10月。今年も後3ヶ月。秋が深まってくる。
 そういえば、何故秋だけ「深まる」というのだろう。春、夏、冬は「深まる」とはあまり言わない。
多分、紅葉の色合い、空の移り変わりのなかで晴れたかと思えば曇り、湿気を含んだ空気が重く感じたり、そうかと思えば高い空に色んな形の雲が天然の絵画のように浮かんでいるのをみると、何とはなく気持ちの襞にあれこれ染み渡って来るからなのだろう。

ERIC ALEXANDER/MAN WITH A HORN

 

ERIC ALEXANDER-ts
CEDAR WALTON-p
DWAYNE BURRNO-b
JOE FANSWARTH-ds
STEVE DAVIS-tb

Jan 20-21.1997
MILESTONES
  1. Man With A Horn
  2. Unsung Hero
  3. Time For Love, A
  4. GCCJ
  5. Midnight Waltz
  6. My Shining Hour
  7. Stars Fell On Alabama
  8. I Found You
  9. Fiesta Espanola
ERIC ALEXANDER
GENTLE BALLADS
VENUS

 最近、俳句を面白いと思って来だした。
 僕の祖父がこの俳句を趣味として、同人雑誌や自費で残してくれていた。僕らが幼い時のことも詠まれていて、ああ、祖父はそんなことを思っていたんだと有り難い気持ちになる。旅の途中に何か心に残ることがあれば、そんなことも残して置こうと思ったのだろう。彼が列車の車窓から何かを思いながら外を眺めている写真があるのだが、多分胸中何か俳句の断片でも思い浮かべて遊んでいたのかも知れないなと思った。
 彼は亡くなる直前の90才の齢まで呆けることなく矍鑠としていたのも、そうしていたお陰でもあろうと思う。

 秋が深まって来て、こんな時に僕も一捻り出来ればと思うが、叶わない。
 人の詠んだものを愉しんでいるのが精々で、自分からとは今のところは思いもしない。

 石牟礼道子という人の書いた『妣(はは)たちの国』という著書を最近少し読ませて貰った。そのなかにも俳句が何編か織り込まれているのだが、独特の世界を持った人だなと感じいった。
 彼女は水俣病訴訟の患者代表もしていたという経歴で知られている人でもあるのだけれど、古代日本の心とも通じていて、ある人に言わせれば現代にあって巫女的詩人だともされている。

 それはともかく、その著書に「つはぶき」という花が出てくる。つはぶきとはどんな花なのだろうと色々調べてみると、こんな俳句が出てきた。

 つはぶきはだんまりの花嫌いな花 (三橋鷹女)

 というもので、これがとても印象に残って気に入っている。詠んだ人のことは知らないが、彼女の背景に何かそんなことを言わせるものがあるのだろう。
 つはぶきは石蕗と書く。浜辺に咲く地味な花だ。花のもつ趣が、だんまりを決め込んでいるのが、彼女には良くない繋がりがあったのだろう。

 はてさて、そんなことを書いて来て何を出そうかといつもの如く捻りだそうとしてるのだが、直ぐには繋がって来ない。
 まあ、無難なところで「秋」のつく曲でも聴こうか。

 AUTUMN LEAVES,AUTUMN IN NEW YORK・・・うーん、ありきたりだ。秋の季語に「星降る」というのがあるらしい。と来れば
「星影のステラ」「星に願いを」・・・そうそう「星降るアラバマ」があったじゃないか。これの入ったアルバムでは、S.ゲッツのGETZ PLAYSやC.アダレイのあの名盤IN CHICAGO。イイ線だ。でも、もう一捻り。E.アレクサンダーでMAN WITH A HORNはいかがか。

 ということで、E.アレクサンダーのMAN WITH A HORN。
 アレクサンダーの持ち味は、安定したトーンと立て板に水の流麗さにあるのだろう。ところがこれがプラスに受け止められる時と、逆にアクのなさ、真面目すぎと感じることがある。このマイナス要因を如何に攻略出来るかというのが、彼を聴く度に思うことだ。
 紳士、ダンディ、好青年・・・これが鼻につくことがあると思うのと同様で、曲がったことが好きな僕は時々戸惑う。たまに崩れを感じさせることがあっても、微細な揺れで、とことんということがない。
 例えば、B.ウォレスとかA.シェップとか、はたまたD.マレイとか、挙げればキリがない程、この崩れを武器にしているテナーがイイと思っている自分にとって、この「正しさ」がすっきり腑に落ちないことがある。後一歩踏み込んで彼のテナーに浸りきれない僕がある。相性なんだなと言うしかない。
 
 とまあそういうことで、アレクサンダー攻略の鍵があるとしたら、それは自分を変えるしかないのだろう。後一歩なのだが。

 さて本題の「星降るアラバマ」ともなると少し事情が異なる。
 マッチョな男性的なテナーを誇るアレクサンダーがしおらしく吹くのだ。やはり彼のバラードは違う。こうなると掛け値なしで気持ちが寄り添って行く。フレージングのスムーズさに変わりはないものの、やはり優しさが籠もっている。
 時に荒々しく吹くコルトレーンがバラードともなると違ってくるのと同じ感触を得るわけで・・・さあ、もうおわかりだろう。
 今度の新譜はバラード集だ。

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