肩の力がストン


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 聴く者の求めるもので、アルバムの善し悪しなんて決まってしまうんだなと、これを聴いてつくづく思った。  そこら辺の個人的な事情はともかくも2曲目の「君住む街で」やCAN'T WE BE FRIENDSのほほんとした屈託のないやつを聴くと、肩の力がストンと落ちて気持ちが楽になって来る。こういうのが良いとしみじみ思うようになってしまった。「君住む街で」の方はミュージカルの「マイ・フェア・レディ」の挿入歌なのだが、生憎僕はそういう方面は、全く疎くて只何となく聴いたことがある程度だった。何はともあれ、このテーマが良い。それぞれのソロが終わってテーマに戻るのが待ち遠しい。で、そんなに良いのなら試しにボーカルじゃどうなんだとメル・トーメのSWINGS SHUBERT ALLEYに入っているのを聴いてみた。こっちはマーティ・ペイチのバンドで歌っているのだが、バンドの中にはアート・ペッパーがいたりビル・パーキンスがいるという具合で、そっちのソロに気をとられて、肝心の歌がどうだったか聞き漏らした・・・なんてことはないが、やっぱり良いには良いが、ちょっと違うんだよな。やっぱり、二管のアンサンブルが心地よい。と、得心したあたりでだいぶん聴き慣れて来てそれぞれのソロの良さがわかってきた。ふんわりとしてはいるが、力強いベニーグリーンのトロンボーンも勢いのあるエディ・ウィリアムズのテナーもそれに勿論大好きなクラークのも。
 全体多的にみれば結構これで気合いが入った演奏にも感じられる。気っぷの良い寿司屋にでも入った感じで、「えー、らっしゃい」てな雰囲気で迎えられて、一旦そこに落ち着けば和んでしまう。とはいえ、「お飲物、何にします?」なんて聞かれてまさか、「烏龍茶」とはいえまい。そういう勢いである。しかもネタはやっぱり「トロ」か「鮑」と云わないと格好がつかない。「とびっこ」じゃ話しにならない。それも許されそうだが。
 で、やたら気合いの入った演奏の中に一曲だけBABS GONZALESというだみ声のボーカルが入っていてこれも「気っぷの良さ」を印象づけているのかも知れない。まあ、聴かなかったことにしても良かったのだが。

BENNIE GREEN / THE 45 SESSION

BENNIE GREEN:tb
EDDIE WILLIAMS:ts
SONNY CLARK:p
PAUL CHAMBERS:b
JERRY SEGAL:ds
BABS GONZALES:vo-5,9
Nov 23,1958
BLUE NOTE 1619
1.IT'S GROOVY
2.ON THE STREET WHERE YOU LIVE
3.CAN'T WE BE FRIENDS
4.AIN'T NOTHIN' BUT THE BLUES
5.ENCORE
6.BYE BYE BLACKBIRD
7.MINOR REVELATION
8.WHY DO I LOVE YOU
9.ENCORE(alternate)