EE MORGAN / INTRODUCING

MILES DAVIS / WE WANT MILES
MILES DANIS:tp
MARCUS MILLER:b
BILL EVANS:ss
MIKE STERN:g
AL FOSTER:ds
MINO CINELU:perc
1981.6.27,7.5,10.4
CBS
SIDE 1
1JEAN PERRE
2.BACK SEAT BETTY
SIDE 2
3.FAST TRACK
4.JEAN PIERRE
SIDE 3
5.MY MAN'S GONE NOW
SIDE4
6.KIX
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  今回は飛びたかった。
 飛ぶなんて聞きようによっては危険な匂いがするだろうが、天気晴朗なれど、蕾まだかたし、八重桜・・・なんてとこだが、春は幾分気持ちもハイになる。
 先日買ったディビッド・ヘイゼルタインの新譜ALICE IN WONDERLANDのジャケットをみて、うーん、プログレッシブ・・・と思った。そういえば、レッド・ツェッペリンに似たようなジャケットがあったぞ。と、引っ張り出したのが、HOUSES OF THE HOLY。実は僕、ツェッペリンがかなり好きだった。ジャケットを眺めているうちに、聴きたくなった。いいんだな、これが。ジミー・ペイジのギター(こういう場合、”ター”にアクセントがつく)には惚れ惚れする。気持ちが飛ぶんだな。プログレッシブ・ロックで飛んだついでに、こっちでも飛ぼうと・・・。それでマイルスだ。WE WANT MILES。これだ。
 
 で、飛ぶ前に一呼吸・・・つくところがオヤジだな。針をおろす。と、出てくるのがマーカス・ミラーのフェンダー・ベース。ズ・ズ・ズ・・・。この脳天に打ち付けるようなベース。すかしたようなマイルスのペットに覆い被さるマイク・スターンのギター。壮絶。JEAN PEREを始めとするマイルス復活劇の幕開けである。
これを買った当初僕はまだ20代。興奮した。
 一時引退したかのようだったマイルスが、健在ぶりをみせたライブ録音である。俺はまだいけると、力強く吹く。吹きすさぶ・・・。勿体ぶらない。そこがイイ。ミュートなんて小癪なものは使わない(JEAN PERREのテーマ部分では使ったけど)。彼の持つマシンガンには電気が繋がっている・・・。しかたないよな。

 スタイリスト、マイルスのこの恰好の良さが嬉しい。老いて尚健在。俺はまだいける。俺はまだイケル。この心意気。ハイトーンをヒットしっぱなしのFAST TRACKなどはまさにそれである。若造ミュージシャンのエレクトリック・サウンドの怒濤に混じって引っ込んでなんかいない。

 MY MAN'S GONE NOWというガーシュウインの曲をスローなブルース仕立てにして、息を呑む緊張感を創り上げている。マーカス・ミラーの繰り返されるベースのフレーズが効果的で、それにマイルスの間の効いたトランペットが刺さり込み、アル・フォスターのドラムが絶妙のタイミングで入ってくる。スリリングこの上ない。で、緊張が続いた後、その糸が切れたように急に4ビートになったりする。これが恰好イイ。後は怒濤の演奏に突入していく。ビル・エヴァンスのソプラノとアル・フォスターのドラムが錯綜するあたりも聴きどころ。
 ちなみにKIXというのは、かなりマイルスも調子に乗っている。頭(ず)に乗っていると言った方が良いだろうか。

 まあ、そんな具合で、飛びマス!飛びマス!
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