期待


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 大地震のさなか激しい揺れを感じながら、「世直し、世直し」と呟いていたのを我ながら可笑しく思い出す。一夜明ければ、何事もなかったようにこうしてこのアルバムを聴いているのだから、いたって平和である。
 タイトルにあるようにまさに「希望」とか「期待」とかそんな雰囲気が漂う穏やかなメロディが身を包んでくれる。ヤンソンのがこれで2枚目になるが、やはりメロディアスなピアノである。が、キース・ジャレットのスタンダード・トリオの影響を感じさせることは、多くの現代ピアノ・トリオに共通することだが、これもまたその一つであることは否めないとはいえ、亜流とか亜種といった言葉で括ってしまっては元も子もない。そういう先入観で聴くことは、ジャズ聴きにとって不幸なことであろう。括ってしまえば括られるが、そうなってしまえば終いである。耳が扁平化しただけのことである。これは言うまでもなく自分に言い聞かせているのだが。
 1曲目を除いてすべてオリジナルで占められている。彼らのオリジナリティを探すとなると、このオリジナル曲の如何となるのだろうか。しかし、どうも前回聴いたWITNESSINGほどの驚きが生まれないのは、やはりキース・ジャレットの影響から独自性を持つまでの過渡的な作品だからだろうか。WITNESSINGで聴かせたリズミックなものや、ベースのゴリっとしたものもあまり聴けない。少し単調で平面な感じを受けてしまう。
 とはいえテーマ曲HOPEを始め多くは、ヤンソンの飾らない優しさに溢れたメロディがじんわりと染みてくる。
 更に6曲目や8曲目の高揚したトリオの凄みも聴かせるあたりは唸らせる。特に8曲目の淡泊なリフから入る前のめりな演奏はスリルがあって快演である。
 聞き込むといい味が出てきそうな「期待」が持てる。

LARS JANSSON / HOPE

LARS JAZSSON:p
LARS DANIELSSON:b
ANDERS KJELLBERG:ds
1999.9.8.31-9/1
imogena
1.HOW DEEP IS THE OCEAN
2.THE TREE
3.HOPE
4.LIVE,BE WHERE YOU ARE
5.WHY WAS I LEFT UNDER THE SKY
6.LIVING UNDER THE ROAD TO PARADISE
7.SUMMER RAIN
8.A LITTLE BLUES
9.A BLISSFUL SMILE
10.IN PEACEFUL SLEEP