欧州にて・・・

THINKING OF YOU /DUKE JORDAN

DUKE JORDAN-p
NIELS-HENNING ØRSTED PEDERSEN-b
BILLY HEART-ds
Oct 1979
STEEPLE CHASE SCS 1165

SIDE 1
1.THE FUZZ 2.THINKING OF YOU 3.ANYTHING CAN HAPPEN 4.THE PEANUT BAR

SIDE 2
5.FOXIE CAKES 6.LIGHT FOOT 7.MY QUEEN IS HOME TO STAY 8.DEACON'S BLUES

 ’70年代初めに創設されたヨーロッパのレーベルSteepleChaseの総カタログを眺めていると、それぞれ事情は異なるようだが、本国アメリカを出奔したミュージシャンの再会の場のような印象を受けて面白く思う。が、必ずしも「不遇な70年代」と言えないまでも、50年代〜60年代の主要なレーベルが活動を停止乃至休止していたような状況や60年代半ばからのロックの擡頭を思い描くと、ジャズに理解のあったヨーロッパで再び花開かせようとする動きは少なからずあったとは言えるのだろう。
 
SteepleChaseには、ジャッキー・マクリーン、デクスター・ゴードンを始めホレス・パーラン、ケニー・ドリュー、ケン・マッキンタイヤー、ビル・ハードマン等々BLUE NOTEやPRESTIGEに名を連ねた者達のその後の消息を知るには格好のレーベルで、特に初期のカタログが興味深くて最近蒐集に熱を入れ始めている。
 このデューク・ジョーダンもBLUE NOTEにFLIGHT TO JORDANを60年に残したのみで、その後SteepleChaseにBLUE NOTE盤に符丁を併せたようなタイトルのFLIGHT TO DENMARK(彼のアルバムには他にもFLIGHT TOを使ったタイトルがいくつかあるが)を吹き込むまでの事情のよくわからない空白の10年を経て以来定期的に数多くアルバムを残してきている。

 SteepleChaseに移籍してからBLUE NOTEでの実績をご破算にして元のバッパーに戻ったかのようなジャッキー・マクリーンの様子とは逆に、元バッパーだったジョーダンは、独特の哀感に欧州特に北欧をイメージしたような味付けを添えたアレンジに傾いているようにも感じる。
 タッチは強いものの哀感を含ませて弾くジョーダンに対してサイドマンであるペデルセンやビリー・ハートはゴリゴリと押し切る出方をする。今では普通のことになっている3者のバランスや間隔が荒削りな姿で立ち現れている。そこに哀感を漂わせつつ強力にグルーブするという微妙な起伏の凹凸の妙が愉しめる。

 FLIGHT TO DENMARKの冒頭を飾った有名なNO PLOBLEMの名曲等コンポーザーとしての実力者だけにアルバムを彩るオリジナル曲への興味もある。
 タイトル曲THNKING OF YOUではペデルセンがアルコで欧州の民謡を思わせるテーマを弾き続いてピチカートでソロをとる。
 B面トップFOXIE CAKESはジョーダンのソロで流石と思わせる歌曲風に仕上がっていて、綿々と歌い上げるソロは彼のものを聴いているという実感に浸れる。またMY QUEEN IS HOME という美曲も織り込まれていたりする。
 最後のDEACON'S BLUESはBLUE NOTEに残したアルバム中のDEACON JOEだが、それとは気付かずにいたほどアレンジを変えて演奏されていて、彼が捉える欧州の趣が籠められているように思う。
 

 

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