JAZZ徒然

2004.5

CHIHIRO YAMANAKA /MADRIGAL

CHIHIRO YAMANAKA-p
LARRY GRENADIER-b
RODNY GREEN-ds
JEFF BALLAD-ds
Feb 12,23,15 2004
SAWANO

1.ANOTHER JOKE
2.LIVING TIME EVENT V
3.MADRIGAL
4.OJOS DE ROJO
5.SCHOOL DAYS
6.SALVE SALGUEIRO
7.CARAVAN
8.LESSON 51
9.TAKE FIVE


 

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I

 

 新譜とは何につけ心おどるものだけれど、買う前にかなり躊躇ってしまう。ところが山中千尋に関しては、迷わない。そして、勿体ぶらずに買って直ぐ書く。それは彼女が僕にとって特別だから。嘗て大西順子が特別であったように、出たら迷うことなく買う。どんな瑕疵があろうと彼女であるが故に真っ直ぐ受け入れる。大西順子が持っている要素を引き継いだかのような彼女だから、WOWを聴いて以来、次々と求めてコンプリートしてしまったように、山中千尋のものは余さず買う。そうどこかで決めていた。前回のWHEN OCTOBER GOESが出て以来、待ち焦がれた。多分1年やそこらのことでしかなかったのだろうが、こうして待つアーティストは他にはいない。
 まさにアイドル的なわけだ。
 彼女の良いところ、それはしなやかで知的なところだ。オリジナルにせよ良く知られた歌曲にせよ、彼女の流儀でこれは一杯食わされたという新鮮さを感じさせる。その一杯食わせ方が、したたかでしなやかなのだからグーの音も出ない。
 現代女性らしいしたたかさだ。
 しかしながら、ジャズの伝統に深く根ざした思慮を忘れない堅実さが彼女の底辺に位置づいている。それが何より人気を着実なものにしていると信じる。
 それから前作あたりから、かなりハード・ドライブな面を出してきた。今回もそうだ。ベースのグラナディア、ドラムのジェフ・バラードを擁してピアノに籠める力強さは、嘗ての大西順子ばりといって良いだろう。
 八木節で聴かせた骨頂は、今回SCHOOL DAYSとなって再現された。低音ラインを生かした弾きぶりも大西を当然意識させる。

 ジャズを聴く我々に新鮮な風を送り、活気を与える彼女のような存在こそ求めて止まない。



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