夢を買う

JAZZ QUINTET 60'

BJAERNE ROSTVOLD-ds
ALLAN BOTSCHINSKY-tp
NEILS HUSEM-ts
BENT AXEN-p
NEILS-HENNING ØRESTED PEDERSEN-b
Jul 24,25 1962
METRONOME

SIDE 1
1.BUDDAH 2.246 3.MORE PEACE 4.CUBA LIBRE 5.BILLIE'S NOUNCE

SIDE 2
1.AROUND 3/4 TIME 2.POKERAFACE 3.BALLA NR.2 4.BLUE AND YELLOW 5.SUNNY MONDAY

 アラン・ボッチンスキーって聞いたこともない名前だと思っていてライナーを読んでいたらサヒブ・シハブのオクターヴ盤に関わっていたとあって、じゃあ、あれかいと同じ澤野から出ているシハブのTHE DANISH RADIO JAZZ GROUPのメンバーをつらつら見ると、あった、あった。ついでにベント・アクセンのクレジットも。ペデルセンは当然いる。そんな繋がりを見つけると、暫く聴いてなかったものも聴いてみたくなる。いや、これで印象が良ければ他の参加アルバムも見つけたくなる。そこを拾ってまた復刻すれば芋づる式に商売の種が生まれる。
 幻の名盤と銘打てば、どんな駄盤も有り難く思ってしまうのがコレクターの哀しい性で、自分の耳より宣伝文句を信じてしまう。夢を買うようなもので、大スターのディナーショーの類かも知れない。
 しかし元を正せば、発売当時あまり売れなかったから「幻」になったまでのことだとしたら、有り難がっている場合じゃないかも知れないが、それを言っちゃあ元も子もなくなる。復刻するだけの魅力があると見通した目利きの才覚で再販されたと思いたい。商(あきんど)人に魂を売って、夢を買うって事だろう。
 ホストやホステスに貢ぐようなものかも知れないが、己の無垢さ加減を褒めるしかない。
 ともかく澤野盤アナログ復刻への期待は、加熱している。そこに来てこれだ。これ以上ヒートアップすると僕も落ち溢れ兼ねない勢いだからあまり喧伝したくない。

 先回のミハエル・ナウラ盤のドキドキ感が冒頭からやってくる。なにやら7吋EP盤のカップリングにも思える構成で、趣が少々異なるものが合わさっている。
 ミュートをつけて吹くことが多いらしいボッチンスキーだが、A面2曲目からはマイスル・ディヴィスのプレスティッジ盤でも聴いているような錯覚に囚われる程。
 ボッチンスキーばかりでなく、ピアノのベント・アクセンもガーランド風。ペデルセンまでもチェンバースに聞こえるのは錯覚でもないだろう。
 3曲目MORE PEACEはあのBLUE IN GREENを思い起こすというように、スタイルが縦断しているところは、大いに影響を受けた証拠であろう。
 テナーのベント・イェディヒはモブレー、ジュニア・クックあたりを消化したとあるが今一僕には判らない。BLUE NOTEコレクター氏が言うのならそうなのだろう。
 
 ひっくり返してB面がその逆のオープンで吹いているものが主で雰囲気も違ったものになっている。
 長閑なハードバップ調のALL BLUESみたいなAROUND 3/4を冒頭にハードバップやモダンなものが続くが、アメリカ産ハードバップやモダン・ジャズと比べてしまえば違いなどさほど見つからない。なんだと思うか、なるほどと思うか聴きようだが、夢を買った分の元を取っている・・・かも。

 


 

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