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ROY HAYNES /WE THREE
ROY HAYNES-ds PHINEARS NEWBORN-p PAUL
CHAMBERS-b 1958.11.14
NEW JAZZ
1.REFLECTION 2.SUGER RAY 3.SOLITAIRE 4.AFTER HOURS 5.SNEAKIN' AROUND 6.OUR
DELIGHT
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RAY
BRYANT-p IKE ISAACS-b SPECS WRIGHT-ds Apr 5,
1957
PRESTIGE
SIDE1 1.GORDEN EARRING 2.ANGEL EYES 3.BLUES CHANGES
4.SPLITTIN' SIDE 2 5.DJANGO 6.THE THRILL IS GONE 7.DAAHOUD 8.SONAR |
RAY BRYANT TRIO |
RAY BRYANT PLAYS
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徹底的に叩きのめされ失うものはもうないというところまでいくと、前向きに歩むより他ないと悟れば、かえって身が軽くなって幾分まえより強くなれるものだ。
僕も5年ほど前にそういう経験をしてきた。災厄などではなく自ら招いた自分の弱さのせいだったが。
自分が如何に愚かで弱いかを経験し、自分の力以上のものを求められなくなれば、背伸びすることもなく、失ったものを振り返ることもなく、身の丈通りの過ごし方が出来るようになって気持ちのゆとりが出来たのを有り難く思っている。
それでも、空虚な時間潰しをしている日々の仕事にはストレスを感じ、ああもうやってられない、と投げ出したい気分にはなる。組織のなかではありがちな人の目の監視を気にしながら確執や悶着が起こらないよう身を構えていなければならないというのは、じくじくと命を蝕む気がする。
こんな時、何かにひたむきになれると、案外余計なざわつきが目に入らなくて、自分のペースで生活できるのだろう。意地悪な人のことも、見ていて情けなくなるような人のことも、傲慢で周りの空気を支配しているような人のことも、自分にはこれがあるというものがあれば救われる気がするものだ。
結局自分の命より他に生きることなど出来ないのだから、羨ましく思う人がいても、逆に惨めに思える人のことも、思いを寄せることは出来てもそれは他人の命のことで成りたくてもなれないし、代わることが出来ない。
自分流を見つけるより他ないのだと思う。
そして互いの自分流を寛容と共感で受け止めあうこと・・・だろうな。
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さて、ロイ・ヘインズの荒々しいドラムがひと味も二味もインパクトのあるピアノ・トリオ盤WE THREEだが、冒頭を飾るR.ブライアントのREFLECTIONは、何と愛らしいメロディであろうか。いっぺんで好きになった。P.ニューボーンの弾くこのテーマのせつなさ。
そうR.ブライアントがあたかも自分の曲のようにモノにしてしまった、あのGOLDEN ERARRINGのような哀感である。哀感と共に力強さもあるタッチで彼自らのもににしてしまった彼の感性がこの曲に籠もっている。
しんしんと降る淡雪のように心に静かに積もり積もっていくGOLDEN ERARRING,続くANGEL EYES、B面のDJANGOそしてバップスタイルの名演を含むブライアントのアルバム、通称煙草のブライアントと呼ばれているRAY BRYANT TRIO。
そしてWE THREE盤のなかでR.ブライアントのもう1曲の名曲SNEAKIN' AROUND。SIGNATURE盤のRAY
BRYANT PLAYSで有名な曲だが、このアルバムにも淡雪がある。
と、思って引っ張り出したSIGNATURE盤の中味を出し愕然とした。黒い円盤の表に無惨な擦り傷・・・。
思い出した。これは、僕が最初に釧路で経験したあの大地震釧路沖地震の爪痕が、ここに残っていたのだ。
幸い片面は無事である。あの時、僕はこれをターンテーブルに乗せたままでその上に何か重いものが滑り落ちてきたのだろう。記憶は、そこまで詳細ではない。が、思いがけず失ったものを目の当たりにしてやや消沈した。
淡雪のようなMISTYが滲みる。
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