イゴヨイ


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 試しに同時期のウエスト・コーストのトランペッターであるチェット・ベイカーのものを聴くと、実に長閑で、ある意味切迫感がなく間が抜けて聞こえる。まして彼は中性的なヴォーカリストでもあったから、イメージ的に「優男」なのである。モーガンも結構モテたらしいが、楽器から発する音にはそんな間抜けなイメージはない。だからといってどっちが良いなどと言うモノではないが。
 さて、この盤、1541(イゴヨイ)である。ブルーノートデビュー作に比べ、音の冴えが違って聞こえるが、この盤「以後良い」と僕は思っている。作編曲がここらからゴルソンが入っていて、曲想やアレンジが独特なものになっていることもあろう。
 テーマではオープンでアドリブからミュートをつけたWHISPER NOTは、曲的にふっくらしたところがあるので、さっきの間抜けじゃないが、やや優しい感じではあるが概してその他には鋭さがある。KENNY RODGERSのアルトはそれに輪をかけて刺さるようである。このRODGERSの印象は新鮮だった。それに比べハンク・モブレーのテナーの抜けが悪く、モックリという感じなのが対照的。
 5曲目のWHERE AM Iのようなバラードになると顕著なのは、吹奏が彼の先輩であるクリフォード・ブラウンを模している感じがあって、ブラウン亡き後は彼の跡目と言われたのが頷ける。
 ハードバッパー躍如とした最後のD'S FINKなどは、いけてる。
 この盤の1週間前にモブレー名義で殆ど同じメンバーでやっているものが1540番としてある。違いは、全曲モブレー作だったというところにある。これは、いずれまた。
 

LEE MORGAN / LEE MORGAN SEXTET

LEE MORGAN:tp
KENNY RODGERS:as
HANK MOBLEY:ts
HORACE SILVER:p
PAUL CHAMBERS:b
CHERIE PERSHIP:ds
BENNY GOLSON,OWEN MARSHALL:arr
1956.12.2
BLUE NOTE 1541
1.WHISPER NOT
2.LATAIN HANGOVER
3.HIS SISTER
4.SLIGHTLY HEP
5.WHERE AM I
6.D'S FINK