「錆び」と「寂び」

  

WARNE MARSH/WARNE MARSH

WARNE MARSH-ts
RONNEI BALL-p
PAUL CHAMBERS-b
PHILLY JOE JONES-ds
PAUL MOTIAN-ds*
Dec 12, 1957,Jan 16, 1958
ATLANTIC

SIDE 1
1.TOO CLOSE FOR COMFORT
2.YARDBIRD SUITE
3.IT'S ALL RIGHT WITH ME

SIDE 2
4.MY MELANCHOLY BABY
5.JUST SQUEEZE ME
6.EXCERPT

WARNE MARSH QUAETET(MOOD)

 掠(かす)れてもの侘びしいテナーが聴きたくなった。
 探したがなかなか見つからないものである。
 あれこれトレーやターンテーブルに乗せてみるが、これだと思えるものがない。
 中りをつけたひとりがウォーン・マーシュ。MOOD盤のWARNE MARSH QUARTETをかけてみる。
 頭がYOU ARE TOO BEAUTIFULで明るすぎる。次がAUTUMN IN NEW YORKで、ああこれかなという気がしたが、もっと他にないか。
 ATLANTIC盤のWARNE MARSHは?とかけてみると、うん、これかも知れないという気がした。
 しかし、思った通りのものって案外ないものだ。大体そういう基準でアルバムを買うなんてことがあまり無かったわけだから、無くて当たり前だ。

 まあ、ともかくこれを聴くことにした。
 このアルバム、ロニー・ボールがクレジットされているのに、なかなか出てこない。頭から聴いていくと、ピアノレスでずっと行く。漸く出てきたのがA面の最後IT'S ALL RIGHT WITH ME.。しかし、これもそれ程表だって彼のピアノが弾かれているわけではない。概ねピアノレスのアルバムだということだ。

 で、所望通りかどうかはわからないが、元来無口な男がボソボソ喋るようなマーシュのテナーだが、喋っていることに嘘がない気がして、何となくイイ奴だなと思える。
 代わりに俺喋ってやるよって、しゃしゃり出て雄弁に喋るのが意外やポール・チェンバースだったりする。それぐらいソロでもバックでもチェンバースのベースが良く響く。
 チェンバースのベースに気を取られていたが、おいおいこいつ何か喋っているよって、良く聴くとマーシュが何か言っているという具合の最たるものが、元来明るい曲のJUST SQUEEZE MEだったりする。
 
 初めてこのアルバムを聴いた時には、何だか煮え切らないテナーだなあって半ば捨ててたのだが、今まで聴いて来たピアノレスのアルバム中最も訥弁だけれど、マーシュならではの「寂び」が活かされた一風趣の異なる持ち味を醸し出していることに気付く。
 錆びた音色・・・ああ、「寂び」は「錆び」と通じるのかも。

 もう一度MOOD盤のAUTUMN IN NEW YORKを聴いてみる。
 寂しい曲が侘びしさを加えて鳴る。侘(わ)びと寂(さ)び・・・か。
 
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