クレイのソロに注目


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 ウェストコーストのメンバーの中にソニー・クラークがいる。僕もおやっと思ったのだが、彼がブルーノート等イースト・コーストで活躍するのは、57年になってからで51年には既に西海岸で活動をしていたわけだ。
 この盤は誰もが言うように、ローレンス・マラブルの唯一のリーダーアルバムだけれど、タイトル通り、ジェームズ・クレイがフィーチャーされたワン・ホーン・テナー盤である。どう聴いたって、クレイが前面に出たアルバムだから、彼のテナーが一番目立つのだ。マラブルは6曲目でソロなどをとっているが、サイドに廻って叩いている方が無難にきこえる。

 西海岸のジャズには、どこか今一歩東に比べると抑制が利いて、バカになりけれなさというか、情念渦巻くというか、そこら辺がないのが物足りなさを感じがちだった。アート・ペッパーなどのソロだけを捉えれば、一概に冷めた頭でっかちとは言えないが、後年ハードバップに渦のなかで衰微してしまったのは、やはり集団的なに熱気に欠けたせいだろう。やはり、ハードバップというのは圧倒的である。
 ご多分に漏れず最初の1曲目のクラークのピアノがどうもチェット・ベイカーと一緒にやっているときのラス・フリーマンを思い出すし、どう聴いてもウエスト・コーストの独特な雰囲気がする。
 しかし、これでこの盤はクラークのオリジナルのMINOR MEETINGなどは、馬力のあるクレイのテナーが聴ける。ともすると、イースト的な黒っぽい感じがするから、捨てがたい。
 聴き込むうちに、どんどん惹き込まれていく感じがあって、はち切れもする。

一方EASY LIVINGやLOVER MANなどのバラードなどにはクレイのテナーに酔うことは出来る。結構ぐっとくるといった塩梅で、ソロとしては聴き応えもあるわけだ。

LAWRENCE MARABLE / TENORMAN

LAWRENCE MARABLE:ds
JAMES CLAY:ts
JIMMY BON:b
SONNY CLARK:p
1956.8
JAZZ WEST
1.THE DEVIL AND THE DEEP BLUE SEA
2.EASY LIVING
3.MINOR MEETING
4.AIRTIGHT
5.WILLOW WEEP FOR ME
6.THERE FINGERS
7.LOVER MAN
8.MARRBLES