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THE TRIP / ART PEPPER
ART PEPPER-as
GEORGE CABLES-p
DAVID WILLIAMS-b
ELVIN JONES-ds
1976.9.15,16
CONTEMPORARY
1.THE TRIP
2.A SONG OR RICHARD
3.SWEET LOVE OF MINE
4.JUNIOR CAT
5.THE SUMMER KNOWS
6.RED CAR
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ペッパーなど聴く理由は僕には最早ない。
なのに今回は何故かペッパーだと決めていた。
何故か・・・。
ペッパーは麻薬常習のため再三獄中の人となり、何年かして娑婆に戻って「復帰盤」を残すということを繰り返して来た。
何年かのブランクが節目となって、新たな境地でレコーディングにのぞんだ。
選ぶとすれば何をだと思った時、後押ししたのはペッパーがコルトレーンを意識した作品を残していたという点である。しかもサイドマンにエルヴィン・ジョーンズを選んで。
最早聴かないという理由には、ウエストコーストのサイドマンを伴ったものには興味がなかったからだ。多くはそういう作品だからだが、この時期の復帰第一弾は、LIVINNG
LEGENDでハンプトン・ホーズやシェリー・マンと共にやっている。持ってないのも幸いだ。
更にジョージ・ケイブルスもケニー・バロンが好きになって以来バロンに匹敵するピアニストとして気になっていた。
これで尤もらしい理由は揃った。
彼はこの作品以降、エモーショナルな演奏を多くやっていはいるが、コルトレーンを意識させるというよりコルトレーンを吸収して独自の奏法に徹するようになっているようで、このタイトル曲THE
TRIPも痕跡はかなり強いものの後のアルバムを聴けば、エモーションを押し出すようになった端緒を感じるというのがあたっているようで、似非コルトレーンではない。
エルヴィンが叩くリズムやケイブルスのモード手法がコルトレーンライクと感じさせるが、それもやむなしだろう。
この後、ジョー・ゴードン、ウッディ・ショーの曲が続く。ショーのはボサ・ノヴァタッチで、一曲置いてミッシェル・ルグランの「おもいでの夏」があるが、基本的にコード・チェンジの面白さにインスパイアーされてアルトを吹くというのが好みだという傾向は、彼自身も語るところだ。
だがやはり奏法は明らかにブランク以前のものとははっきり異なって、フリーキーになる部分も含めて情念的である。
それは「おもいでの夏」など聴けば、この叙情的な曲をとことん気怠く吹く様で顕著である。
最後のペッパーのオリジナルは、ロックビート。優れたインプロバイザーとしての才気を見せつける締めである。
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