どーだ、参ったか!装置が喜ぶジャズレコード
 
  

EUROPEAN JAZZ SOUNDS
MICHAEL NAURA

MICHAEL NAURA-p
PETER REINKE-as
WOLFGANG SCLÜER-vib
WOLFGANG LUSCHERT-b
JOE NAY-ds
Feb 1,14 1963
BRUNSWICK

SIDE 1
1.THREE SECONDS 2.NIGHT FLOWE 3.DR.JEKYLL
SIDE 2
1.DOWN IN THE VILLAGE 2.GRUGA MOOD 3.STRATOSPHERE


 

 ターンテーブル上の盤に下ろす針先から灯の灯った管球のアンプを通って極太ケーブルを伝ってスピーカーに出るという装置全体がこのアルバムの繊細にして大胆な音を喜こんで身悶えている・・・どうだ!参ったか!・・・と誰に言ってるのか定かじゃない興奮を憶えている。
 参ったかというのは、装置のことでも、澤野工房がアナログ盤に熱を入れ始めていることでもありそうだが、そこはやっぱりこのアルバム自体のこととしておこう。

 「超、超幻の名盤の復刻!」であって、廃盤専門店で血眼になってマニアが探していたもの・・・というが、実は先だって札幌のジャズ喫茶の老舗でたまたまCDで聴いたばかりだった。
 隣に座った男性が注意を促してこのアルバムのことを恐々として喋ってくれたお陰で記憶に残っていた矢先。
 斜め横一列に並ぶメンバーを配置したこのジャケットをHMVのサイトでみつけて「お、これは・・・」と思うが先に注文していた。
 届いて針を下ろした時の感激は、まさに先に書いた通りだ。

 ミハエル・ナウラがピアニストなのかアルトなのか、はたまたヴィブラホーンを叩いているものなのか、一切知らず。
 ただただ聞こえてくる楽器ごとの響きとそれらが交錯するデリシャスさに酔ってしまうばかり。
 ヨーロッパにジャズが浸透し始めたばかりで、やや室内楽的なヨーロッパの土壌と本場アメリカから伝わった泥臭いグルービーさが溶け込んで、「半米半欧」とでもいうしかない独特の持ち味があり、大事に音を出していながら大胆でもある。大事に演奏しているから大事に聴きたいし、大胆な躍動には身を任せて聴き入りたい。

 A面2曲目のNIGHT FLOWERの叙情性、哀感が見事でこれがナウラのオリジナル。アルトで綿々とテーマを奏で、後にヴァイブが味付けする。どこかで聴いたことがあるようなテーマだが、この際ナウラに敬意を表して思い出さないでおこう。

 B面トップDOWN IN THE VILLAGEは割と良く聴く曲で、タビー・ヘイズのものだが、モードもよく消化された抜群にスウィングする演奏でヴァイブとアルトのバックでリズムセクションが硬質でシャキシャキとしたリズムのキープとフレキシブルさを交叉させて躍動する。

 と言う具合でこういうグループが嚆矢となってヨーロッパ中にジャズが伝播し根付いていったわけだろう。これは貴重な記録であるし音楽性から言ってもマニア垂涎となるのも頷ける。
 
 澤野から出しているのはこのアナログ盤でしかなく、最早在庫切れとか・・・アナログジャズレコードの大逆襲が始まった、というところだろう。

 

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