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STEAMIN' /MILES DAVIS
MILES DAVIS-tp
JOHN COLTRANE-ts
RED GARLAND-p
PAULCHAMBERS-b
PHILLY JOE JONES-ds
May 11,Oct 26 ,1956
PRESTIGE
1.SURRY WITH THE FRINGE ON TOP
2.SALT PEANUTS
3.SOMETHING I DREAMD LAST NIGHT
4.DIANE
5.WELL YOU NEEDN'T
6.WHEN I FALL IN LOVE
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職場の喫煙室に行くたびに、桜がまだ咲かないのをずっと口にしている自分がヘンだと思った矢先のことだった。
ここは桜の咲く最も遅い土地、桜の終着駅みたいなところだが、それにしても今年は遅い、遅いと思っていた。例年になく気温が上がらず春めいたかと思えば、霰まじりの雨が降ったりとなかなか落ち着いてくれない。
だから待って待って、思いがけずばったり出逢った・・・という感じだった。
桜ってそういえば、そんな風に「ハッ」という出逢い方をする。
まだかまだかと思いつつ、忘れた隙にパッと姿を見せる瞬間が桜らしく思う。
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一週間は早い。何の心づもりもないのにやってくる。この一週間びっしり仕事でやっと休みとなれば、疲れ切って骨休みをするのが精々。暫く読み残していた本を読んだり、ビデオを借りてみたり、届いたばかりのものを聴いたりしているうちに終わってしまった。
さて、だから困っているのだが今頃になってレンタルで「SWING GIRLS」を観た話からいこう。
いやあ、ケッサク、ケッサク・・・(傑作ではないが)という感想。竹中直人の役みたいなのが案外ジャズ・ファンという人間には多い気もした。恰好つけていながら、実のところ噸でもなく恰好悪く無様な実態がジャズ・ファンにはある。
一方でああいうのを観ると楽器やりたいというモチベーションがグンとあがる。
そして若い子達が楽器やるってのは良いことだと思った。
「気持ちをあわせる」機会が少ない世の中だから。
その点ジャズってのは、勝手気ままで自由なようで、実のところ絶妙に気持ちが合うことが必要とされるジャンルじゃないだろうか。タイミングやワザとアウトしたフレーズを取ったりするのも、共通項である要素を意識してないと旨くない。ズレがズレとしてスリリングなのは、中心をしっかり掴んでいるからこそだろう。
そういうのでわかりやすい例となるだろうか。マイルス・ディビスSTEAMIN'。
テーマを吹くマイルスのフレーズ自体が既に微妙に浮遊した音程で、ソロともなるとチェンバースのベース音以外は、マイルスもコルトレーンも時にガーランドもフレーズがアウトしたりインしたり、中心を出たり入ったりする。
一番ズレっぱなしがコルトレーンだが、これがうま味。
マイルスの僅かにワザとずらしたミュートをかけた音程を極端にしたのが、ジャッキー・マクリーンのアルトの例となるだろう。こんなことはクラシックでは御法度だが、それだからこそ魅力を感じるというのが、ジャズ・ファンの心情でもある。
でもある意味、ジャストな音感教育の恩恵?であるのかも知れない。正確な音を知ってるから、ワザと外した音程やフレージングが堪らなくスリリングで、「恰好良い」という所以に違いない。
SALT PEANUTS等は最も良い例かも知れない。
くぐもった和音でテーマを奏で、急速調のテンポでソロに突入するやアウト アンド インをめまぐるしく展開する。更にフィリーの爆発的ソロのおまけ付き。
ジャズの世界にしかないコトが起きる。
「絶対音感」などとクラシック界等で大威張りするなんてふざけるなと言いたい。
音感の悪いジャズマンがあんなスリリングなフレーズを出せるわけがない。
全く逆説的実態がジャズには存在する。
かえって糊効きすぎのYシャツみたいなのが面白くないというのは、そういう事情だろう。
でも、このアルバムの最後WHEN I FALL IN LOVEみたいに真正面から吹くマイルスもまた素敵だ。リリカルを絵に描いたような吹きぶり。アルバムのジャケットとダブった雰囲気を味わうラストだ。
ジャズ・ファンの心情もアウトしたりインしたり・・・というわけである。
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