SERGE CHALOFF / BLUE SERGE

SERGE CHALOFF:bs
SONNY CLARK:p
PHILLY JOE JONES:ds
LEROY VINNEGAR::b
1956.3.4
CAPITAL

1.A HANDFUL OF STARS
2.THE GOOF AND I
3.THANKS FOR THE MEMORY
4.ALL THE THINGS YOU ARE
5.I'VE GOT THE WORLD ON A STRING
6.SUSUIE'S BLUES
7.STAIRWAY TO THE STARS
8.HOW ABOUT YOU

 目一杯ボリュームを上げて只でさえデカイ音のサージ・チャロフのバリトンが更にバリバリ呻り、只でさえブンブン響くリロイ・ヴィネガーのベースが、そしてフィリー・ジョー・ジョーンズのバスドラが腹に応えるようにして聴いている。事ほど左様に、このアルバムは「音」のデカさで勝っている。
 チャロフのバリトンはソウルフルなビブラートをきかせ、感情のままに音が最小から最大にアップ・ダウンするTHANKS FOR THE MEMORY。それも突如という発しかただから吃驚する。目一杯息を吸い込んではき出す息づかいが生々しく感じられる。
 
 同時代のバリトン奏者、ジェリー・マリガン、ペッパー・アダムス、サヒブ・シハブもこの際だから聴き比べてみようと思って、無作為に引っ張り出して聴いてみた。洗練されたマリガンのアンサンブルを堪能するGERRY MULLIGAN PRESENTS A CONCERT IN JAZZ。マリガンも抑制は効いているけれど、結構これで大胆な吹き方をする方で久々に聴いてホーッと思った。でもこの盤はマリガンのソロも良いが、やっぱりバンドのボリュームを愉しむ盤のようだ。ウエスト・コースト・ジャズも悪くない。最後にISRAELが入っている。これいいね。
 
 次、MODE盤のPEPPER ADAMS QUINTET。重量厚盤のアナログ。ピアノはカール・パーキンスだ。この盤でもリロイのベースが愉しめる。アダムスは割と直情型だなと思った。その点チャロフに近いかも知れない。チャロフ盤のソニー・クラークに対してこっちのパーキンス。ウエスト・コーストのピアノというのは定型があるんだろうか。ソニー・クラークもこの頃のものは、しっかりウエスト・コーストのピアノになっていて、後年のブルーノート時代のものとはうって変わった弾き方をしているのが吃驚だった。
 
 最後にサヒブ・シハブのJAZZ SAHIB。これまた好きな盤だが、A面、B面でメンバーが若干違うのだが、Aの方のピアノはハンク・ジョーンズ、Bはビル・エヴァンスである。前3枚と違ってイースト・コースト系のメンバーなのだが、なんとなくマリガンのバンドの感じに似ているのが意外だった。シハブのバリトンは抑揚に富んでうねるのが印象的でやはりチャロフの感じに近い様に思える。
 
 と聴いてきてとりとめないが、色々聴けて愉しかった。
 さて、チャロフの盤に戻ろう。
 やはりウエスト・コーストの香り濃厚なのだが、早い曲では素早い吹き回しで、ミディアムではさっきも書いたように大小の音の差をつけて、突如デカイ音で吃驚させる。ミディアムではないが、STAIRWAY TO THE STARSなどは、最初静かに吹いているが、いつデカイ音が出るかと身構えていると、やっぱり出た。かくれんぼをしていて、ワッと驚かされるようなものである。
 
 それにしても、ソニー・クラークのピアノが後年のものと全然違うという印象が一番大きかった。非常に明るいタッチで躍動する。
 この盤をソニー・クラークに焦点を合わせると、ウエスト・コースト、サイドマン時代の一枚となる。彼は、この時代バディ・デフランコ、ソニー・クリス、フランク・ロソリーノ、ローレンス・マラブルといった面々のサイドマンとして参加している。ブルーノート時代のクラークとはひと味も二味も違って聞こえる。軽快さが特徴で後の哀愁のクラークと対をなすと思える。
 
 はてさて、とりとめのない話になってしまったようだ。

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