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ONE FOR KLOOK / JOE HAIDER
JOE HAIDER-p
SANGOMA EVERRETT-ds
REGGIE JOHNSON-b
DUSKO GOYKOVICH-tp
2004
SOUNDHILLS
1.REMEMBERING DUKE
2.I'LL TAKE ROMANCE
3.I'M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU
4.ALL OF YOU
5.MARCELLE'S GRANDDAUGHTER
6.I HEAR A RHAPSODY
7.FRIENDS
8.ONE FOR KLOOK
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DREAM TALK / WOLFGANG DAUNER |
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今や掃いて捨てるほどになったヨーロッパのジャズアルバムも、80年代初頭くらいに漸く日の目を見始め、僕も当時の「ジャズ批評」を手がかりにタワーレコードで輸入盤を漁っていたものだが、これがなかなかない。中古レコードとして時たま手に入る程度であった。
ジョー・ハイダーの名前も、彼のKATZENVILLAというアルバムのジャケットと共に記憶の隅にあっただけだった。
最近になって、「日本に紹介されないヨーロッパのピアニストたち」というタイトルで星野秋男氏が書いたジャズ批評の記事を読み返すとウォルフガング・ダウナーのDREAM
TALKの下にこのジャケットが掲載されているのを見て、何か昔年の想いだった。
ダウナーのDREAM TALKも最近になって澤野盤で復刻されて聴くことが出来たが、多分ハイダーのかのアルバムもこのようなものではなかったかと思うばかりだ。
懐かしい名前をSOUNDHILLSのカタログでみて、こりゃあ聴いてみたいと手にしたのだが、往年のハイダーについて書かれた雰囲気の影が冒頭曲に色濃く現れているが、概ねオーソドックスなアメリカンスタイルに仄かに匂うヨーロピアン臭という趣かなと思って初め聴いていた。
知性的なリリシズムを標榜していたハイダーも長い病から最近になってアルバムをボチボチ創り始め、落ち着くところに落ち着いたような風情というわけであろう。
僕にとってはその方が良かった。ここ2,3年これだけ巷にヨーロピアンなものが溢れ出し、聴く方は飽食して頭がホアグラ状態になっていたのを暫し離れて様子をみていたが、僕のバイオリズムではそろそろ触りはじめようかというタイミングでこれを聴いたわけで、仄かなヨーロピアン臭くらいで丁度良かったわけである。
共演しているダスコ・ゴイコヴィッチもまた縁遠い人で、ここで聴けたのも偶然とは言え、なるほどというところだ。
まったく以て葉巻を薫らすと香る仄かな哀感という印象である。
冒頭曲や5曲目MARCELLE'S GRANDDAUGHTER等のハイダーのオリジナルがやはり良い。控えめな音数でこれぞ哀感也を語る選ばれたフレーズが滲みる。リリカルという言葉の響きを久しぶりに味わったような気もした。
MARCELLE'S GRANDDAUGHTERは、リリカルさとアグレッシブが交叉して揺らぐ、ヨーロピアンなタッチが色濃い。
7曲目もハイダーのオリジナルでゴイコヴィッチが加わった、まさにリリカルを演じ切っている。
ゴイコヴィッチが加わったスタンダードはどちらかと言えば寧ろ余興的に僕は聴くが、リズムセクションに廻ったハイダー・トリオのきびきびしたスウィングは、それはそれとして愉しめる。ベイシスト、ドラマー共に熟成の味を出している。
いや、やはり3曲目のトリオ演奏や4曲目ゴイコヴィッチ入りのALL OF YOUと来れば、このアルバムの本筋はベテラン・トリオ及びカルテットの渋みの濃いスウィングするものにあるような気もしてくる。サンゴマ・エヴァレットの矍鑠としたドラムソロ、スパン、スパンとブラシを響かせる小気味よさ・・・。
そして、ゴイコヴィッチのマイルス張りのホーン。なかなか聴かせる。
通好みと言えば面はゆいが、SOUNDHILLSから出されているものは、滋味あるアルバムがセレクトされていて、ミッシェル・サダビー、ホッド・オブライエン、先回取り上げたジミー・コブ、クリストフ・サンガー、エンリコ・ピエラヌンツイ等のアルバムが並ぶ。
オジサン・ジャズファン御用達というところだろうが、カラー刷りのカタログに目を細め次は何をと思案する時間が愉しい。
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