃を過ぎた世代が颯爽として第2の青春を謳歌している風で、僕もそろそろそんな感じがわかって来だしたようだ。どうも最近こういうのが、良いと思うようになって不思議だと思っている。アグレッシブなものを好んで聴いていた時期をどうやら越えてしまったのか。最近よく聴くもののひとつにALAN BROADBENTのYOU AND THE NIGHT AND THE MUSICがあるが、これなどもいたって穏やかでBRIAN BROMBERGのベースの味わいとともに彼のピアノに惹かれる。
 話は戻すが、このアルバムで弾かれているのは、確かに夢をテーマにしてはいるが、言うまでもなく聴きなじんだスタンダード。B級スタンダードなんて褒めてるんだか、貶してるのかわからん言い方をするような人もいるが、こういうのが実にいいなと思う年頃になったらしい。
 先日たまたま行った欧羅巴家具とフランス画家の作品で埋め尽くされた古いもの好きの僕を圧倒させた喫茶店なんかで、こんなのがかかっていたら素敵だろうなと思った。古老の紳士がカウンターで本を読んでいたが、実に相応しい風情で苦いフランス製珈琲をすすりながら眺めていたが、まさにこんな風である。そういえば、その店の名が”カフェ・リベルタン”。幾世代か前の常識にとらわれない自由を謳歌する雰囲気である。
 とにもかくにも、冒頭の”夢見る頃をすぎても”が聴きたくなって何度も聴いているこの頃である。

ROLAND HANNA/ DREAM

ROLAND HANNA:p
PAUL WEST:b
EDDIE LOCKE:ds
Feb 1.2001
1.WHEN I GROW TOO OLD TO DREAM
2.STREET OF DREAMS
3.YOU STEPPED OUT OF A DREAM
4.DAY DREAM
5.THIS TIME THE DREAM'S ON ME
6.SKYLARK
7.I HEAR A RHAPSODY
8.DREAM
9.SO IN LOVE
10.DREAM DANCING
11.A SLEEPIN' BEE
12.YOU DO SOMETHING TO ME