錯覚


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 爽やかだと思った。今日は実は雨がひどく降って鬱陶しい感じでいたのだが、寝起き一番に聴いたこれが、すっと体に浸透してきた。幾分雨足も収まって明るくなったせいもあろうか。出だしはかなりアグレッシブで寧ろドロッとした感じではあるが、何故そんな印象を持ったのか聞き返すと不思議である。
 こんな感じ以前にあったぞと思ったのが、ソルト・カルトネッカーのRAINY FILMSを聴いた時だったことを思い出した。僕はそこのことを、「晴れた日の朝に聴くに相応しい」みたいなことをコメントした覚えがある。まるで、雰囲気は逆で爽やかさが先に来てアグレッシブさが後を追う感じで似てもいないのに、同じような感覚が来るのは、面白いと思った。どうも寝ぼけて聴いていたからだろうか。
 この盤を始めて耳にしたのは、最近聴くようになったネットのラジオ番組でだった。その時には、ここでテナーを吹いているMARK TUNERの吹きっぷりが気に入ったからだったが、今聴くとやはり全体のサウンドの爽やかさの方が勝っている。やはりローゼンウィンケルのギターのせいだろう。アコースティックにせよ、エレクトリックにしろすゞやかな感じがしてやはり爽やかとしか云いようがない。それにマーク・ターナーとのユニゾンで進行するあたりも、体にすっと来るのも良い。
 やはり結構アグレッシブなものもあって、それはそれで聴き応えがある。ターナーのテナーはボブ・バーグあたりを思い起こす。そのあたりも、何故かソルトネッカーのあの盤を思い出したりすると思ったが、聴き比べるとまるでとは云わないが違った。錯覚だったようだ。しかし、錯覚が功を奏して、再びカルトネッカーを堪能する機会を得たが。
 ライナーを読むとパット・メセニーなどを引き合いにだしているが、僕は彼のことは殆どしらないので何とも言えない。まあ、メセニーが好きなら、きっと気に入る人もあるのだろう。
 スコット・キンゼキーもさほど目立たないが、諸処で良いプレイを披露している。
 どうも、聴くたびに爽やかさとアグレッシブの印象が交錯し、わけがわからなくなるが、そのぶん長く聴き続けるアルバムになるだろう。

KURT ROSENWINKEL / THE ENEMIES OF ENERGY

KURT ROSENWINKWLL :eg,g
BEN STREET:b
MARK TURNER:ts
JEFF BALLARD:ds
SCTT KINSKY:p,key
Verve
1999
1.THE ENEMIES OF ENERGY
2.GRANT
3.CUBISM
4.NUMBER TEN
5.THE POLISH SONG
6.POINT OF VIEW
7.CHRISMAS SONG
8.DREAM OF THE OLD
9.SYNTHETICS
10. HOPE AND FEAR
.11.WRITER BLOCKS