ブルーノートデビュー作


Copyright(c)
2001-2003
JAMAL.
All Rights Reserved


 早熟な若きトランペッターのサクセス・ストーリーの幕開け・・・ということが先に頭にあるとどうも期待ばかりが先にたっていけない。しかし、どうも彼の尊敬する先輩の尾っぽを引きずっている感じがあるが、当たり前と言えば当たり前のことだ。これも先入観か。先輩たちの影響を受け継いだトランペッターとしての資質は、これから独自なものに発展するのだろうが、18歳という通常の観念から考えると、破格とだけは言えるのではないだろうか。
 音の冴え、歌うような旋律の巧みさ・・・。
 冒頭に持ってきたホレス・シルバーの曲の選択は、いかにも俄に立ち現れた新人の出現が、歴々の大物と互角であらんとするちょっと背伸びしたものに感じてしまう。
 フィラデルフィア時代からの友人というC#ことクラレンス・シャープのことは良くわからないが、モーガンの気まぐれで抜擢されたのだそうだが、どのトラックでも雰囲気を良くつかんだ好演で音の冴えも良い。
 もし、2曲目が冒頭にあったとしたら、若い溌剌さを感じ拍手喝采となって彼のその後の地位があったろうか。もし、3曲目にとろけるようなバラードが入ってなかったら・・・。「もし」なんて過ぎた過去には問うても仕様のないことではあるが。
 モーガンのブルーノートデビュー作だからちょっと過剰にあれこれ考え過ぎて、何度も書いては消し、書いては消しを繰り返してしまった。その割には、的を得てない気がする。
 ただ、このレーベルの一断片であっても、モーガンが数多く出現することになるスタートとしてアルフレッド・ライオンの期待を裏切らなかったことだけは、確かなようだ。一発きりの新人で終わらなかったのが何よりの証拠だろう。でも、そう何度も聴くという盤にはなりそうもないというのが、正直なところではある。用心深く言うと、勿論、あくまで僕の今の私感だが。
 
 

LEE MORGAN / LEE MORGAN INDEED !

LEE MORGAN:tp
CLARENCE SHARPE:as
HORACE SILVER:p
WILBER WARE:b
PHILLY JOE JONES:ds
1956.11.4
BLUE NOTE 1538
1.ROCCUS
2.REGGE OF CHESTER
3.THE LADY
4.LITTLE T
5.GAZE STRIP
6.STAND BY