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JUNKO ONISHI/WOW
JUNKO ONISHI-p
TOMOYUKI SHIMA-b
DAIRIKI HARA-ds
1992.9.3-5
SOMETHIN'ELSE 5547
1.THE JUNGLAR
2.ROCKIN' IN RHYTUM
3.B-RUSH
4.PROSPECT PARK WEST
5.POINT-COUNTER -POINT
6.BRILLIANT CORNERS
7.NATURE BOY
8.BROADWAY BLUES
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出だしのTHE JUNGULARが鳴り出すや、僕の脳みそのなかの神経細胞の軸索突起でシナプス連合が始まり、弾丸が走るようにありったけの神経細胞に興奮が起こり始める。
D.エリントンが、C.ミンガスが、E.ドルフィーが、M.デイビスが・・・つまりはジャズのありとあらゆる要素というニューロン間で電気が生じて目を醒まし出す。
あたかもビックバンドのホーンが一斉射撃のように鳴り出したかに聞こえる、その鍵盤を捉えてかき鳴らす様は、最早ピアノ・トリオというフォーマットを越えてしまっているとさえ思え、異常興奮状態になる。
彼女のイマジネーションのなかには、こぢんまりとした従来のピアノ・トリオなどなく、D.エリントンのようなビックバンドのあの壮烈な音像を如何に鍵盤に移し替えるかを描いていたに思える。それには、成り行きまかせや手癖で弾くなどあり得なく、冒頭から末尾に至るまで既に構想化されているようで、実のところ鍛錬された運動神経宜しく、瞬時の判断の連結の成せるところという微妙な臨界点を感じさせる。
低音部でのユニゾンを多用する得意技を活かす大西に絡まる嶋 友行のベースの巨大岩石のような音塊もダイナミズムを醸し出す。
それはB-RUSHで聴かせるベースランニングが、大西の弾くスローなテーマとのタイミングとのズレから醸し出される絶妙なスウィング感にも現れている。
こういうのを聴くと、ゾクゾクっと来る。
実はこのアルバムについて書くのは、これが二度目だが、最初に書いた時にも、僕の頭は拳銃で撃ち抜かれた気がした。
あまりに吃驚したので、次々と大西順子のリーダーアルバムからサイドマンに至るまで聴き求め、滔々コンプリートしてしまった位だった。
しかし、結局このWOWを超えるアルバムはないようにも思える。
「作家の処女作」を言うまでもないが、勢い勝ったこのアルバムほど、triggerを感じるものはない。
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