エロ画像を眺めながら、時々スゲーと驚喜する塩梅にも似て、伝統的アメリカンジャズの血脈を感じさせるエリック・リードのピアノなどはよそに、アル・フォスターのドラム、特にシンバルに神経を集中させて、阿呆のようにスゲー、スゲーを連発させて聴き入るという、変態的な境地に分け入っているのである。1曲目から5曲目までは奇数、6曲目からは偶数の曲目を聴くとこういう具合に、フォスターのドラムが際だって聴けるところだけを拾い聴きするわけだ。誰が頼んで最初から順に聴けと言ったわけもないのだから、退屈そうなものは省くこともこの際許されるだろう。
フォスターがきら星のようなシンバルを連打するのを聴いていると、ここぞとばかりに乾いた音でパーンと強打する。その瞬間が最高である。助走をつけてジャンプする幅跳びもしくは、三段跳びのような具合だ。
試しに3曲目のTEA FOR TWOを聴いてご覧なさい。これがあのスタンダード曲であることに気づくのは、最後の最後になってからである。カウントをとるところから気合いが違う。いきなりアドリブから入って疾走する。ほら出た、まただ、という具合にフォスターがパーンとやる。僕の耳はフォスター7割、リード2割、カーター1割ぐらいのところでわくわくしながら聴くのだ。
そういう興奮をなだめてくれるようなものが、合間合間に入っているという聴き方も出来るが、僕は敢えて変幻自在、阿鼻叫喚の連作聴きをして昇天することにした。
リードのピアノはさっきも言ったが、アメリカン・ジャズの伝統の濃い血が流れているなどと中庸を装い、思いやりのある聴き方を避け、悪戯に身をやつす。
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ERIC REED / CLEOPATRA'S DREAM
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ERIC REED:p
RON CARTER:b
AL FOSTER:ds
December
21,2002
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