欧州にて・・・50年代パリ

BYRD IN PARIS / DONALD BYRD

DONALD BYRD-tp
BOBBY JASPER-ts,fl
WALTER DAVIS JR.-p
DOUG WATKINS-b
ART TAYLOR-ds
Oct 22 1958
POLYDOOR

SIDE 1
1.DEAR OLD STOCKHOLM 2.PAUL'S PALS
SIDE 2
3.FLUTE BLUES 4.RAY'S IDEA 5.THE BLUES WALK

BYRD IN PARIS VOL.2 PARISIAN THROUGHFARE
SIDE 1
1.SALT PEANUTS 2.PARISIAN THOROUGHFARE 3.STARDUST 4.52ND STREET THEME
SIDE 2
5.AT THIS TIME 6.FORMIDABLE 7.TWO BASS HIT 8.SALT PEANUTS

 忘れていた。
 9月1日はこのサイトの誕生日なのである。’01年の9月に始めて丸四年たったが、もっと遠い昔のことに思える。大して役に立たない気紛れな事を書いてきて何ら誇れるようなものはないのだが、せめて長寿であることだけを誇りとすることが出来るよう続けていこうと思っている。となれば、長生きせねばならないなということだが、いつお迎えが来るやもしれないから、結構難しい課題だ。

 夏の余韻を残して清々しい秋空が続く。風景・景色・景気というのが景色の中を歩く時に出逢う三段階だそうだ。もう後1ヶ月もすれば紅葉も始まり、景色とそこを歩く僕とのあわひ(間)に来春の希求を潜ませていることだろうと思う。
 良きおとづれがあればだが・・・。
  

 このアルバムはドナルド・バードがBLUE NOTEへの初リーダーアルバムであるOFF TO TH RACES以前にボビー・ジャスパー以下のメンバーと共にヨーロッパに渡って演奏旅行を行ったものの内、パリのオランピア劇場でのコンサートの記録を2枚のアルバムとして残したものだが、長いこと幻の名盤として多くのジャズ・ファン垂涎の的となっていたらしい。
 パリのカフェであろうかそこに新聞を広げて佇む姿のものと、フライドポテトをつまんでテーブルの前に座っているという2枚のジャケットは絵になるもので、持っていること自体が嬉しいものだ。最近のCDではパリの光景を写した味気ないもののようだが、これではそれほど欲しくなるものでもない。
 となれば中味勝負というところだが、このアルバム、メンバーが良い。特にボビー・ジャスパーとウォルター・デイヴィスJRの存在が効いているし、ダグ・ワトキンスが終始重量感あるソロや良く弾むベースランニングを聴かせ案外このアルバムの魅力の主軸のようにも思える。
 ジャスパーとデイヴィスで言えばVOL.1のB面最初と2曲目で彼らがそれぞれフィーチャーされたものとなっているのと、VOL.2では後にジャッキー・マクリーンのBLUE NOTE初リーダー盤NEW SOIL(但しCD化された際に追加されたようだが)にも吹き込まれたウォルター・デイヴィスJRのオリジナルであるFORMIDABLEという曲などは注目できるというのが魅力のひとつであろう。

 このライブ盤は白熱の演奏で熱気に包まれたBLUENOTEのスタジオ録音にはない生々しい気配が伝わって来る。
 VOL.1ではヨーロッパを旅して演奏する旅団がまず曲に乗せて旅情を奏でているという風情がするDEAR OLD STOCKHOMだ。ダグ・ワトキンスをフィーチャーしたのかと思うほど彼のベースのソロが長く続き、殊の外滋味が感じられるものとなっている。
 続くPAUL'S PALでのジャスパーのじっくり歌い込むテナーが良い。バードは調子を外すほど激情を吐露してライブならではのところを聴かせる。

 さてジャスパーとデイヴィスをフィーチャーしたFLUTE BLUESとRAY'S IDEAだが、FLUTE BLUESでは、バードとドラムのアート・テイラーが抜けて、ほぼジャスパーのフルートとワトキンスがメインにやっている。
 このフルートが良い。
エリック・ドルフィーやユセフ・ラティーフに比肩すると思うが、ワトキンスとユニゾンで入ってくる辺りや、二人の掛け合いなども聴き所だ。

 続くRAY'S IDEAでウォルター・デイヴィス JRがトリオで演奏する。デイヴィスはバド・パウエルの流れをくむバップ・ピアニストとしての存在をハードに印象づける演奏をしていて荒く雑な程に白熱するが、アート・テイラーとの掛け合い等も含めてライブ録音の醍醐味だろう。

 VOL.2はVOL.1より以上に熱いが、バードが滔々と奏でるSTAR DUSTやディヴィスのオリジナルFORMIDABLEの初演等が入っているのは、注目して良いだろう。
 

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