LEE MORGAN / INTRODUCING

LEE MORGAN:tp
HANK MOBLEY:ts
HANK JONES:p
DOUG WATKINS:b
ART TAYLOR:ds
1956.11.11
SAVOY

1.HANK'S SHOHT
2.NOSTALGIA
3.BET
4.SOFTLY,AS IN A MORNING SUNRISE
5.P.S. I LOVE YOU
6.EASY LIVING
7.THAT'S ALL

 リー・モーガンを好きになって間がない。マイスルやチェット・ベイカーは聴いてもモーガンを聴くという気になれなかった。僕の中ではサイド・ワインダー=リー・モーガンだったからだ。これってジャズじゃないじゃん・・・。ジャズ・ロックていうのか、ああいうリズムのをジャズだと思えなかった。純血無垢な大したジャズ・ファンである。モーガンの代表作だとされるサイド・ワインダーという入り口で躓いたまま、モーガンの聴かず嫌いは随分と長く続いた。
 ところが、ブルーノートをあれこれ聴き始めてやっと彼の良さに気が付いたのだ。なにせ看板スターというほど、彼のリーダーアルバムやサイドマンとして参加しているアルバムの数は実に多い。どれが突破口となったのかは記憶にないのだが、おそらくベニー・ゴルソンの名曲I REMEMBERD CLIFFORDが入っているあのLEE MORGAN VOL.3あたりじゃないだろうか。クリフォード・ブラウンの好きだった僕は、彼が事故で亡くなった後ゴルソンが彼のトリビュートとしてこの名曲を書き、それを演奏するに最も相応しい男として、モーガンを選んだというエピソードなどを知るや、聴かざるを得ない。モーガン・フリークの嚆矢となるには、順当な筋道だろう。あと考えられるのは、CANDYあたりの名盤だろう。これも順当。
 それでともかくブルーノートのモーガンをあれこれ聴いていて、彼のブルーノートデビュー盤と同時期にSAVOYにもデビュー盤があるのを知った。当時18歳の才気溢れるトランペッターであった彼が、ディジー・ガレスピーのバンドに在団時吹き込んだ2枚の野心的デビュー盤。ブルーノートにはINDEED !。SAVOYには、このINTRODUCING。
 クリフォード・ブラウンが最早、このとき幽明境を異にしていた。ブラウンの再来は期せずしてなったかのような具合だったのだろう。
 品行方正なブラウンに対して、野心満々の不良少年。こんな比較のされ方もされていた彼だが、やっぱり彼はブラウンが音楽的にには当面の目標であったに違いない。
 ブラウン・ローチの双頭クインテットが帰ってきた・・・と、これを聴いた当時の人は思ったのじゃないだろうか。瞬発力のあるバンドの勢い、抜けの良いモーガンのトランペットは45度に傾いている。ガレスピーの真似なのだろうが、発して出る音はまさしくブラウンに憧れたトランペッターのものだと思う。
 
 このアルバム、ちょっとした仕掛けがあって、ダグ・ワトキンスの”朝日のごとく爽やかに”の独壇場のソロに「おーっ」と思い、後にモーガンが滔々と吹くP.S.I LOVE YOUにグッと来て、いつのまにかハンク・ジョーンズが弾くEASY LIVINGを経て、モブレーがTHAT'S ALLを吹き始めて、これは切れ目のないメドレーに仕上げていたことに気が付くという按配で、ボヤッと聴いていた僕はそんなことも最初は気がつかなったが、なかなか良い流れだ。
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