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 つきなみだが、こんな言葉を思い出す。
「立てば石楠花、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」なんてね。
 どうも和歌とか俳句というのは縁が薄くてこの程度のことしか思い浮かばない。
 ユタ・ヒップというドイツ人の女性ピアニストを形容するとそんな風情で、どこか恥ずかしげでいながら、実は凛としている。
ヒッコリー・ハウスというステーキハウスにドイツからやってきた女流ピアニスト。彼女の演奏を聴く聴衆は、どんな反応だったか。聞こえてくるパラパラの拍手やグラスのぶつかる音などをよそに彼女およびサポートする、ピーター・インド、エド・シグペン等は毅然として演奏を続ける。勿論のことながら、アルフレッド・ライオンやルディ・ヴァン・ゲルダーその他のブルーノートアルバムを作る為の面々は息を凝らして聴いていたに違いない。
 凛としたヒップのピアノにつき合うインドは、自主制作盤もつくるほどのちょっとした変わり者だったらしい。それだけ、自分の音にはこだわりを持っていたようだ。この盤でも9曲目に彼のソロがフィーチャーされている。歌心を感じさせるが、彼の優れた面は、それだけではない気がする。張りのあるベース・ランニングは見事である。加えてシグペンのブラシュ・ワークの切れの良さも心地よい。ピアノ・トリオとしての覇気、敏捷性、強靱さは現代ピアノ・トリオも手本とすべき要素を兼ね備えていると思う。
 1枚に納めても良いところを、何がなんでも2枚にして彼女のこのときのライブを世に出したかったライオンの心意気も嬉しい。

JUTTA HIPP / AT THE HICORY HOUSE vol.2

JUTTA HIPP:p
PETER IND:b
ED THIGPEN:ds
April.5.1956
BLUE NOTE 1516
1.GONE WITH THE WIND
2..AFTER HOURS
3.THE SQUIRREL
4.WE'LL BE TOGETHER AGAIN
5.HORACIO
6.I MARRIED AN AHGEL
7.MOONLIGHT IN VERMONT
8STAR EYES
9.IF I HAD YOU
10.MY HEART STOOD STILL