EE MORGAN / INTRODUCING

TOMMY FLANAGAN / OVERSEAS

TOMMY FLANAGAN-p
WILBER LITTLE-b
ELVIN JONES-ds
DIW
August.15.1967

1.RELAXIN' AT AMARILLO 2.HELSEA BRIDGE 3.ELYPSO 4.DELANA 5.VERDAND 6.WILLOW WEEP FOR ME 7.BEATS UP 8.SKAL BROTHERS 9.LITTLE ROK10.DELRANA 11.VEDANDI 12.WILLOW WEEPFOR ME(ALT)

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 琥珀色の渋みと言えば珈琲だ。香り高く鼻孔を擽るあれだ。どうも僕はこの盤などは、時代がかった喫茶店の店内に流れていて欲しいと思ってしまう。カフェという感じでも良いには良いのだが、思い描くのは古時計がかかっていて、コチコチと振り子の音が微かにする店内。見渡すと骨董が磨き抜かれたカウンターの上や、出窓のあたりに置かれていて、そこはかない雰囲気を醸し出している、ちょっと薄暗く、出窓から入る微かな陽の光がテーブルを控えめに照らしているといった趣。その中で流れてくるという想像をしてしまう。

 この盤は大音量で聴く方が良いのか、微かに店内に鳴っている程度の方が良いのか。そんなことを想像するのも愉しい。訪れる客は当然、無言で本を小脇に抱えていたりして入ってくる。それは、楚々とした女性、あるいは丸眼鏡のちょっと神経質な雰囲気のする学者風の男性。爪楊枝を歯に指しながらシーシー言っているような、小太りの中年でもまあいいか。突然、やーマスター!なんて大声出すかも知れない。そして新聞の競馬欄なんかにらみ出す。ま、それもよしとしよう。マスターは勿論無言。無愛想でもなく慇懃でもない。でも、只美味い珈琲を入れる為に俯いて、お湯を注いでいる。用のないときには、カウンターに両手をついて、流れてくるフラナガンのピアノやE.J.ジョーンズの歯切れの良いブラシやW.リトルのウーキング・ベースに微かに首を振りながら、そのスウィング感に酔っている。そんな情景がピッタリする。

 演奏のディテールなど今更僕が言うような盤じゃない。これ程有名なピアノ・トリオの盤もそうないもんだ。
 「いつもの・・・」と常連客なら、決まった席から注文する定番の飲み物みたいなものだろうか。
 

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