そっと出して可愛がる


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 サルダビーはオリジナルが良いというのは定説だが、たとえスタンダードをやってもサルダビー色を帯びてしまうから、敢えて分けてしまうこともない気がする。彼のもつブルージーさや哀愁感が同じフランス人のバルネ・ウィランを連想させたけれど、用心深くバルネのものを聴き直してみると、思い過ごしのようだった。
 でも、ジャズを輸入したフランス人気質みたいなものがあるようには感じる。本国アメリカからヨーロッパに渡ったジャズがフランスの地に根付き、シャンソンや所謂フレンチ・バラードと言われるものとが融合していく過程でそんなどこか共通した特異な気質があるようにも思える。でも、根も葉もないことではないと思うが、ちょっとした思いつきに過ぎないようだ。まあ、いいや。
 しかし、どこにも気むずかしさがなく、情緒に訴えてくるものがあることは確かで、実に一貫した彼の持ち味だと思う。サルダビー色としか言いようのない色合いに引き込まれると、とことん聴き込み愛玩したくなる。そういう情緒をくすぐる魔力が彼のピアノには潜んでいる。黒光りする手垢のしみこんだカウンターを想像させ、さすって指に伝わる艶やかさに似た感触だ。
 彼は多産家ではないから、すべて揃えても10枚に足らないだろう。その殆どがオリジナルで占められている。少ないということは、愛着も濃くなる。すり切れる程聴いて、なお飽きない。そっと出して可愛がろう。

 

MICHEL SARDABY / KAREN

MICHEL SARDABY:p
REUBEN ROGERS:b
DION PARSON:ds
Oct.10.2002
SOUNDHILLS
1.WILD BIRD
2.KAREN
3.LET'S ENJOY IT
4.WARM AND SUNNY
5.M.R.D
6.FOR ONE,AGAIN
7.KEEP IT UP
8.IT HAD TO BE YOU